モンスターハンター２次創作　～吹雪の覇者～　－骸の王と義憤の戦士－　最終話　想造

クワトロゾンビ @QZombie

青い光が下から差し込んでくる、開けた場所に出るのかね。 案外、この光が不気味さの正体かもな。 「行きますよ。」 「おう。」 さぁ、何が出てくる・・・。 「こいつぁ・・・！」 大穴を抜けると、一面が骨だらけだった。

クワトロゾンビ @QZombie

恐らく、今まで捕食してきた無数の骸だ。こんだけよくも溜め込んだもんだ・・・。 「ヴァルムさん、あれです。」 アマレイクが示した方向に、骸の王は鎮座していた。 確かに、さっき聞いた通り長い触腕が二本見える。 浮かぶタコってのは聴いたことがあるが、骨に沈むイカね・・・世界は広い。

クワトロゾンビ @QZombie

野郎――俺達を見定めるように、じっとして動かない。 ・・・ほーん、一丁前に様子見かい。 「おう、どういうプランで攻める？」 「そうですね・・・。顔はモヤが掛かってますので、触腕に行きましょう。 ヴァルムさんは右、私は左から挟撃しましょう。的を散らしながら叩きます。」

クワトロゾンビ @QZombie

「オーケー、乗った。じゃあ、いこうか！」 俺とアマレイクが構えると同時に、骸の王も触腕を振り上げ吼える。 ｷｮｫｵｱｱｱｱｱｱ!! 「状況、開始します――散開！」 「おっしゃあ！」 プラン通り、散開して触腕に張り付く。 ぬぅ・・・ウネウネ動くなぁ！ ﾋﾞﾀｰﾝ! 「うぉっと！」

クワトロゾンビ @QZombie

強烈だな、こいつを掻い潜って攻撃をせにゃならんのか。 だったらこうだな！ 「せいっ！」 基本に立ち返る。 大剣はヒットアンドアウェイ、ついでにもう一丁アウェイ。 確かに強烈な叩きつけだが、見えて食らわなきゃただの的だぜ！

クワトロゾンビ @QZombie

「そらもってけ！」 よし、少しずつ骸が削れている。この調子で―― 「ヴァルムさん下がって！旋回きますよ！！」 んだと！？ ｸﾞﾙｩｰﾝ!! 「うぉっと！！」 「大丈夫ですか！？」 「おう、すんでのとこで飛んだから平気だ！」 白銀ので助かった、他だったら轢かれてたぞ。 ｽﾞｫｵｵｵ!

クワトロゾンビ @QZombie

「モンスターの骸・・・これを武器にするってか！？」 なんだありゃ、見たこともねぇ戦い方だ・・・！ 「ラギアクルスとウラガンキンですか――想造力開放、顕現せよ音爆弾！」 あ？ 「セイッ！」 ｷｨｰﾝ!ｶﾞｼｬｰﾝ! ｸﾞｩｵｵｵ･･･ 「えっ、落とすの！？」 「好機ですよ、突貫！」

クワトロゾンビ @QZombie

「あ、お、おう！」 間違いなく千載一遇のチャンスだ、行くぞ！！ 「おおぉ――」 ﾊﾞｼｨｰﾝ! 「ぉっと！？」 っぶねぇ、骸は削れちゃいるがまだピンピンしてやがる！ 「ハッ、活きがいいのも考え物ってか！？」 「刺身にすると美味しいので憎めませんがね！しかし、大きく距離を取られましたか。」

クワトロゾンビ @QZombie

叩きつけの勢いを生かしてきたか、イカの癖に頭が回るな。 で、勢いそのままに触腕を潜らせてどうする気だ？ ｽﾞｫｵｵｵ! 「・・・ディアブロス、だと！？」 「頭と尻尾、ですか。厄介な・・・！」 あの獰猛な巻き角と破鎚を軽々と！ ・・・まともに相手したくねぇなぁ。

クワトロゾンビ @QZombie

「おい、もっかい音爆弾でどうにかできねぇか？」 「距離がありますし、向こうも警戒してます。同じ手は食わないですよ。」 「チッ、仕方ねぇ突貫するぞ！」 「はい！」 構えると同時にオストガロアめ、猛チャージときたか。 クソが、よくみてやがる！ 「おう、どうする！」

クワトロゾンビ @QZombie

「ヴァルムさんは頭お願いします！」 「あいよぉ！」 さぁて、角折りと洒落込もうかい！ 「おおぉ！」 抜き打ち、手応えあり―― ｽﾞﾀﾞｧｰﾝｽﾞﾀﾞｧｰﾝ! うぉっと！ 「野郎、お構いなしかよ！」 ディアブロスの突進を想起させる突きだな、厄介な・・・。 だがやるこたぁ変わらん。

クワトロゾンビ @QZombie

「セイッ！」 ヒットアンドアウェイだ。 しかし、野郎もそれはわかってるのか鋭くて細かい突きを主体にしてやがる。 どっちが先にへばるかの根競べってか！ ｽﾞﾀﾞｧｰﾝ! おし、腕が伸びきった！ 「撃ち終わり、そこだ！」 ﾊﾞｷｨｰﾝ!

クワトロゾンビ @QZombie

「しゃあおらぁ！叩き折ったぞこの野郎！ このまま突貫だ！！」 ｽﾞｫｵｵｵ! 「ヴァルムさん危ない！！」 あ？ ――羽、朧隠！？

クワトロゾンビ @QZombie

不味い不味い不味い！ガード、間に合―― ﾋﾞﾀｧｰｰﾝ!! 「ガッハァ！！」 モロに食らっちまった・・・。 やべぇ、鱗粉吸い込みすぎた、クソが、目ぇ回ってきた・・・意識が、とおのい――

クワトロゾンビ @QZombie

「なんだ、ここは・・・。」 空か・・・？ 「飛んでいる・・・そうか、すまねぇぼーっとしてた。俺としたことが情けねぇ。」 空は俺達の場所だ、風は俺達を乗せて吹いてくれる。 「さぁ、どこへいこうか。俺達は、どこへだっていけるんだ。」

クワトロゾンビ @QZombie

突風何て目じゃない、音だって追い越せる。 それなら、俺達なら・・・俺は――帰らなきゃ、だよな。 鋼の龍が振り返り、俺を見た。 あの時と何も変わりゃしねぇ、刺すような蒼い凍える視線。 鋼の翼が広がる。俺は強敵の背を蹴り、空へ飛ぶ。 あぁ、そうだ。そうだよな！

クワトロゾンビ @QZombie

吹雪の覇者が黒き風を身に纏う。 天地開闢の、原初の風。 人々の祈りが再び乗り越えんと、輝きが御剣に宿る。 「俺達は、究極を手にしたんだ！」 究極の一閃が、振りぬかれた。

クワトロゾンビ @QZombie

「そうだろう、友よ。」 「ヴァルムさん大丈夫ですか！？」 「あぁ、大丈夫、大丈夫だ。」 そんなことより、だ。 俺達の間にズケズケと踏み込んできやがって。 「イカ野郎が、いい加減にしろよ。」 暴風に乗って両方の触腕をなぎ払う。 モンスターはてめぇのおもちゃじゃねぇんだよこの野郎。

クワトロゾンビ @QZombie

「す、すごい・・・！触腕についていた骸を一瞬で！！」 「おう、これでてめぇだけになったな。」 ｷｮｵｱｱｱｱｱ!! 一人ぼっちの咆哮、ね。 ハン、御丁寧に触腕に骸をまとい直したか、哀しいな。 「突貫する。」 「な・・・そんな、一人でなんて無茶です！」

クワトロゾンビ @QZombie

アマレイクが応えるより早く、オストガロアが構えるより早く、暴風で懐に潜り込む。 「何故分かり合えない！」 あいつは・・・あいつはこうじゃなかった！ 「どうして！」 骸を弄ぶ！命は、命は粗末にしていいもんじゃねぇんだ！！ 「だから――てめぇは、一人なんだ！」

クワトロゾンビ @QZombie

祈りが、輝きの御剣に宿る。 暴風に乗って、てめぇの顔面たたっ斬る！！ 「おおお！！」 てめぇは俺達を舐めた！ 祈りをこめた一閃、受け取りなぁ！！ ｷｮｵｵｵ!? たたらを踏んだ、一気に決める！ 「このままくたばっちまいな――」 ﾋﾞｨｲｲｲｲﾝ!! 「うぉっ！？」 赤い、閃光！？

クワトロゾンビ @QZombie

やべぇ、寒い、意識が持ってかれる・・・！ チッ一旦離脱かよ！ 「クソが！・・・アマレイク、どう攻める。」 「頭は、冷えましたか？」 「あぁ、お陰様でね。」 「それはよかった。氷属性の攻撃でも使うんですかねぇ。」 ハッ・・・まぁ、いいか。 「チッ、冗談言ってる場合か。それで、どうする。」

クワトロゾンビ @QZombie

「私が血路を開きます。――想造力完全開放！ 顕現せよ、撃竜槍！」 「げ、撃竜槍だとぉ！？」 出せる大きさはガーディアンの装備くらいって言ったろうが！！ 「お前、吹かしたな！？」

クワトロゾンビ @QZombie

「嘘は言っていませんよ。普段の限界を申し上げたまでです。 ・・・本当の限界は、最後まで隠しておくものでしょう。その御剣と鎧の様に。」 「そら、お前・・・！」 ﾋﾞｨｲｲｲｲﾝ!! 赤い閃光の乱反射だと！ 「っぶねぇなぁ！」 なんとか切り払えたが・・・

クワトロゾンビ @QZombie

ｷｮｵｱｱｱｱｱｱｱｱ!!! 狩場に慟哭が響き渡り、闇の帳が下りる。 赤い閃光をその身に蓄える。 骸の王が狩人達を消し去らんと閃光を解き放とうとする。 「おいなんかやばそうだぞ！？――アマレイク？」 アマレイクは、朝焼けを眺めるように目を細め、オストガロアを見つめていた。