ひとの話を聞いてあげるということ

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１）前にね、あるアニメーターの方と共著で本を出さないかという話があったんですよ。何年も前にその方が（初対面なのに）そう切り出して、本人はそれ忘れていたようだけど私から企画を持ちかけたわけです。

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２）いろいろあって流産しました。スカイプで話していて、いきなり「どうしてこう話がかみあわないんだ」と嘆きだしたんですよ彼。で、理屈をこねて企画をなかったことにされてしまいました。

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３）とにかく語る方で、私は聞き上手なほうだから聞き役に徹しているあいだは上機嫌で語り倒すわけです。それがやがて私に意見を求めたり「上京の予定ない？相談にのってほしいんだけど」といわれてスケジュールをなんとかいじって会ってあげたりするようになると、だんだん話が合わなくなった。

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４）私に意見を求めるということは、私の役はインタビュアーでなくなるということです。しかし彼はそこを理解しない。聞き役のときの私はどなたからも気に入ってもらえるけれど、自分の考えをそれなりに述べるときは、それなりのことを語るわけです。愛想のいい聞き役との兼任は難しくなる。

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５）そこの葛藤を彼はとうとう理解しなかった。一時間近くひとりで語り倒して、数分に一回「で俺のいいたいことは」を繰り返してはどんどん話題が横滑りしていく。「でくみさんに聞きたいんだけど」も繰り返す割にはマイクを握って離さない。

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６）いつまでたってもマイクを私にわたさない。やっとわたしていただいても、今度は何を答えていいのかわからない。昔、たけしが往年の人気クイズ番組をパロったネタをやっていました。一分間にいろんなクイズが矢のように飛んできて瞬時に答えていかないといけない。そういう番組があって、

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７）同じセットをくんでたけし扮する土方のおっちゃんがクイズに答えていく。ところが質問が数秒どころか数十秒も続くせいで何をどう答えていいかわからずたけしが混乱してゲームオーバーというギャグでした。

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８）あれはパロディだったのですが、問題のアニメーターさんにつきあっているとあれを本当にやらされている気分になるのです。

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９）あったあった、これこれ。youtu.be/bCJGJ9r19bU?t=…（後半からどうぞ）　鬼瓦権蔵ことたけしがクイズ質問に振り回される。質問が途切れないため何をきかれているのかわからなくなる。

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１０）こんな風に自分のペースで語り倒して私をふりまわしにかかる。

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１１）それで思ったのです。この際本人に何か本を書かせてみよう。書くのが面倒くさいのであれば私が聞き役になって語ってくだされば、それをもとに本を組み立てればいいからと。そうすればひとに自分の考えを伝えるのがどんなに難しくて、謙虚でなければいけないのか学んでくれるだろう、と。

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１２）これをお手本にイメージしていたのですが。 amazon.co.jp/dp/4167330032/

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１３）その後は連絡を取り合っていません。東映アニメの組合に近づいたりと、なにやら続けておられたようですが。

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１４）離婚歴のある男性はみんなこうなのかな？ひとの話を聞かないの。ああこれでは奥様に逃げられるだろうなーとは思っていましたが。

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１５）私にやっとマイクをわたしてくれても、このお笑い番組でのたけしと同じで何を答えたらいいのかわからない。とりあえず相手の話を要約すべく思いつくままに単語を並べていくと「違う、ずれてるずれてる」と遮られ、また語りだす。フラストレーションがたまっていく。

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１６）今の奥様とはうまくいってるのかな？あれを赦せるのは相当な御心の持ち主なのでしょう。亭主のホームレスルックになにひとつ口を出さないくらいだから。

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The Cat Returns Trailer / 猫の恩返し 予告編 youtu.be/LL-HXecL8p4 @YouTubeさんから

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