処方箋の名前が「テスト太郎」 ー ネタからガチまで（解説付き） #ナニコレ処方箋オブザイヤー

　予備知識

処方する側も受ける側も人間ですので、間違いは誰にでもあります。その間違いを、膨大な種類の医薬品や病気の知識、経験や技術を用いて見つけだすのが、薬剤師の重要な仕事の一つである監査です。
処方内容または処方箋様式にミスを見つけた場合は、薬剤師は医師に連絡を取り修正する義務があります。これを疑義照会といいます。

薬剤師が医師に処方内容が適切であるか確認すること。

薬剤師法 第二十四条（処方せん中の疑義）
　薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。

　薬剤師法第二十四条は疑わしき点がある場合は、医師等に確認して解決した後でなければ、調剤（薬の準備、交付）を「してはならない」と極めて厳格に定められた法律です。これを疑義照会と言います。
　薬剤師が、故意、過失を問わず、これを行わなかった場合は、以下の責任を負うこととなります。
　民事責任：債務不履行（民法第４１５条）、不法行為（同第７０９条）を理由とする損害賠償責任
　刑事罰：業務上過失致死傷罪（刑法第２１１条前段）
　行政処分：「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第７５条及び薬剤師法第５条、第８条に基づく許可の取り消し。あるいは業務の全部又は一部停止。

　ただし、医師法には疑義照会への返答義務は記載されていません。疑義照会への返答義務が記載されているのは「保険医療機関及び保険医療養担当規則 第二十三条二項」ですので、疑義照会への対応義務を知らない医師も（もちろん薬剤師も）存在します。勝手に処方箋を書き換えることは「有印私文書偽造罪」となり、医療職であるか否かに関わらず処罰されます。

保険医療機関及び保険医療養担当規則　第二十三条
　保険医は、処方せんを交付する場合には、様式第二号又はこれに準ずる様式の処方せんに必要な事項を記載しなければならない。
２ 　保険医は、その交付した処方せんに関し、保険薬剤師から疑義の照会があつた場合には、これに適切に対応しなければならない。

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