【けもフレ連載小説】#けものフレンズAF

浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「せるりあん？」 「後で説明するよー。……あ、声がしたよー。フレンズかなー」 大きな耳をぴくぴくさせて、小声でフェネックさんはそう囁きます。ぼくには何も聞こえません。耳の大きいフェネックさんには、遠くの音が聞こえるのかもしれません。 #けものフレンズAF

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「私たちを探してるのかなー？　どうするー？」 「フレンズなら隠れることないのだ！」 アライさんがそう言って立ち上がりました。ぼくは思わず「あ、アライさん！」と声をあげます。――次の瞬間。 「あっ、そこだー！」 そんな声とともに、ぼくの頭上から何かの影が降ってきました。 #けものフレンズAF

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「うわあ!?」 突然、ぼくに飛びかかってきたその影に、ぼくはそのまま押し倒されました。アライさんとフェネックさんが驚いたように飛びしさります。ぼくに覆い被さったのは、フェネックさんと違って縦に伸びた大きな耳をした、黄色い体毛のフレンズでした。 #けものフレンズAF

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フレンズさんだとわかっていても、ぼくは思わず、また叫んでいました。 「た、食べないでください！」 「食べないよ！」 ぼくに覆い被さったまま、そのフレンズさんは、さっきのアライさんと同じことを言ったのでした。 #けものフレンズAF

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（つづく） #けものフレンズAF

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【不定期連載第3回】 『けものフレンズAF』 第１話「さばんなちほー」その３ #けものフレンズAF ログ→togetter.com/li/1177895 実況・感想等あれば #けもフレAF タグでどうぞ

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「ごめんね、見つけたと思ったら隠れちゃうから、狩りごっこかと思って……」 ぼくを解放してくれたフレンズさんは、ぼくたちの前に正座してぴょこんと頭を下げました。ぼくたちも正座して、そのフレンズさんに向き合います。 「すごいジャンプだったねー。君はここのフレンズー？」 #けものフレンズAF

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「うん、わたしはサーバルキャットのサーバルだよ！　あなたたちは？」 「私はフェネックだよー。こっちはアライグマのアライさん、この子はかばんさん」 「よろしくなのだ！」 「よ、よろしくお願いします……」 #けものフレンズAF

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帽子を脱いで頭を下げたぼくに、サーバルさんは視線を向けて「かばん？」と首を傾げました。 「この子、今日の噴火で生まれたばっかりで、何の動物かわかんないんだってー」 「そうなんだ！　尻尾と耳のないフレンズなんて珍しいね！」 「サーバル、この子が何の動物かわかるー？」 #けものフレンズAF

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「うーん、なんだろー？」 サーバルさんはぼくににじり寄ると、「くんくん」と鼻を鳴らしました。思わずたじろいだぼくに、サーバルさんは立ち上がって、ぼくの肩を掴みます。 「鳥の子ならー！」 「かばんさん、羽根もフードもないのだ！」 「ええー？　じゃあ、背中のこれは？」 #けものフレンズAF

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「ええと、それが、かばん、です……」 「大きい袋みたいだよー。それから名前つけたのさー。サーバル、心当たりあるー？」 「かばん……かばん……！」 ぼくの背中のかばんをぽふぽふと叩いて、サーバルさんは何か思い当たることがあるかのようにそう言いました。 #けものフレンズAF

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「わ、わかりますか？」 「わかんないや！」 なのにあっさり、笑ってそう言われてしまいました。 「そっかー。じゃあ、やっぱり図書館に行くしかないかなー」 「そうだね！　図書館にいけばきっと教えてもらえるよ！」 フェネックさんの言葉に、サーバルさんは笑って頷きます。 #けものフレンズAF

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やっぱり、ぼくは図書館という場所を目指すしかないみたいです。 「かばんちゃん、何の動物かわかるといいね！」 「あ、はい……ありがとうございます」 満面の笑顔で、サーバルさんはぼくの手を取ってそう言ってくれました。#けものフレンズAF

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いきなり飛びかかられたときはどうなるかと思いましたが、優しいフレンズさんみたいです。 「サーバル、ボスを見てないかー？　アライさんたち、ボスを探してるのだ！」 「え、ボス？　夕方になればじゃぱりまん持ってきてくれると思うよ。お腹空いてるなら、じゃぱりまん食べる？」 #けものフレンズAF

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「ご飯より、今はお水が飲みたいかなー。サーバル、このへんの水場知らないかなー」 「あ、それなら案内するよ！」 と、サーバルさんはまた立ち上がります。 「お水が飲めるのは近くの川と、あともうちょっと先の高いところにある水場だね！」 #けものフレンズAF

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振り向いたサーバルさんは、思いついたように言いました。 「あ、高いところの水場なら、いつも場所取りになるくらいフレンズが集まるから、かばんちゃんが何の動物か知ってる子もいるかも！」 「おおー」 「それならさっそく、そこに向かうのだ！」 #けものフレンズAF

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アライさんが立ち上がり、ぼくもフェネックさんの手に掴まって立ち上がります。サーバルさんが先頭に立って、「よーし！」と右手を高く掲げました。 「さばんながいどだね！　れっつごー！」 「おー、なのだ！」 「おおー」 「お、おー……」 #けものフレンズAF

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みんなが右手を挙げるので、ぼくもやらないといけない気がして右手を挙げましたが、なんだかちょっと恥ずかしいです……。 #けものフレンズAF

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◇ 「がーいど、がーいど、さばんながーいどー♪」 そんなことを言いながら楽しそうに歩くサーバルさんを先頭に、ぼくたちはぞろぞろと歩いて行きます。なんだかずいぶん大所帯になってしまいました。 「水場まで行けば、さばんなの出口もすぐだよ！」 #けものフレンズAF

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「出口って、けっこう遠いんですか？」 「すぐ近くだよ！　ほら、こっちこっち！」 ぴょんぴょんと飛び跳ねて、どんどん先に進んでいってしまうサーバルさんを、アライさんが「待つのだー！」と走って追いかけていきます。 #けものフレンズAF

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ぼくは「アライさーん、焦って走ると危ないよー」と呼びかけるフェネックさんと、並んで歩いて追いかけます。おーい、と振り返って手を振るサーバルさんに追いついて、また四人で歩き出しました。 「サーバルさんのジャンプ、すごいですね」 #けものフレンズAF

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「ふふーん！　セルリアンが出てきたらわたしにまかせて！」 「せるりあんって……？」 「フレンズを食べちゃう怖い敵だよー。危ないからかばんさんも気を付けてよー」 「た、食べ……!?」 そんな恐ろしい敵がいるなんて……。 #けものフレンズAF

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気を付けてと言われても、どういうものなのか解らないのでは気を付けようがない気がします。 「大丈夫！　自慢の爪でやっつけちゃうよ！」 「アライさんもいるのだ！　無敵の布陣なのだ！」 サーバルさんとアライさんが並んで胸を張ります。 #けものフレンズAF

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「アライさんって強いんですか？」 「少なくとも思い込みは強いよー」 それは強いの意味が全然違う気がするんですが、大丈夫なんでしょうか……。 #けものフレンズAF