物理書籍「ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ(下)」予告
◇彼は冷たい砂を踏んだ。ドージョーの白砂ではない。浜辺の砂だった。先程まで手を繋いでいたはずのユカノは傍にいなかった。確かに、不安定なコトダマ空間では何が起こるかわからない。だがこれほど呆気なく彼女とはぐれてしまとは……。◇
2017-12-27 12:02:23◇彼は振り返った。浜辺には焚き火があった。その傍に、赤い髪の女が立つ。お互いを見る。「とっとと行きな」イグナイトは不機嫌そうに呟く、「ああ」シルバーキーはここがどこなのかを理解し、頷いた。「本当に、すまなかった」◇
2017-12-27 12:03:50◆10月10日の総力戦を前に、岡山県で起こっていた、もうひとつの出来事。ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ下巻プロローグ【ドラゴン・ドージョーにて】◆
2017-12-27 12:05:32◇ガンドーは立ち上がろうとし、よろめき、膝から崩れた。「マッタ、いや、大丈夫だ、すぐ痺れは治る筈……銃!俺の49は畜生……どこにやった!」立ち上がり、震えるミコシの襟を掴んだ。◇
2017-12-27 12:09:28◇……アズールは黒いマントを打ち振り、口径の大きいハンドガンを床に投げ落とした。彼女が道中で確保した武器だ。ガンドーはそれを蹴り上げ、掴み取った。贅沢は言えない。BLAM!「イヤーッ!」イフリートはガンドーを見ず、片手を上げて銃弾を焼き消した。「マジかよ」ガンドーは呻いた。◇
2017-12-27 12:11:26◇「来たか」デスドレインは唇を舐めた。「すましてやがるが、そこがまた救えねえ、どうしようもねえカス野郎……お前、なかなかイイよ」爆発で飛び散ったアンコクトンがデスドレインの眼前の盾に吸い込まれ、大きく育った。「どっちにせよ殺すけどな……」◇
2017-12-27 12:14:39◆ニンジャスレイヤーが洋上艦隊で戦い続けていた頃。ガイオン最後の私立探偵は、透明の獣に跨った少女と共に、キョート共和国軍が生み出してしまった制御不能の戦略ニンジャ兵器、デスドレインと対峙していた……!【グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン】後編!◆
2017-12-27 12:19:13◇目標地点は「ャー都会カルチ……」!アマクダリより早く、マンション名と最短経路が視界ナビに示されると、ユンコはハイウェイから飛び降りた!「暗黒管理社会ファックオフ!」◇
2017-12-27 12:23:31◇『アルゴスより、作戦目標を再確認する。第一作戦目標、機密データの奪取。副次作戦目標、セクトの通信網を……ザリザリザリ……翻弄するハッカーカルト……違法……ザリザリザリ……中継ポイントを撃破』IRCにノイズが混じり始める。違法電波の発生源が近い。「シャドウドラゴン、了解しました」◇
2017-12-27 12:25:43◇「も、も、も、もうダメだ……今度こそニンジャに殺される……」モナコはチャブの下に隠れ、打ち上げられたマグロめいて口をパクパクさせた。「……シェリフに、伝えなきゃ」「エッ?シェリフ?」ユンコが振り向くと、ピンク髪のジャンキー・ベイブは不意に立ち上がり、どこかに電話をかけ始めた◇
2017-12-27 12:31:08◆アマクダリの月面UNIX基地から盗み出された機密データは、ネオサイタマのスラム街アパートへと転送されていた!都市監視カメラ網と同期したアルゴスが、アマクダリ・アクシスが、ハイデッカーが、ャー都会カルチへ迫る!ユンコは機密データを確保できるのか!?【フェアウェル・マイ・シャドウ】!◆
2017-12-27 12:34:01◇KABOOOOM!再び爆発音と振動!「早く来て!」ウイチャンが手招きした。二人は最上階へと到達する。フスマを引きあけると、そこはガラス張りの展望台。二人のニンジャがいた。派手な布を何枚も重ねたソファの上に大柄なニンジャが一人。極度の集中状態にある。そして車椅子に座ったニンジャが一人。◇
2017-12-27 12:37:33◇「その力、よく使え」ファーリーマンがヤモトに言った。ヤモトは壁を蹴り、セントールの背に着地した。BRATATATA! BRATATATATATA! 武装ニチョーム市民達が銃撃を受けながら駆けてくる。「イヤーッ!」「グワーッ!」ヤモトは彼らを庇うように動き、追撃ヤクザを容赦なく斬り殺した!◇
2017-12-27 12:42:23◇「頑張りなさい、何度でも治してあげる」キュアはチャを啜った。「何度でもね。だから、私の手をそこの卑しいニンジャ相手に煩わせないよう、頑張りなさい……」「「肝に銘じております!」」スーサイドにカラテを繰り出しながら、ペイシェントは叫んだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」◇
2017-12-27 12:45:44◇……『スターゲイザー。その装甲はヘリオス・ヘヴィアーマー。肉体と同化してる。ナノカラテエンジンと呼ばれるシステムを内蔵し、不死身。衛星軌道上の人工衛星から不可視波長のボディ構築情報を常に受信してる。だから、どれだけ破壊されてもアーマーを肉体ごと再構築する!』……◇
2017-12-27 12:49:28◆アマクダリ・セクトは、シマナガシやサヴァイヴァー・ドージョーを含む反抗勢力を全てニチョームに封じ込め、包囲殲滅作戦を開始した!北ゲート外にはスターゲイザー率いるアクシス機動部隊!南ゲート外にはキュア率いるヨロシサン製薬バイオニンジャ部隊!【ニチョーム・ウォー】が幕を開ける!◆
2017-12-27 12:51:56◇「ドーモ、ミチグラ・キトミです。今夜もノンストップ!庶民の味方、ネオサイタマ・プライド!」市街の大型ディスプレイに、精力的な司会者の顔と、不自然にボリュームのある髪型が映し出された。◇
2017-12-27 12:53:48◇市街。ごった返す人の波。市民らは安らぎを得るためネオサイタマ・プライドを見上げる。「帰り道に指名手配犯でも転がってねえかなァ!」ヨタモノが言葉を交わす「なるべく弱そうなの」「女のテロリストがいいな」「俺たちで捕まえりゃさらにポイント倍点で…アウーチ!痛ェな。何だよ、オッサン」◇
2017-12-27 12:56:52◆ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリが終わる。重金属酸性雨の降るネオサイタマの路地裏で。【ネオサイタマ・プライド】◆
2017-12-27 12:58:31◇「ドーモ。スパルタカス=サン。ニンジャスレイヤーです」赤黒装束のニンジャは目の前の敵にオジギをした。その者も同様にニンジャである。「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。スパルタカスです」オジギを返す。白黒ファイアパターン装束と真鍮のメンポ、鎖の防具が醸し出す強者のアトモスフィア◇
2017-12-27 13:01:39◇決闘バトルフィールドの奥には「タチアイニン」が四人。それぞれ三枚重ねたザブトンの上に座り、オジギする決闘者を見守っている。……一人は、プラチナブロンドの髪を後ろに撫で付けたキモノ姿の褐色肌の男。アガメムノン。その横には群青の瞳と酷薄な表情の少年。ラオモト・カンの忘れ形見、チバ◇
2017-12-27 13:10:08◇……では、ニンジャスレイヤー側はどうか。一人はソクシンブツめいて痩せ、日焼けした老人だ。もう一人は滑らかな黒髪を伸ばした男。サングラスをかけ、骨めいた白い指で銀の装身具を弄ぶ。どちらもニンジャだ。老人の名はマスター・ヴォーパル。黒髪の男はフィルギア……◇
2017-12-27 13:12:11