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愛がほかのものの入る余地を残さないとあなたが考えるなら、それは間違いよ。なにかを愛しながら、それを見下すことも可能なんだから 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アデイーチェ
2017-12-30 23:09:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「あなたはオデニボを許してあげるべきだと思いますよ」 「わかりました。ありがとうございました」 「彼のためではありません。あなたのためです」 「えっ?」 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-02 17:41:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「彼を許すことだと考えてはいけません。あなた自身が幸せになることだと考えるのです。あなたが選んだ不幸をこれからどうするのですか?不幸を食べるつもりですか?」 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-02 17:41:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
オランナは彼女の頭の下にそっと枕を入れてやり、座って考えた。たったひとつの行為が時空を超えて反響し合い、決して洗い流せない汚点を残していくのだ。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-02 17:48:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
生命とはなんとはかないものか、悲劇を選ばないとはどういうことか。オランナはオデニボの家にもどろうと思った。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-02 17:48:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
こうしてベビーベッドに寝ている無防備な人間といると、他者にこれほど依存しきっている存在はそれ自体が、より高貴な、善なるものが存在する証であるに違いないと思った。事態が変わったのだ。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-06 22:49:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「わたしは信じるわ。善き神の存在を信じる」 「僕はどんな神も信じないよ」 「知ってる。あなたはなにも信じないのよね」 「愛」といって彼はオランナを見た。「僕は愛を信じる」 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズイ・アディーチェ
2018-01-06 22:49:48![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
笑うつもりはなかった。でも笑いがこみあげてきた。愛もまた、不合理なものだと彼女はいいたかった。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズイ・アディーチェ
2018-01-06 22:49:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ようやく眠りに落ちる寸前、ふと、モリエールの劇のことが脳裏に浮かんだ。「壊れない幸福など退屈なもの、幸福には浮き沈みがなければ」その台詞は奇妙に心なぐさめるものだった。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-06 22:54:07![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「おじいちゃんがよくいってたわね、困難なことを切り抜けたときのことを。『オ・グブロ・ム・エグブ、オ・メー・カ・ム・マル・イフェ(それは自分を殺しはしない、知恵を授けてくれる)』って」 「覚えているわ」 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-06 23:07:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「あまりに許せないことがあると、ほかのことは簡単に許せるようになってしまうわね」カイネネがいった。 ちょっと沈黙があった。オランナの内部で、枯死していたものが急に生命を吹き返した。 「わたしがなんのことをいっているかわかる?」 「ええ」 「半分のぼった黄色い太陽」 アディーチェ
2018-01-06 23:07:20![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
それから彼女は、敷地内のいちばん奥の建物へ向かって歩き出した。「さあ引き返し不能地点へ行くわよ」 オランナはついていった。最初のドアで臭気が襲った。鼻孔からまっすぐ胃まで達し、胃の腑をひっくり返し、朝食に食べた茹でたヤムイモを激しくかき回した。 「半分のぼった黄色い太陽」
2018-01-06 23:13:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ときどき彼らが嫌いになるの」とカイネネがいった。 「ヴァンダルが?」 「ちがう、彼らが」カイネネはそういうと後ろの教室を指差した。「死んでいくから、嫌いになるの」 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-06 23:18:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ウグウはそのタイトルを、あとで口のなかでころがしてみた。『私たちが死んだとき世界は沈黙していた』。タイトルが頭から離れず、恥ずかしさでいっぱいになった。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-08 15:18:41![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
バーのあの女のことを思い出したからだ。汚い床に仰向けにされて、苦痛に歪めた彼女の顔を、その目に浮かんだ憎悪を。 「半分のぼった黄色い太陽」 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
2018-01-08 15:18:42![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「オケオマの詩を覚えてる?もしも太陽が昇るのを拒んだら、太陽を昇らせるっていう詩だけと?」とオランナが訊いた。 「気魄で煮えたぎる土鍋も、上に登るわれらの足を冷ます」 「そう、それ」 「そこが僕のいちばん好きなところだ。ほかは思い出せないな」 「半分のぼった黄色い太陽」 アディーチェ
2018-01-08 15:25:40