「経済学的な家族ツイート」まとめ その35

ピアノ少年たちの想いを聞き、イジメ問題の解決に乗り出した息子たち。しかし、スポンサーの意向、締め切りなどいくつもの制約により、次第に追いつめられてゆく。ギリギリの状況で放つ、息子の起死回生の一手とは?生徒会の真価が試される、シリーズ第35弾公開!
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本の虫(本体) @honnomusi

政治学的な学級裁判1:放課後、特進クラスの教室でイスに座り、向かい合う生徒会役員と、特進クラスの生徒や担任たち。その中にはピアノ少年の姿もあった。息子(会議を開くにあたり、最も重要なのはその座組をどうするかだ。裁判にせよ国会の話し合いにせよ、顔ぶれで大体の方向性は決まってしまう)

2018-01-04 21:36:24
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政治学的な学級裁判2:生徒会室で作戦を練る息子たち。ホワイトボードにここまでの論点を書き出す。 息子「彼らの希望を聞いたことで、一番に実現するべきことは決まった。『人間関係に禍根を残すことなく、偏った仕事の分配を正すこと』だ」 息子はホワイトボードに追記してゆく。

2018-01-04 21:39:56
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政治学的な学級裁判3:息子「それを実現するのに最適なメンバー構成は何だろうか?それを考えるために、過去のクラス会がどのように運営されてるのかを調べてみた。文化委員、報告をお願いてきるかな?」 文化委員「参加メンバーは特進クラスの生徒会全員と、担任たちのみでした。」

2018-01-04 21:42:31
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政治学的な学級裁判4:美化委員「えっ、それじゃあ、仕事を押し付けられた彼は一人で全クラスメイトを相手することになるじゃない。そんな形じゃあ、気圧されるのも無理ないわ。」 息子「その形態をとるなら、多勢に無勢の彼に、議長である教師が相当肩入れをしないとバランスが保てない。でも・・・」

2018-01-04 21:45:09
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政治学的な学級裁判5:文化委員「しかし、教師が助け舟を出す様子は見られなかったとのことです」 手元のノートを閉じる文化委員。 文化委員「意地悪な見方かもしれませんが、『対策を打った』というポーズをとりたかっただけ、とも取れますね」 怒りで肩を震わせる美化委員。

2018-01-04 21:47:43
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政治学的な学級裁判6:美化委員「・・・実際に2人に話を聞いたのは、私と生徒会長だけかもしれないけど・・・」 美化委員「・・・あの2人、最後まで『相手のことを助けてやって欲しい』と言い続けてたわ。何で?あんなにお互いのことを思い遣ってる2人が、なんであそこまで苦しまなきゃいけないの?」

2018-01-04 21:51:36
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政治学的な学級裁判7:息子は美化委員の肩に手をやる。 息子「残酷だが、理不尽は誰のところにでも降りかかってくる。」 息子「だからこそ、抗わなきゃいけないんだ。知恵を絞って、肩を寄せ合ってさ」 決意を秘めた目で頷く美化委員。 息子「過去の事例を踏まえて、新しい案を考えてみよう」

2018-01-04 21:55:10
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政治学的な学級裁判8:息子は会議メンバーの顔ぶれを見渡す。 息子(まずはパワーバランスを保つため、生徒の参加はピアノ少年と、主犯格と見られる3人に絞った。さらに担任と副担任にはクラス全体への問題共有のために参加してもらい、そこに自分を含めた生徒会役員3名を加える。進行役は生徒会だ)

2018-01-04 21:59:42
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政治学的な学級裁判9:息子「このたび、特進クラスの企画内容を確認したところ、特定の人間への負担が大きすぎると判断したため、審査を一旦保留としています。そこで、背景確認と、今後の方向性を決めるためにこの場を設けました。」 息子「なぜ、このような企画になったのでしょうか?」

2018-01-04 22:02:48
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政治学的な学級裁判10:主犯格「それは前に聞かれたときにも言った筈だが?うちのクラスの強みは何だろう?となったときに、彼の名前が上がったんだ。それで、彼を前面に押し出すのがいいということでクラスがまとまったんだよ。」 主犯格2「そうよ、別に舞台に上がる人が少なくたっていいじゃない」

2018-01-04 22:05:35
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政治学的な学級裁判11:息子「そうであれば、舞台裏の役割分担はどうなっていますか?企画書を見る限りだと全く記載がありませんが」 主犯格3「それは・・・」 息子「それに、この企画書を書いたのは誰ですか?筆跡を見る限り、演奏する予定の彼のように見受けられますが・・・」

2018-01-04 22:08:59
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政治学的な学級裁判12:息子「舞台裏の役割は後から決めるのは百歩譲ってよしとしても、企画書作成の段階から彼に全て書かせるというのは筋が通らないのではないですか?」 主犯格「・・・」 息子は美化委員に目配せする。 美化委員「実は、この企画書に関連してもう一つ確認したいことがあります」

2018-01-04 22:12:58
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政治学的な学級裁判13:美化委員「聞き取りをしていたときに偶然見かけたんですが、演奏者の彼は、掃除当番でないにも関わらず、教室近くのトイレを掃除していました。そのときは他の人と交代してもらったのかと思って素通りしていたんですが、次の日も彼は掃除をしていたそうです」

2018-01-04 22:14:42
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政治学的な学級裁判14:息子(人間関係に禍根を残さないため、この話し合いは彼からの告発ではなく、『生徒会が自主的に調査して発見した』という体をとることにした。こうすれば矛先が向くのは我々生徒会だけ。彼や幼なじみは報復を受けずに済む。) 美化委員「更に、日直当番でも同様のことが・・・」

2018-01-04 22:17:58
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政治学的な学級裁判15:息子(こういったときには、とにかく入念に材料を準備して一気に畳み掛ける必要がある。相手が証拠隠滅に走る隙を与えないように、攻め立てなくてはいけない。) 文化委員「・・・以上の点を踏まえまして、修正版の企画書を期日までに生徒会にご提出下さい。」

2018-01-04 22:21:37
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政治学的な学級裁判16:息子「期限までにご提出いただけない場合、特進クラスだけ企画が進んでいないと、学年主任の先生に報告をしなければなりません。」 担任たちの空気が凍りつく。 息子「そのときには今回の調査結果も連携することになりますので、そのつもりでお願いします。」

2018-01-04 22:30:52
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経済学的なデッドライン1:美化委員「あー、スッキリした。やっぱり言いたいこと言うのは気持ちいいわね。」 文化委員「あとは向こうがどう出るかだね。」 息子「いずれにしても、こちらは二人の意思を最大限尊重した行動をとる。この件に原則は変わらないな」 そこへ、ドアをノックする音がする。

2018-01-04 23:00:57
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経済学的なデッドライン2:幼なじみ「・・・こんちには」 美化委員「あら、いらっしゃい。どうしたの?」 幼なじみ「・・・あの、みなさんによかったらこれ・・・」 袋いっぱいの缶ジュースを机の上に置いた。 美化委員「ええっ、飲み物をこんなにいっぱい・・・何で?」 幼なじみ「差し入れです」

2018-01-04 23:03:32
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経済学的なデッドライン3:もじもじしながら、話を繋ぐ幼なじみ。 幼なじみ「その、みなさんに頑張ってもらってるから、何かお礼をと思って・・・」 美化委員(ジーン・・・) 幼なじみに抱きつく美化委員。 美化委員「もー可愛いなぁ、この子は!高かったでしょ?お金払うからレシート頂戴。」

2018-01-04 23:06:16
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経済学的なデッドライン4:幼なじみ「えっ、いいですよ別に。ほんのお礼なので・・・」 美化委員「こんな可愛い子に払わせられる訳ないじゃない。ここはお姉さんに任せなさい。」 息子が幼なじみの方に歩み寄る。 息子「ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ。ただ・・・」

2018-01-04 23:08:34
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経済学的なデッドライン5:息子「話し合いが続いてる間は俺たちと学校で接触するのはなるべく避けたほうがいいかもしれない。」 幼なじみ「えっ・・・何でですか?」 息子「君がこうやって俺たちと話してる姿を見たら、この件に君が深く関わってることに誰かが勘づくかもしれない。」

2018-01-04 23:10:22
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経済学的なデッドライン6:息子「それで万が一君に危害が及んだら、彼の希望にも反するだろ?」 幼なじみ「・・・確かに、そうですね。すいません、私そんなことまで気が回らずに。」 息子「もし話したいときは、個別にメールをくれればまたどこかの喫茶店ででも会えるからさ。」

2018-01-04 23:13:21
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経済学的なデッドライン7:こっそりと生徒会室を出てゆく幼なじみ。その後ろ姿を見送った後でソファに座る息子たち。 美化委員「なるほどね。私なんか『可愛い!お持ち帰りしたい!』って感情しか湧かなかったわ。その辺りまで考えてなかった」 息子「彼はかなりの覚悟を持って俺たちに依頼をしてる」

2018-01-04 23:16:08
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的なデッドライン8:息子「もし、ここで話がこじれて彼女に危害が及べば、おそらく彼はもう二度と俺たちを頼ってくることはないだろう。」 息子「ただでさえ何度も教師やクラスメイトから裏切られて不信感の塊になってるんだ。それを拭うには、細心の注意を払わないといけない。」

2018-01-04 23:18:35
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経済学的なデッドライン9:息子「俺たちが引き受けたのは、それくらい大きな仕事なんだよ」 微笑む美化委員。 美化委員「・・・そうね。私たちの肩にあの子たちの学校生活がかかってるんだから、気をつけないとね。」 文化委員「・・・なぁ、真面目な話してるとこ悪いんだけどさ・・・」

2018-01-04 23:24:35