「経済学的な家族ツイート」まとめ その４９

本の虫（本体） @honnomusi

経済学的な大岡裁き1:会議室に向き合う息子たちと相手校の生徒会たち。 息子(改めて、今回の話し合いで取り決められた内容をまとめてみよう) 息子(事の発端は文化祭の屋台の収支報告がされていなかったことだ。生徒たちは自分たちで屋台を切り盛りし、売上を上げた。これの何が問題か？)

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経済学的な大岡裁き2:息子(ここでポイントなのは、学校の敷地内、しかも公式行事である文化祭の中で販売が行われたことだ。販売した生徒たちはこれにより"独占的な飲食物の販売"という恩恵を受けている。しかも、もし食中毒が起きていれば学校は責任を免れない。完全なるただ乗りである。)

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経済学的な大岡裁き3:息子(本来であれば事前に飲食店の出店申請を出し、学校や生徒会の監督のもと実施されるべきところだが、彼らはその手順を飛ばしてしまった。この過失は重く見るべきだ。では、この行為に対する罰則はどこまでが妥当か？) 座席で手元の資料に目を通す息子。

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経済学的な大岡裁き4:息子(当初の案では自宅謹慎というアイディアも出たが、そこは生徒会として必死の抵抗を試みた。手順には問題があったが、出店自体は生徒の積極的な取り組みとして歓迎されるべきものだ。自由な経済活動は社会発展の要。厳罰で萎縮させるべきではない。)

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経済学的な大岡裁き5:息子(最終的に決定した対応内容はこうだ。) ①出店に関わった生徒を調査 ②関係する生徒が判明し次第、事後ではあるが収支報告の提出を命ずる ③報告を怠ったことについて反省文の提出を命ずる ④地域の清掃活動に参加することを命ずる ⑤屋台出店時の報告フォーマット作成

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経済学的な大岡裁き6:息子(負担が多少重クエリ感じるかもしれないが、ここに至るまでにも相当な押し引きがあった。もともとこちらの旗色が悪い中で、引き出せる譲歩はこれが限界だった。) ページをめくる。 息子(続いて、部活の収支報告の不整合についてだ。)

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経済学的な大岡裁き7:息子(これについては方針が以下のように決定した。) ①指摘された部には理由の説明を求める ②生徒会が内容を確認し、外部機関(この場合は隣区の生徒会)にも内容の妥当性をチェックしてもらう ③不正が発覚した場合は来年度の予算を減額。 ④共通の収支報告フォーマットの作成

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経済学的な大岡裁き8:息子(こうして長きに渡る戦いの末、今後の対応方針はまとまり、無事に新校舎の改修に漕ぎ着けることができた。知らせを聞き、俺たちはささやかな祝杯を上げた。) ・・・この後に待ち受ける、地獄も知らずに。

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法学的なコンプラ地獄1:息子(その知らせは突然舞い込んできた。) 教師「今日の朝のホームルームは中止です。みなさん、チャイムが鳴ったらそのまま授業に向かって下さい」 急いで教室を出て行く教師。 悪友「なんだ？何かいつもと様子が違うな」 廊下を覗くと慌ただしく職員室に教師が入ってゆく。

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法学的なコンプラ地獄2:息子「・・・耐震性に問題あり？」 生徒会室で教師から説明を受ける生徒会役員たち。 教師「工事に着手しようとしたところで発覚した。改修ではなく、土台から作り直さないと危険だそうだ。」 美化委員「そんな！今回の寄付金は改修前提のお金でしょ？」

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法学的なコンプラ地獄3:教師「ああ、土台から立て直すには明らかにお金が足りない。着手した以上、引き返すことはできない。校長も教頭も資金繰りに奔走しているところだ」 絶望的な表情で頭を抱える息子。 教師「それと、先方の生徒会から連絡があった」 手元から紙を取り出して広げる教師。

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法学的なコンプラ地獄4:教師「今までと前提が変わったので、今後の協力関係についてはもう一度見直したい、とのことだ。」 生徒会役員たち「・・・」 重苦しい沈黙が流れる。息子たちは呆然とした表情で、教師がプリントアウトして来たメールを見つめていた。

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法学的なコンプラ地獄5:会計少年「耐震性の問題は偶然の産物だが、こちらの交渉をより有利に進めるための格好の材料だ。」 生徒会室のソファに座り、法学少年と向き合う会計少年。 会計少年「学校法人は公共的な性格を持っているため、継続可能な収支バランスを保たなくてはならない。」

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法学的なコンプラ地獄6:会計少年「改修の話は、建築費用のほとんどが今回の寄付で賄え、それ以降のランニングコストは通常の収入で支払い可能だったからこそOKが出た話だ。しかし、加えて耐震工事もしなくてはならないとすればこのプランは崩れる。」 法学少年「国や地方自治体から出る金はあるが」

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法学的なコンプラ地獄7:会計少年「出るとしても3分の1だ。残りの3分の2は他から調達しなくてはならない。」 法学少年「・・・よし、そろそろ揺さぶりを始めるか」 息子「・・・やられた！」 美化委員「どうしたの？」 息子は先日の決定事項が記された資料を指差す。

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法学的なコンプラ地獄8:息子「決定事項にさりげなくこんな文言が入ってる。『今回のプロジェクトの前提に重大な影響を及ぼす出来事が起きた場合、上記の規定を改めて見直すための協議の場を設けることとする』 つまり、今回みたいな事が起きるたびに、俺たちは話し合いに応じなくてはいけない」

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法学的なコンプラ地獄9:法学少年「今回のルール作りのメインディッシュは再発防止策のほうだ。これで彼らの決定に介入できるようにし、我々の影響力を徐々に強めていく。今回の罰則規定について大量の論点を提示し、話し合いでもゴネたのは、この防止策の文言から注意を逸らすためだ。」

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法学的なコンプラ地獄10:息子「前提が変わるたびにあんな大変な話し合いを行なっていたら生徒会が機能不全になる。そもそも耐震性の問題は本来であれば学校の経営層の問題であって、生徒会が攻撃を受けるものではない。ここは原理原則に立脚した論を展開して、責任の分離を図らなくてはいけない。」

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法学的なコンプラ地獄11:息子(そうこうしているうちに、各部の収支報告が提出されることになった。生徒会でチェックを終えた後、彼らに監査をお願いすると・・・) 会計少年「指摘事項があります」 会計少年「添付されたレシートを見たところ、ポイントが加算された記載が多数見られます。」

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法学的なコンプラ地獄12:会計少年「一時的に立替えているとはいえ、元を辿れば部活の予算は部員から集めたみんなのお金です。そこからポイントという形で利益を個人の懐に入れるのは、問題のある行為です。しかも、同様の行為が多数の部活で見られます。生徒会のチェックが機能してませんね。」

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法学的なコンプラ地獄13:法学少年(法律が厳しくなると、違反件数が増える。新しい法律が制定された直後にはよくある現象だ。虐待の法律が整備されると社会のアンテナが鋭くなり、今まで見逃されていた虐待も通報される。さらに、件数カウントの基準も厳しくなれば、結果的に施行前より虐待数が増える)

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法学的なコンプラ地獄14:法学少年(報告基準を厳しくして、摘発件数を増やし、それをもとにしてさらに締め付けを厳しくしてゆく。やがて相手はルールに縛られて雁字搦めになり、こちらの意のままに操れるようになる。) 会計少年の攻撃を受けて青ざめる息子たち。その様子を見つめる生徒会長。

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法学的なコンプラ地獄15:生徒会長(法律には様々な側面がある。立法過程、条文解釈、法の執行・・・。彼はそれら全ての面を知り尽くし、自由自在に使いこなす。引き抜いて連れて来た時、彼は3日間でうちの学校の校則全てに目を通し、旧態依然とした規則全てに改正案を作成した。)

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法学的なコンプラ地獄16:生徒会長(しかも、代替案の作成だけではなく、法案内容の説明から可決のための全校集会の開催、その後の執行のプロセスまで1人で完璧にこなした。我が校の生徒たちは、畏怖の念を込めて彼のことをこう呼ぶ。"ミスター・ルールブック"と・・・。)

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法学的なコンプラ地獄17:会計少年「・・・以上から、ポイントを取得した生徒の究明と、過去にも同様のことがあったかどうかの調査を求めます。また、会計報告の基準もより詳細な案を作成したので、話し合いを繰り返しながら盛り込んでゆきましょう」 青ざめた顔で沈黙する風紀委員。