2部 5章 【バニラエッセンス】

入江の魔人シリーズ第17弾
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えみゅう提督 @emyuteitoku

私は自分でも気づかない内に、ソルトレイクシティに掴みかかっていた。「――どうして!どうして指揮官は!!!そうやって無神経に他人の領分に踏み込むんですか!」ソルトレイクシティは答えなかった。彼女はただ、自分が誰にどう呼ばれたのか、その事実に目を丸くしていた。50

2018-01-11 00:02:28
えみゅう提督 @emyuteitoku

「五月雨、お前今、指揮官って」「あ――」指揮官、その呼び方を口にしてしまった途端、私の全てが崩れ落ちた。51

2018-01-11 00:03:31
えみゅう提督 @emyuteitoku

「どうした!なにしてんだよ!おい!誰か来てくれ!五月雨が変だ!!」「何よ、何かあったの――って、ちょっとどうしたの!」「おお葛城か!丁度良かった、五月雨の様子が変なんだ!」「なんで倒れてるのよどうしたの!?一体何が――」「今さっき変だって言ったろうがこのアホ!」52

2018-01-11 00:04:36
えみゅう提督 @emyuteitoku

何も変わりない。あの時と一緒だ。あの戦いの直前、私が怯え竦んだ時、指揮官は強がって、自分も同じくらい怯えながら、私を励ましていた。同じだ――私が沈んだあの日と同じ。53

2018-01-11 00:07:02
えみゅう提督 @emyuteitoku

おいしっかりしろ! | おいしっかりしろよ。54

2018-01-11 00:07:58
えみゅう提督 @emyuteitoku

心配するな      | 心配すんな 一緒にいてやるから… | 私がいるんだからよ。55

2018-01-11 00:09:52
えみゅう提督 @emyuteitoku

だから安心しろ五月雨! │ だから安心しろよベイリー。56

2018-01-11 00:10:21
えみゅう提督 @emyuteitoku

私は走った。葛城さんを突き飛ばして、指揮官の命令に背いて、あの忌まわしい入江から、私は逃げ出した。「ア…アァァ…!アァァァアアア!!」自分の口からあふれ出る叫びの意味すら分からない。私は、一から十まで狂ってしまっていた。「ハハ、ハハハハ、簡単だ。簡単な事だ」58

2018-01-11 00:12:28
えみゅう提督 @emyuteitoku

××××は××××を倒すために生まれた。なら××××の私が××××のために戦うのは当然じゃないか。あの泊地には××××がいる、なら××××の私が××××を倒すために××××に加担するのは当たり前の事だ。××××だってそれを望んでいる。私は私の役割を、こなすだけ。59

2018-01-11 00:13:31
えみゅう提督 @emyuteitoku

ここがどこかなんてどうでもいい。私は公衆電話のダイヤルを、帝国海軍本部への直通へと回した。非常回線だ、1秒もかからずにつながった。もう何も待つ必要はない。私は××××として××××を追い詰める。「幌筵島極北、江見悠が指揮する泊地について、告発したいことがあります」60

2018-01-11 00:14:13
えみゅう提督 @emyuteitoku

【バニラエッセンス 了】

2018-01-11 00:14:38