ライフ・アフター・デス ＃２

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ライフ・アフター・デス】#2

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（あらすじ：シトカのフジミ・ストリートの酒場＜筋＞に間借りするニンジャ、スーサイドは、かつてシンウインターに破れ、以来その運命を握られている。シンウインターからニンジャスレイヤー捜索を命じられた彼は、ニンジャスレイヤーを追ってシトカにやってきたコトブキを利用しようと企てるが……）

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Отмывание中（オトミバニーイェ）。ロシア様式のカドマツを軒先に飾る奥ゆかしいカジノの屋号である。顔がそっくりのロシアンクローンヤクザ数名のオジギを受けて店を出入りするのは、いかにも怪しい手段でカネを稼いでいると思しき悪趣味な連中だ。　1

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巨大なエメツ利権の流れを集めるシトカの重要性は、対立暗黒メガコーポによるポータルBANで到底削りきれるものではない。巨大ツェッペリンや鬼瓦武装客船で世界中の闇の者らが訪れ、カネや武力やカラテのやり取りの流れは絶えない。冷たく凍りついた港の夜のネオン光景は、竜の巣のごとき宝石だ。　2

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「儲かってるドスエ？」「頑張って資産200倍アリンス」蠱惑的カジノオイラン達が黒いワインを注いで回る。高い位置の実演台ではイタマエが巨大サーモンを解体している。ストコココピロペペー。あちらのスロットマシンでは 「ナスビ」が三つ揃い、ジャックポットだ。「アバーッ！」客は興奮嘔吐！　3

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「景気がいいじゃねえか。あやかりてえなァ」ネオサイタマ・アクセントの男は、配られたカードを撫で、犬歯がちの歯を見せて笑った。一見堅物じみた眼鏡と後ろに撫でつけた髪が、野卑なアトモスフィアと調和の不良を起こしている。彼はソウカイヤのニンジャである。名をインシネレイトという。　4

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「オイ。アンタどうだよ。なんだァそのツラ？アブねえなあ、何考えてやがる？俺に勝とうとしてるか？イカサマすんじゃねえぞ」隣の一般客にうるさくちょっかいをかけるインシネレイトを、ヴァニティは肘で突いた。「黙って」彼女は胸元の深く開いたドレスを着ている。インシネレイトはヘラヘラ笑う。5

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カードを確認すると、インシネレイトの笑いはさらに強まった。「アー……これは間違いねえ……」彼はカードを交換する他の客たちを侮蔑的に眺めた。「俺はこのまま行く。度胸だろ、こういうのは。キアイで勝つんだよ。お前らにこの時点で俺は勝ってる」「すごい」と、ヴァニティ。「頭の悪さが」　6

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「ハハハ、参りましたな……」紳士然とした一般客がハンケチで汗を拭いた。インシネレイトは睨んだ。「何だお前？」「お客様。どうかそれぐらいに」ディーラーがたしなめた。ヴァニティはインシネレイトにそれ以上話しかけなかった。ハンケチの客は恐れずチップを積んだ。　7

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「いい度胸だな？」「恐ろしいですな」紳士然とした客は苦笑した。ヴァニティは肩をすくめ、途中で降りた。「ドーゾ」やがて彼らは札を開いた。「ツーペアだ。運がツイてる」「スリーカードです」と、紳士。「アア？」インシネレイトは凄んだ。時すでに遅し。「私はそろそろ止めておきますかな」8

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「スッゾオラー……勝ち逃げか？コラ」インシネレイトの端正な顔が怒りに歪んだ。「もう一戦やれや」「困りましたな」紳士は苦笑した。「ではもう一度だけ」カードが配られる。「おう。ガン積みだ。ツキまくってやがる」「……」再びチップが積み上がる。ヴァニティはじっと見ている。　9

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カードを開く。インシネレイトは３とジャックのフルハウスを示した。「……」紳士は片眉を動かした。ディーラーが奇妙な沈黙をした。紳士は８のスリーカード。「お前、またスリーカードか？まあいいけどな……」インシネレイトはチップをかき集めた。「イタダクゼ」　10

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「どうしたの？」ヴァニティが不意に紳士に尋ねた。紳士は瞬きした。「いえ、何も」「こいつを負けさせてくれる？」「……」「……」紳士とディーラーはほんのコンマ１秒の目配せをかわした。「……わかりました」「勝つッて言ってンだよ。俺が！」インシネレイトは拳でテーブルを叩く。「俺がな！」11

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双方、チップを積み続けた。インシネレイトは絶対の確信を持っているようだった。しかし紳士は降りなかった。試すように。リミットに達した。双方カードを開いた。紳士は息を吐いた。「……Aのフォーカードです」あからさまですらあった。「アリガトゴザイマ……」「ヤッタ！俺、ファイブカード」　12

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インシネレイトは目を細めて笑い、チップをかき集めた。いつの間にか空間の喧騒が静まり返り、卓に凝視が集まっていた。不穏なアトモスフィアだ。「……お客様」インシネレイトの後ろに黒服が立った。「何だ？イカサマ扱いすンのか？俺を？ヴァニティ＝サン、何とか言ってくださいよォ」　13

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「あちらの別室へ」黒服が促した。「ハァ？ナメてんじゃ……」「行きましょ」ヴァニティが立ち上がり、インシネレイトの肩を叩いた。インシネレイトは素直に立ち上がった。「ああ、もういいのか？ハイハイ」去り際、卓を振り返った。「テメェら。潔白を証明してくるから首を洗って待ってろ」　14

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……別室は表とは打って変わって、コンクリート打ちっぱなしの薄汚い空間だった。「ドーゾ」黒服が示した硬い椅子に、二人は腰を下ろした。「デッカーの取り調べみたいじゃないッスかァ……」インシネレイトがヴァニティに笑いかけた。「ガキの頃憧れたぜ……懐かしくなっちまうなァ……」　15

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すると、突如！奥の壁がドンデンガエシめいて回転し、腕組みして直立するニンジャが現れたのである！「ドーモ。ヴイシバラです」ニンジャはオジギした。有無を言わさぬ強硬姿勢を隠さないアイサツである。コワイ！「監視カメラ検証の結果、イカサマが確認されたゆえ、貴様らを制裁する」　16

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「ハァー？」インシネレイトは首を傾け、前傾姿勢から睨み上げた。「俺ァ清廉潔白のギャンブル初心者……ビギナーズ・ラックがシバかれる世の中ンなったら、カジノに意味なんてあンのかよ？ザッケンナコ……」降った腕からバラバラとカードが落ちた。十数枚のトランプ・カードだ！「オットット」　17

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ヴァニティは失笑した。そしてアイサツした。「ドーモ。ソウカイ・シンジケートのヴァニティです。こいつはインシネレイト」「……」ヴイシバラの眉がぴくりと動いた。彼は二人のアトモスフィアから既にただならぬ相手である事を測っていたのだ。「ソウカイヤ。何の用だ」「放火しに来ました」　18

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「ザッケンナコラー！」「スッゾオラー！」ヴイシバラの左右の壁がドンデンガエシし、ロシアンクローンヤクザが現れた。一人、二人、三人！回転を繰り返すたび、ロシアンクローンヤクザがチャカ・ガンを手に出現、撃ちながらなだれ込む！BLAMBLAMBLAMBLAM！　19

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「イヤーッ！」KRAAASH！ヴァニティは目の前の長机を蹴り上げた。「イヤーッ！」インシネレイトが長机に回し蹴りを叩きこんだ。「「「「グワーッ！」」」」KRAAAASH！長机破砕！粉塵の中からヴイシバラが飛び出す！「イヤーッ！」「イヤーッ！」ヴァニティは殺人チョップを受け止める！　20

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ヴイシバラは目を見開く。チョップが戻せないのだ。ヴァニティが掴んでいる彼の手首がミシミシと音を立て始める。ヴイシバラのこめかみを脂汗が流れ落ちた。ヴァニティの氷のような表情の奥、隠し切れない恍惚のニュアンスを感じ取った。彼女に倒される者だけがそれを知る。彼は戦慄した。　21

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「ンンンン……！」「グワーッ！？」右腕が砕け、肉が裂けて、折れた肘骨が飛び出した。「イヤーッ！」「グワーッ！」さらに頭突き！ヴイシバラは叩き伏せられる。受け身を取った彼の目に入ったのは、哄笑しながら光り輝く両手を開いたインシネレイトの姿だった。炎が渦巻いた。カトン・ジツ……！　22