20180118 島村鬱月 #3

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

確かに私はこの2日で28時間眠ったしまだ眠いかもしれません。だけどそれがなんなのかなって。起きて初めて取った電話で、「他の症状も酷いだろうしダンスのレッスンなんかしてる状況じゃないと思う」って凛ちゃんが言ってくれたけど、20時間残ってるんだから何もしないのは怠惰です。

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私が寝始めて1日目、物凄い量の着信があったみたいなんです。でも寝てる間は全く気付かなくって。頑張ってないのにそんなにぐっすり寝ちゃうなんて、本当にだめですね私。救急車の人が入ってきて起こされて、暫くしてみんなが入ってきて、生きてる私を見て喜んでくれて、本当に辛かったです。

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いっそ死んでおけばよかったのかなって。未だにみんながどうしてそんなに心配してくれるのかも分からなくて。頑張ってないですよね？私……。笑顔もすっかりぎこちなくなって、何年か前に、プロデューサーさんに迷惑もかて、もっと謝らないとだめだったのかな、きっとまだ怒ってますよね、

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レッスンを、レッスンをしないと、皆に迷惑をかけないようにしないと、そう思って着替えようとして、3時間もかかるんです。信じられますか？私は頑張ってないんです。なのにみんなもう頑張るのをやめろって言うんです。助けてください。

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──島村鬱月、2回目の17時間就寝時、自宅前── 「杏が卯月を見舞いにくるなんて珍しいね」 「杏だって流石に心配だよー。そんなに体調崩れて……って、あれ？卯月って一軒家じゃなかったっけ？」 「……うん、前はそうだったんだけどね、『独りになりたい』って言ってからこのマンションに住んでる」

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「そうなんだ。独り暮らしでずっと寝てるだけ、杏もそんな生活してみたいもんだねー」 「……杏」 「え？……顔、怖いよー。凛っち、もしかして怒ってる？じょ、冗談だよー、冗談」 「言って良い冗談と、悪い冗談がある。……中、入ろうか」 「え？卯月っち寝てるんでしょ？鍵は？」 「植木鉢の下」

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「そっか、卯月っちいつ寝てるか分からないもんね。でも流石にちょっと危ないと思……」 キィイイイイイ…… 「入るよ、卯月」 「……え、開いてるの？」 「うん。ずっと」 「ちょ、ちょっと待って、卯月っち、活動してた頃はファン多かったんでしょ？襲われたりしたら……」 「……危ないだろうね」

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「……杏ー、まさかとは思うけど、植木鉢の下に鍵置いてるって聞いたけど、……合鍵だよね？」 「ううん。この部屋の鍵はこれ一本しかない」 「……他の人に持っていかれる可能性も考えられないなんて、やっぱり杏が見てないと駄m……」 「違うんだ、杏」 「えー？」 「望んでるんだって。……卯月」

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「どういうこと？杏、わけわかんないよー」 「卯月が鍵を開けっ放しにしてるんだ。それに、杏は背が小さいから気づかなかったかもしれないけど、ドアの表には『鍵は植木鉢の下にあります』って張り紙までしてあるよ」 「……『言っていいことと悪いことがある』っていうなら、杏もそうだと思うけどね」

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「私と未央も、昔は見舞いの度にちゃんと鍵を閉めてたんだ。でも次に来た時はいつも開いてた。いっつも二人で注意して帰ってた。卯月は『えへへ……またやっちゃいましたね、私』って笑ってた。1年くらい経ってかな。流石に二人で怒ったんだ。少しは気をつけなよって。そうしたら卯月が泣き始めた」

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「……酷い、嗚咽だった。押し殺すようで、ぽたりぽたりと垂れる涙の音の方が大きいくらいなのに、酷く耳に響いたのを覚えてる。卯月が喋り始めるまで数分かかったのに、まるで数時間立ってるみたいだった。『なんで……凛ちゃんも、未央ちゃんまで、私の気持ち、分かってくれないんですか……』って」

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「『私の家に誰かが来てくれて好きにしてくれたら、動けない私でも誰かの役に立てるじゃないですか……なのに、なんで……いっつも、いっつも、二人とも、私をもっと役立たずにしようとするんですか……』って。それから私達は鍵を閉めなくなった」 「……意外とリビング、綺麗だねー」 「そうだね」

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「それじゃあ、開けようか。『一人暮らしで寝てるだけ』の、卯月の部屋。覚悟はいい？」 「……覚悟？」 「杏。悪いけど、今日ばっかりは、本気で怒ってるんだ。じゃあ、開けるね」 キィイイ…… 「これが、『働かない』ってこと」 カサカサカサカサ…… 「うわっ！ゴキブ……えっ？」

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「……杏、ちょっと意味分かんないんだけど」 「そうかもね」 「……これ、どうやって卯月っちのとこまでいくのさ」 「背の低い杏には無理だね」 「……」 「もう怒る気力もない？ふぅん。よいしょっと」 「……ねえ、そのゴミの山、何色かも分からない液体でベッタリだよ」 「そうだね」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「……卯月。無茶したら過眠が出て床ずれになるってあんなに言ったのに。はは。やっぱり肌も荒れてる。ダンスが出来ても笑顔が出来ても、それじゃアイドル失格だよ、卯月……。今、サプリメント、飲ませるからね」 「……」 「着替える気力も、無かったんだ……そりゃそっか。着替えさせてっと……」

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「ごめん、凛」 「何？杏」 「杏が悪かった」 「分かったなら、良い。私もごめん」 「……ううん。ところで、ゴキブリとか湧いてるのはどうするのさ」 「大量のゴキブリホイホイを毎回置いてある。毎日生きたのが大量に捕まるから、取り替えないといけないけど。虫は殺虫剤撒いておくしかないね」

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「……刺され跡。殺虫剤をこれ以上撒くのは、卯月の健康を考えても流石に限界。……地面に貼るタイプの奴でも買って布団の周りに貼れば、どうにかなるかな」 「……『刺され跡が残ったらアイドルに戻り辛いよ』って言えば良いんじゃない？」 「……初めてなのに聡いね。私達も言ったんだけど……」

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「結論から言うと、卯月がバグったから、もう言わないことにした。叫んだり泣いたり抱きついてきたり、見てられなかった」 「……どうして？」 「卯月はダメな自分に現実を合わせようとしてる。でもそれをしたらアイドルには戻れない。どっちを選んでも上手く行かなくておかしくなる」 「……そっか」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「……卯月はね……」 「『自分が何を頑張れば良いのか』すらも分からなくなったまま、ずっと頑張ってるんだ……」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「……ふう。よいしょっと……待たせてごめんね、杏」 「ううん、杏は気にしてないよ」 「そう。……服に悪臭、染みちゃったかな。シャワーは使えるけど、最悪、クリーニング代、出すよ。勝手に怒って部屋に近づけたのは私だから」 「……良い。杏が、自分で払うよ」 「……そっか」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「……改めて、さっきは、ごめん。杏、軽口にも程があった」 「いいよ。もう気にしてない」 「それでも、だよ」 「分かってるのは、私と未央とプロデューサーくらい。最初はみんな似たような反応するよ。だから、良い」 「……そっか。……『働きたくない』キャラ、もう出来ないかもしれないや」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「……ごめんね。見舞いを断るべきだったかもしれない。卯月の様子も知らないで働きたくないって言ってる杏に、無意識でストレスたまってたんだと思う。私がわざとあの光景を1番見せちゃいけない人間に見せた」 「いいよ。……気持ち、分かる。全部分かるとは、まだ言えないけど」

うつ病になった島村卯月bot @SimamuraUtuduki

「杏、また、お見舞いに来てもいいかな」 「……良いけど、大丈夫？」 「大丈夫だよ。杏はなんだかんだで『働きたくない』って仕事をちゃんとこなすからね」 「……ふふ。そうだね」