日向倶楽部世界旅行編第33話「嘘と資格とあたしの身体」

雨降って地固まる、地図にない島であきつ丸は鈴谷にコンプレックスを吐き出し、助言を経て和解する。そして二人はそれぞれの目的のため、島を脱出すべく謎の陣地に忍び込む…
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部】 凄腕隻腕のワタリ艦娘鈴谷だよ。 人は何かにはなれる、でも誰かにはなれない、きゃーあたしってばカッコイイねぇ最高にイカしてるよ。 でもこれってマジのマジな話でさぁ、絶対に代えられない、代わらないモノってあるんだよねぇ…ま、どーでもいっか、じゃあね。

2018-02-06 21:30:29
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【前回の日向倶楽部その2】 地図にない島へ流れ着いたあきつ丸と鈴谷。 狭い洞穴の暗闇であきつ丸は自らのコンプレックスを吐き出し、鈴谷の助言を経て、すれ違っていた二人は和解を果たす。 それはそうと島を脱出すべく、彼等は先んじて上陸していた謎の集団の陣地に向かっていった…

2018-02-06 21:31:25
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第33話「嘘と資格とあたしの身体」

2018-02-06 21:31:58
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〜〜 あきつ丸と鈴谷は夜闇に紛れて陣地に潜入した。 「案外あっさりでありますな」 「人間のいない島だから警備自体はザルなんじゃない」 とは言ったものの人の往来は激しく、忍び込めても歩き回るのは難しかった。 「うーん、どうしよっかな…」 鈴谷はテントの陰から辺りを探る

2018-02-06 21:32:39
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すると少し離れたところに白衣が干されているのを発見した。 「アレだ…あきつ丸ちゃん行くよ」 「は、はい」 いくつもの目をかいくぐり、二人は干されていた白衣を盗んで着る、生乾きで少し臭いが気になった。 「くさいでありますな…」 「まあしゃーないよね、よいしょっと」

2018-02-06 21:33:28
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鈴谷は頭にタオルを巻き目立つ緑の髪を隠す、あきつ丸は白粉が流されていた為そのままでも問題はなかったが、一応伊達メガネをかけた。 「白粉のせいで気付かなかったけど、あきつ丸ちゃんミックに顔の雰囲気似てるねぇ」 「えぇ?そうでありますかぁ?」 「ホントホント、近くにいると似るのかネ」

2018-02-06 21:34:27
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そんなこんなで二人は研究員に成りすまし陣地の中を探索し始める、鈴谷の義手が目立ってしまうという問題はあきつ丸と手を繋ぐ事で解決した。 「突然針が出たりしませんか?」 「人の手を何だと思ってんの…」 側から見ると仲良し研究員の二人は、脱出の鍵となるヘリのエンジンキーを探す。

2018-02-06 21:35:35
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とりあえず近くのテントに入る、そこには武器がたくさん置かれていた。 「武器庫みたいなもんか…」 マシンガンやライフル、バズーカに手榴弾、軍隊でもなければ必要無いであろう備品が大量に置かれていた。 「物騒でありますな…」 「ホント、奴さんテロリストかもしれないねェ…」

2018-02-06 21:36:30
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鈴谷は警報機などが無いかを確認し、いくつもの武器をくすねていく 「あきつ丸ちゃん、これ使える?」 「いえ…」 あきつ丸は差し出された拳銃を前に首を振る、艤装は使えても銃は使えない…というのは、一般的な艦娘の中では別段珍しくもなかった。

2018-02-06 21:37:38
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「んー分かった、じゃあ持つだけ持ってて、ハッタリには使えるだろうからサ。」 「わ、分かりました」 鈴谷は彼女に拳銃を手渡し、自身も懐に色々としまい込む。 「…一応やっとくかな。」 そして武器の一つをテントの中に置いた。 「一体何を?」 「保険だね。」 「?」

2018-02-06 21:38:33
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そんな事を話し武器を盗むと、エンジンキーはなさそうだったので二人はテントを後にし、別のテントへと向かった。 「ここは…食堂カナ?」 そのテントでは何人かの男達がマットの上で食事をしていた、食事といってもインスタント食品や缶詰であったが、良い匂いはしていた。

2018-02-06 21:39:27
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「ここで話を聞けばスムーズに行くかもしれない…あきつ丸ちゃん、入ろう。」 二人は何食わぬ顔でテントに入って缶詰を取り、食事をする男達の隣に腰掛けた。 「おう、お疲れ」 「お疲れ様でぇーす」 麺を啜りながら話しかけてきた中東系の男に鈴谷はニコニコと答え、軽く世間話をする。

2018-02-06 21:40:27
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すると白人の男が口を開いた 「いやぁそろそろこの調査も終わりじゃねーか?」 「だなぁ、量は問題ないし鬼もあるから質もOKだろ、これで終わらなかったらもう島ごと持って帰るしかねえよ」 若干疲れの見える顔で男達は話す、鈴谷とあきつ丸は缶詰の鶏肉を食べつつその話を聞いていた。

2018-02-06 21:41:29
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その流れでふと、一人の男があきつ丸に訊いた 「なぁ研究員さん、あのボケた宝石ってどこまで出来るんだ?」 「ふぇ?」 「隊長の姿見りゃあアレがすげえもんだってのは分かるけどよ、ここまでして調べたいモンなのか?」 「え、えっと…」 あきつ丸は当然何の話か知らない、故にまごまごした。

2018-02-06 21:42:36
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そこへ鈴谷がすかさずフォローに入る 「うーん確かに、でもそれを知るために調べてるんですよねぇご迷惑かけちゃってすみませんホント。」 「いや別に謝らなくてもいいぜ、人工知能やロボットの時代に化け物を利用するってのがどうも気になっただけだからよ。」 男達はまた食事に戻った。

2018-02-06 21:43:31
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そんなこんなで男達と談笑しつつ食事をするうち、鈴谷は何食わぬ顔で言った 「あーそうそう、ヘリの鍵とかってどこにありましたっけ?」 男達はスープを飲みつつ答えた 「ン?鍵類は…何処だっけ?」 「確か八番か四番のどっちかだ…悪い、どっちかまでは覚えてねえから両方当たってくれよ。」

2018-02-06 21:44:32
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「んなるホド…どうもどうも」 二択だが有益な情報、鈴谷は澄ました顔をしつつ内心ほくそ笑んだ。 「鍵の事ありあとやした〜」 「おう、じゃあな」 こうして二人は情報を手に入れるともう用はないとばかりにテントを立ち去り、鍵があるというテントに向かって歩き出した。

2018-02-06 21:45:29
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「手分けして探しますか?」 「いや、あたし一人じゃこの腕が隠せない、二人の方がいい。」 食事のテントでもあきつ丸を盾に腕を隠した、鋼鉄の義手を隠すには彼女の存在が必要なのだ。 二人は引き続き手を繋ぎ、先にヘリ置き場から離れている八番テントに向かった。

2018-02-06 21:46:32
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「ここは…機械室ならぬ機械テントか」 八番テントにはコンピューターを始めとする機械がいくつも置かれていた、本当に人の侵入は想定外なのかここにも人はいなかった。 「鍵はなさそうでありますな…」 あきつ丸はごそごそとテントの中を探す、小さな引き出しなども開けてみるが鍵はなかった。

2018-02-06 21:47:27
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が、鈴谷の方は鍵探しより一つのディスプレイに注目していた。 「どうしたんでありますか?」 「…レーダーの調子を狂わせた犯人だ」 「これが?」 あきつ丸が答えを聞く前に、鈴谷は義手から生えて来たUSBメモリをコンピューターに接続した。 「へへっ…クソセキュリティで助かるね…」

2018-02-06 21:48:34
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彼女が右手でキーボードをトントンと叩くと、ディスプレイに数字がたくさん並んだ。 「サンキュー…これで通信が出来る。」 彼女は邪気有りに笑い、USBメモリを引っこ抜いた。 「一体何を?」 「特定の通信以外を妨害する簡単なジャミングだネ、つまりそれが分かれば…」

2018-02-06 21:49:34
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鈴谷は義手とスマートフォンをコードで繋ぎ、スマホへ文字を打ち込んだ。 「…よし、これでヒューガリアンに連絡が行った。」 「その義手…すごいでありますな…」 「…まあネ、普通の生活しないんなら、ただの腕より便利かもしんないわ」 少し笑いながら彼女はスマホをしまった。

2018-02-06 21:50:28
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そんなこんなで二人はテントを出て、ヘリ置き場に近い四番テントへと向かおうとした…が、テントを出た直後に声をかけられ、立ち止まった。 「そこの二人…見ない顔ですね。」 呼び止めた銀髪の少女は鈴谷とあきつ丸の顔を交互に見て言った、その目は明らかにこちらを怪しんでいるもので、まずい。

2018-02-06 21:51:28
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「いやぁすいません、研究でこもりがちなのでご挨拶出来てなかったかもしれませんネェ…」 鈴谷は咄嗟に嘘をつく、少女は相変わらず訝しんでいたが、ひとまずは納得したように頷いた 「…なるほど、そういう事なら失礼いたしました。」 「ヘヘェ、いやごめんなさいね本当に」

2018-02-06 21:52:33
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