日向倶楽部世界旅行編第34話「鋼鉄左腕と震える島」

鈴谷VSクッキー、島の脱出を賭けた戦いが始まる!
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三隈グループ @Mikuma_company

【クッキー】 鈴谷とあきつ丸を追ってきた謎の男、2メートル近い巨体にカニのハサミのような右腕、盾と砲のような左腕が特徴。 そこにミニガンや連装砲などの火器を装備し、硬い装甲を備え、無限軌道の付いたブーツで高い機動力も有している。 その姿は怪物の様であり、合理的な兵器の様でもある。 pic.twitter.com/ypY620qhdO

2018-02-06 22:45:27
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【前回の日向倶楽部】 島からの脱出を図り謎の陣地に忍び込むあきつ丸と鈴谷、しかしヘリのエンジンキーを入手したその直後、二人は大量の銃口に囲まれる、鈴谷の機転により逃走に成功する二人だが、主目的のヘリの奪取には失敗してしまった! 脱出を賭け、鈴谷は追ってきた謎の男クッキーと対峙する!

2018-02-13 21:30:48
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第34話「鋼鉄左腕と震える島」

2018-02-13 21:31:02
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〜〜 森の中、ほんのりと開けた小さな広場で二人の人影が対峙する。 一人は緑色の髪と瑠璃色の瞳をした女、サブマシンガンを構えている。 もう一人はパワードスーツの様なものに身を包んだ異形の男、ミニガンや連装砲を装備している。 張り詰めた空気、どちらかが動けば殺し合いが始まる。

2018-02-13 21:31:27
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一触即発の空気、それを先に崩したのは 「…そらッ!」 女の方、鈴谷であった。 彼女は目くらましにと手榴弾を放りつつサブマシンガンを連射、爆風に紛れ素早く木陰に身を隠す。 (あの重武装、今のあたしじゃ正面きっての撃ち合いはまず不可能、隙を見て一撃で決めるしかない…!)

2018-02-13 21:32:12
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そう考えながら鈴谷は激しい射撃の応酬をいなす、逃げるだけならどうにかなった。 だが問題もあった、敵は…クッキーはロケットランチャーの直撃をやり過ごしたのだ、必殺の一撃も尋常ではない程硬い装甲に阻まれては意味がない。 しかし鈴谷にはある予想と勝算があった、正確にはそれを立てた。

2018-02-13 21:32:57
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(さっきマグナムを不意に撃った時、奴は左腕で弾いて防いだ…ロケランで無傷の奴がマグナムをわざわざガードした…何故か?) 鈴谷は敵のあらゆる要素から高速で考察する (…奴にも"食らいたくない"部位があるって事だ、全身が無敵じゃない。ロケランも"食らっていい"部位で防いだんだ…)

2018-02-13 21:33:43
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食らっていい部位、こちらが攻撃したくない無敵の部位は何処か?彼女は考える (奴はあの陣地を仕切りなおかつあれ程の装備を身に付けてる、戦い慣れした奴だ。なら咄嗟の防御行動は最適解を実行する…) 答えは既に出ていた。 (…腕だ、腕が最も硬い部位、そのはずだ…!そこ以外には攻撃が通る…!)

2018-02-13 21:34:27
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彼女の根拠の大半は憶測に憶測を継ぎ足したものに過ぎない、極めて弱いものである。 だが今はそれをねじ開くしかない!鍵がないからと扉を諦めるものが何処に居ようか、手を尽くすのだ! (相手は人型、なら頭を潰す…!完璧な不意打ちを成立させて、ガードさせる間も無く倒す!一撃必殺よ!)

2018-02-13 21:35:11
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圧倒的決意をした鈴谷は執拗に狙い続ける銃撃と砲撃をかいくぐり、木陰や茂みに取っ替え引っ替え忍び続ける。 (奴が見失うまで避けるんだ、もう一度チャンスを手に入れる…!) 鈴谷は持っていた手榴弾をポイポイ投げ、爆風をばら撒き、敵がこちらを完全に見失うタイミングを作りに行く。

2018-02-13 21:35:58
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それが続きやがて数多の爆風が晴れた頃、銃声が一旦鳴り止んだ。 「クッ…見失ったか」 クッキーは眉をひそめてミニガンを一旦下げる、彼の周りは爆発が起きすぎて大広場のように開けてしまっていた。 「何処だ…隠れているのは分かっている…」 彼は辺りに目を凝らして潜む鈴谷を探す。

2018-02-13 21:36:56
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そして一方の鈴谷は息を潜め、攻撃の機会を伺っていた。 (木を吹っ飛ばしまくったおかげで視界は良好…でもその分これ以上奴には近付けない…背に腹だね…) 彼女はグレネードランチャーを構えて潜む、ロケットランチャーを使ってしまった今、この距離から撃ち込める最大火力はこの一発だ。

2018-02-13 21:37:41
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(適当なとこにミニガンしろ…その音と攻撃に使う労力が、あんたの注意力をそぎ落とす…!) 鈴谷は円形に開けた広場の中心に立つ巨体を睨み、言い聞かせる様に銃口を向ける。 攻撃をかければその隙を、探しに近付けばその顔を、いつか痺れを切らしてチャンスが来る、彼女はそれに賭けていた。

2018-02-13 21:38:30
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そしてそれはクッキーも同じ (来い鈴谷…貴様が少しでも動いたなら、そこを狙い撃たせてもらう…) 最大限に警戒している今なら攻撃を防げる、そういう自信が彼にはあった。 そうなれば必然的に一撃のぶつけ合いが発生する、勝つのがどちらかなど、火を見るよりも明らかであった。

2018-02-13 21:39:11
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じりじりとした我慢比べ、両者が動かなければ何も起こらない千日手、張り詰め切った空気が両者を金縛る。 だが、その状況を打ち破る一手が打たれた。 「そういえば…鈴谷!」 それを打ったのはクッキーであった。 (なんだ…?突然人の名前を呼んで、何をする気だ…?)

2018-02-13 21:39:57
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鈴谷は怯むこともなければ微動だにもしない、そこへクッキーは言い放った 「貴様にはツレが居たな…アレはどうした?」 (…バレてるよなそりゃ、悪い方に転ばなきゃ良いんだけど…いや、待てよ…?) 予想外の展開に鈴谷は息を呑むが、相変わらず動きも言葉もなくグレネードランチャーを構え続ける。

2018-02-13 21:40:42
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だがそうもいかなくなった、クッキーが彼女にとって最悪の状況を作り出したのだ。 「…こうなれば仕方あるまい!機密を奴に持たせた可能性もある…アレから始末するとしよう…」 (何…!?) 動揺する鈴谷、クッキーの言葉がハッタリである可能性は高い事は承知していた、だが!

2018-02-13 21:41:26
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(あきつ丸ちゃんを探す方がリスクは圧倒的に低い…それどころか、今の奴の最適解は、あたしに構わずここから逃走する事だ…!) 鈴谷を狙おうとすれば、向かおうとすれば、必ずそこに隙が出来る、それが彼女の狙い目。だが単にここを離れるだけならその隙は激減してしまう、不意打ちが成立しないのだ。

2018-02-13 21:42:28
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(どうする、奴の移動速度は隠れながらじゃ追えない、逃げられたら攻撃チャンスは回って来ない…) 切れるカードが増えた敵に対し、今にも引き金を引こうとする衝動を抑えて鈴谷は耐える。 やっと開いた突破口、誤魔化し誤魔化し持ち込んだ無理のある博打、今降りられてしまえば、全てが水の泡となる!

2018-02-13 21:43:14
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よって、鈴谷は決断する (…逃げられたら最後…なら奴が動いたら、移動を始めたらそこに撃つしかない!) 攻撃の隙に比べれば移動のそれは小さな隙である、だがそこを狙うほかなかった、動き始めたら撃つしかないのだ。 追い詰められ、最良の手でないと分かっていても、彼女はそれを選ぶ事にした。

2018-02-13 21:43:56
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両者は不動のまま互いの隙を待つ、十秒、二十秒と時間が経った、それは果てもなく長く、常人なら痺れを切らして走り出しそうなほど空気は冷たく尖っていた。 (動け…動け…!) 銃口を向けたまま鈴谷は待つ、動いたのならハッタリではないと、そんなリスクの大きな決め付けを実行するしかない。

2018-02-13 21:44:45
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そして遂に、その時が来た! 「…行くか」 クッキーが腰を落とし、移動の姿勢を見せた! (今しかないッ!) 鈴谷はその瞬間、敵の思考が切り替わるその不意、一番マシなタイミングに引き金を引き、必殺のグレネードを発射した! 擲弾は敵の頭部目掛けて飛んで行く、渾身の一撃が空を切り裂く!

2018-02-13 21:45:26
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しかし! 「やはり撃ったかァッ!」 クッキーはすぐさま反転、それをやすやすと避け! 「ダメか!」 「そこァッ!」 鈴谷のいた場所に向け、ミニガンと左腕の主砲をぶちかました! 熾烈な攻撃!グレネードがクッキーの後方で炸裂すると同時に、鈴谷の居た場所も爆発と機関銃声に包まれる!

2018-02-13 21:46:11
三隈グループ @Mikuma_company

消し飛ぶ草木!だが鈴谷は死なず! 「おらァァッ!」 爆煙に包まれながら二発目のグレネードを発射!攻撃中のクッキーの頭部を再度狙う! だがそれも左腕のシールドで防がれた!またもや鈴谷の手は失敗に終わる! 「クソッ!ダメか…!」 「やはり貴様には機動戦が良いようだな!行くぞ!」

2018-02-13 21:46:58
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