日向倶楽部世界旅行編第34話「鋼鉄左腕と震える島」

鈴谷VSクッキー、島の脱出を賭けた戦いが始まる!
0
三隈グループ @Mikuma_company

そう言ってクッキーは腰を落とし、ブーツの無限軌道を唸らせた! するとどうだ、速い!鈍重な見た目からは想像もつかない素早い動きで彼は広場を走り始めた! 「走られた…速い!」 機動力の差!鈴谷は素早くアンカーを木に打ち込み森の中へ紛れるが、敵はその森を破壊しながら追おうとする!

2018-02-13 21:47:45
三隈グループ @Mikuma_company

そうなれば危険なのは隠れているあきつ丸! (…もう逃げたってジリ貧だよね、このまま広場で、決着をつけるしかない!) どんな汚い勝ち方でも良い、どんな苦しみや博打に挑んでも良い。 だが結果は最善最良を!決して譲る事のできない自分が求めるもののために!鈴谷は身を翻し、再度広場へと戻る!

2018-02-13 21:48:40
三隈グループ @Mikuma_company

「ほう、わざわざ姿を現わすとは…やはり仲間は何処かに隠したらしいな!」 「信用第一の仕事だからさ!死なせちゃあお話になんないんだよッ!」 広場に戻った鈴谷はすっかりまっさらになった地面を駆け回る、激しい攻撃の数々をワイヤーを駆使した変則的な軌道でアクロバティックに避け続けるのだ!

2018-02-13 21:49:26
三隈グループ @Mikuma_company

アンカーを引っ掛け、ワイヤーですっ飛び、木陰を盾にし、走り、飛び、回り、隠れ、速度と方向を微妙に変え続けながら猛攻を凌ぐ! …だがそれだけ!鈴谷は避けているだけ!激しく動きあう中、攻撃チャンス…無し! (どうすりゃ良いかな…キャタピラのついたあのブーツ、予想以上によく動く…!)

2018-02-13 21:50:11
三隈グループ @Mikuma_company

クッキーは無限軌道で素早く動き回りながら攻撃を続けていた、そして鈴谷も激しく動いている、故に命中弾は牽制のサブマシンガン程度!これは有効弾ではない! (…奴の脚はキャタピラか、キャタピラ…) 鈴谷は思索し、何かを思いついた。 (リスキーだけど今更か…こいつでやるっきゃない!)

2018-02-13 21:50:56
三隈グループ @Mikuma_company

それはhigh-riskな決意と行動!彼女はしばらく逃げ回った後、今度は逆に、追って来るクッキーに対しワイヤーの慣性で急接近した! 「何ッ!?」 「接近戦よぉッ!」 鈴谷は飛びながら右手のグレネードランチャーを至近距離で構えた!対するクッキーは左手でガードを構え、ミニガンで反撃を試みる!

2018-02-13 21:51:42
三隈グループ @Mikuma_company

だが鈴谷が待っていたのは、それ! 「隙を見せたな!アームズチェンジ、ボクサーッ!」 必殺鋼鉄のボクサーアームが、彼のミニガンを粉々に打ち砕いたのだ! 「何だと!?」 「義手で殴られる童貞卒業おめっとさん!死ね!」 童貞煽りに乗じた二度目のボクサーアーム!決まれば滅殺!

2018-02-13 21:52:30
三隈グループ @Mikuma_company

しかしクッキーも冷静な男!格闘戦を一旦やめ、無限軌道ブーツの機動力で距離を取った! (あの義手、便利なだけでなくパワーもあるのか!) 粉砕された右手のミニガンを見て鈴谷を睨む、クッキーは身体の構造上物がつかめない、故に残った彼の武器は左手の主砲と肩に担がれた連装砲のみ!

2018-02-13 21:53:15
三隈グループ @Mikuma_company

そしてその事実が、鈴谷に一つの光明をもたらす! (奴は構造的に格闘戦を想定していない、近距離戦をこなせる程の小回りは効かないな!) 近距離の殴り合いで硬い装甲や武器を粉砕される事はなかなか無い。 だが鈴谷のボクサーアームはそれを通せる!それはクッキーにとって最大の誤算!

2018-02-13 21:53:57
三隈グループ @Mikuma_company

加えて彼は牽制などの要になるミニガンがぶっ壊された、これが意味する事は! (チャンスが広がった!あたしの!) 主砲の激しい砲撃と爆発は変わらず鈴谷をつけ狙う、だがミニガンに比べればその弾幕、薄い!ペラッペラ! おまけに肩に担がれた連装砲はなんと前に撃てない欠陥品、手数、激減!

2018-02-13 21:54:44
三隈グループ @Mikuma_company

「チッ…!こうなれば距離を取らなくては!」 追いの鈴谷に対しクッキーは砲撃戦での優位を取るべく加速!彼女を大きく引き離す! 「逃すか!ここで仕留めさせてもらうよッ!」 だが鈴谷も負けていない!手早く手榴弾を放って退路を断ち、アンカーを地面に突き刺し後を追う!ワイヤーアクション!

2018-02-13 21:55:32
三隈グループ @Mikuma_company

しかしその時! 「…かかったなァッ!」 突如クッキーは反転し鈴谷に対し逆に!接近!慣性をつけて飛び込んできた彼女に、その大きなハサミを振り抜いた! 「…ッ!ウソでしょ!?」 鈴谷はなんとか身体をひねりダメージを抑えんとする、だが直撃は免れない!巨大なハサミが彼女の身体を殴打した!

2018-02-13 21:56:13
三隈グループ @Mikuma_company

「ぐっ…!」 鈴谷は大きく横に吹っ飛び地面に叩きつけられる、衝撃でワイシャツが破け散った!そこへクッキーはすかさず主砲を撃ち込まんとする! 「図に乗るからだ!」 「なろァァッ!」 だがそれより早く鈴谷はマグナム弾とサブマシンガンを撃つ!クッキーは素早く防御!弾丸は左腕に弾かれた!

2018-02-13 21:57:29
三隈グループ @Mikuma_company

それでも鈴谷には最後の一撃がある! 「そこが隙に!なるんだよォォッ!」 武器を放り、構え、最後のグレネード弾を撃ち込む! しかし!それでも!それすらも! 「う、ウソッ!?」 「見切れるのだァァァッ!」 防御される!クッキーの主砲は砕けたが彼自身は無傷、頭部はノーダメージ!

2018-02-13 21:58:13
三隈グループ @Mikuma_company

「兵装が砕けた…修理が必要か!」 クッキーは砲の破損した左腕を見て舌打ち、鈴谷に目をやった 「だが最早不要だ!接近戦が出来ずに誰と戦えよう!」 彼は先程鈴谷を吹っ飛ばした右腕を、巨大なハサミを構えた! それを見た鈴谷は顔を青くし、恐怖する! 「や、やだっ!やだっ!」

2018-02-13 21:59:03
三隈グループ @Mikuma_company

彼女は腰を抜かし怯え、先程までの威勢が嘘のように情けない声を上げる! 「な、なんでもするから!本当になんでもする!」 「嘘をつけ、騙されるものか!」 「本当に、ほっ!ほら!」 ガタガタと震え、鈴谷は服従を示すように上着を脱ぐ、破けたワイシャツの隙間から豊かな胸が顔を覗かせた。

2018-02-13 21:59:44
三隈グループ @Mikuma_company

だがその仕草を見てクッキーは顔をしかめた。 「お前、俺を挑発しているな?」 「…え?」 「こんなチンケなトラップに期待するとは…情けないッ!」 彼が足元にハサミを振るうと、ピンと張られたワイヤーが弾け切れた! それは鈴谷が必死に仕掛けた、転ばせるための簡易なトラップであった。

2018-02-13 22:00:27
三隈グループ @Mikuma_company

「あ…ああ…!」 「バカめ…大体こんなヒモで転ぶはずがない。」 クッキーは不快感を露わにしながらハサミを構え、一歩も動けず怯える鈴谷に近付いて行った 「やだっ!やだ!殺さないでッ!死にたくない!」 鈴谷は這ってその場から逃げ出す! 「潰れろッ!」 それをクッキーが、加速して追う!

2018-02-13 22:01:11
三隈グループ @Mikuma_company

だが!その絶体絶命、決定的な状況下で! 「…くくくっ」 鈴谷が震えるように笑った! それは恐怖からくるものではない! 「なんでもするって…そう言ったじゃん?」 獲物を前にした捕食者の、悦びに満ちた笑いだ! 「…!何かしたな貴様!」 「ばぁーか、もう遅いよ」 鈴谷がそう言った

2018-02-13 22:02:26
三隈グループ @Mikuma_company

瞬間! 「なっ、ぐあァっ!?」 クッキーの足元が爆発を起こした! 「なっ、これは、地雷か!?」 衝撃で右脚の無限軌道が破損!なまじ左脚が無事故に、彼は勢い余ってその場に転倒した! 「あっはは、転んでやんの」 鈴谷はスッと立ち上がって服の汚れを払い、仰向けに転んだクッキーを嘲る。

2018-02-13 22:03:12
三隈グループ @Mikuma_company

「き、貴様…!」 「ワイヤーですっ転ぶわけがない?そーんな当たり前の事指摘して、随分賢いねぇ…鈴谷感激〜」 鈴谷はへらへらと笑いながらマグナム弾を彼の太腿へ執拗に撃ち込む、クッキーは立ち上がれなくなった。 「あ、あれはハッタリか、俺の、俺の目を地雷から遠ざける為に…!」

2018-02-13 22:04:00
三隈グループ @Mikuma_company

呻きながら訊ねる彼に鈴谷は白い歯を見せる 「そゆこと…あたしは最後まであんたの頭を高く買ってた、だからなんでもやったんだ。…でもあんたは、最後の最後であたしの頭を低く見積もった。」 「それが、俺のミスか…!」 強く鈴谷を睨み、彼は己が不覚を後悔した、だが最早後の祭り!

2018-02-13 22:04:44
三隈グループ @Mikuma_company

「あははは、バーカ、ばぁーか、最初みたくマヌケって呼んだげるよ…」 そんな彼を見下し、嘲り、足蹴にする鈴谷、土やススがこびり付いていたその顔が示す表情は、人間らしい自信と機械のような冷淡さの入り混じる混沌としたものであった。 やがて散々罵倒した後、鈴谷は上着を着直して襟を整える

2018-02-13 22:05:31
三隈グループ @Mikuma_company

そして冷たい目をしながら訊ねた 「さて…とりあえず聞きたい事があるから、質問に答えてもらおっかな。」 「断る。」 転倒し身動きこそ取れないが、クッキーは毅然とした態度で言った、それを鈴谷は鼻で笑う。 「あっそう…こんな美人の頼みでも?」 彼女は冗談っぽく豊かな胸を強調した

2018-02-13 22:06:21
三隈グループ @Mikuma_company

当然クッキーは不愉快そうに押し黙る、その様子を鈴谷はまた嘲ると、彼の身体を踏みつけて言った。 「浜風…だっけ?」 「何…?」 「あんたと仲良さそうにしてたコだよ、可愛らしい顔しててスタイルも良くて、"印象に残った"ねェ…」 瑠璃色の瞳が嗤う、この言葉が意味するのは一つ、脅迫だ

2018-02-13 22:07:14