@henda4のついのべまとめ

へん子@推し増し中 @henda4

#twnovel この空の星屑を、ネックレスになるまで集めたら、君の首にそおっとかけてあげるね。真っ赤な目をした兎の紳士はとても器用にウインクをした。小さな小さな扉が開いて紺色の空が見えたとき、私は思わず後を追う。兎の紳士はとても器用に困り顔をしてみせた

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#twnovel 鳴かないって、こっちは鳴いてんだって。鳴けてないよ。わかんねぇわ。君は鳴き声の代わりに人間の言葉喋ってんの。だからお前さんと話しができてるってか。そういうこと。したっけよ、何で他のやつは聞こえないっつうんだよ。そりゃ、不如帰が人間の言葉を喋るなんて思わないからさ

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#twnovel 今日は結婚記念日。大井町にある寿司屋で祝うのが定例だ。今年で結婚10周年。離婚してからは5年になる。それでも、彼女と僕は毎年ここで食事をする。大将も交えて、昔の話を酒の肴に辛い日本酒をちびちびとやるのだ。散々笑って、来年の予約をいれたら、僕らは別々に店を出る

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#twnovel 地元の友だちからメアド変更のメールがきた。30を目前にしてアドレス変更って。せめて、Bcc.使ってよ。たっぷりため息をついてから、メニューボタン。ウソ。本文を読み返すと知らない苗字。カッコ書きで旧姓。新しい苗字にするか、このまま登録するか。私はいま試されている

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#twnovel コーヒーを出されました。蜂蜜のようなものが添えられていたので、何かと聞いたんです。毒だとこたえてくれました。君の用意した毒を自分で盛るのは情けない。よかったら注いでくれないか。無言で手にしたその毒を、僕にふくませてくれました。触れた唇は、柔らかく甘い味がしました

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#twnovel その後はバーに連れてって。どうして僕が君のサプライズ誕生会の企画を君自身から聞いているんだい。貴方に考えさせるより確かだからよ。そんなのサプライズじゃないだろう。私の誕生日なんて知らないでしょう。そういえば。いつ祝われるかわからないほうが、よっぽどサプライズだわ

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#twnovel 淋しいと自分甘やかしちゃうよね、うんうん。最上級の言い訳をして、コンビニスイーツをふたつ手に取る。大好きなティラミスと、ぶどうの乗ってるムースみたいなの。食べ切れないのは知っている。最後に残るひとくちに、よけい淋しくなるのも知っている

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#twnovel キリトリ線に沿って丁寧に切り取ってね。笑われるほど不器用で、特にハサミは苦手。あの日、画用紙と睨めっこの最中、先生がカッターを渡してくれたんだ。裂く感覚にゾクゾクした。線のあるものは全部切りました。手が真っ赤になりました。いまも直線を見ると切り裂きたくなるんです

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#twnovel 「ねぇ博士、いつになったら実験を始めるんですか」「君がチューリップの球根を掘り終えたら」「この間は、洗濯物を干し終えたらと仰ってました」「球根は早く出して乾かしておかないとね」「どうして」「来年もきれいなチューリップが見たいだろう。ほら、手を休めない」

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#twnovel 「…アキ！ チアキ！ 起きて、遅刻よ！」ふかふかの布団、もふもふの縫いぐるみ。オレの聖域。その聖域を穢す怒鳴り声。「まだ時間あるだろ」オレはもう少し寝たいんだ。「ちょっと予定が狂ったの」とか云いながら、結局いつも通りでよかったりする。これだから9月は嫌いなんだよ

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#twnovel 病気はひとを饒舌にするの。車椅子のあの子がクスッと笑う。夏がはじまる頃だった。あの子に会うとすっかり聞き役。何も話せず帰るのがほとんどだ。僕の話も聞いてほしかったな。名前だけでも覚えてほしかった。そういえば、あの子の名前も知らないや。もう聞く術すらないのに

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#twnovel 「博士ぇ、実験はまだですか」「君が洗濯物を干し終えたら」「この間は昼食が済んだら、と仰ってました」「白衣の替えはないんだよ」「この間は腹が減っては戦ができぬ、と仰ってました」「まあいい、早く干してしまいなさい」「どうして」「太陽が出ているうちに、ほら」

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#twnovel 気になって、探りをいれた。いろんなところで君のことを聞いたよ。やっと声をかけて、手に入れることができた。貪るように僕らは愛しあった。なのに。あんなに欲しかったのに、一晩で知り尽くしてしまった。飽きたわけではないけど、要らなくなった。ブックオフにでも売りに行こう

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#twnovel 気が付いたら洞窟にいた。何も見えない。後ろから足音が聞こえてきた。走ってる。走ってくる。逃げなきゃ。逃げなきゃいけないと思った。私も走った。逃げた。まっ暗い洞窟を、ただひたすら走って逃げた。その先に光が見えてきた。私は光の中に飛び込んだ。その後は知らない

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#twnovel 女の子は赤い靴。カツカツ鳴らして道を行く。じゃり道、坂道、けもの道。足元の悪さは関係なし。踊り踊るよ、狂ったように。泪も雨も関係なし。老いて倒れるその日まで、命の尽きるその日まで。カツカツ鳴らすよ赤い靴。踊り踊るよ、赤い靴。

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#twnovel わたしには恋人がいる。名前はゆきくん。4つ下で、駅前のお花屋さんでバイトをしてる。一目惚れだった。その仕事で荒れた手を、優しくオロナインで包んであげたいって思った。並んで歩くと頭ひとつの身長差。一日一個のシュークリームを選んでる姿が可愛いの。そんな、エア彼氏の話

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#twnovel 夢かと思った。夢だよ、と君は笑った。夢でもよかった。夢だろうと現実だろうと、いま君は僕の腕の中にいる。それだけが事実。トンと背中を叩かれた。気が付くと僕がひとり。部屋の真ん中、僕がひとり夜の街に浮かんでいる。また夢の中で逢いましょう。笑い声が聞こえた気がした

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#twnovel 世の中には、同姓同名で、容姿なども似ているひとが、一人二人いるという。今日もレッスンを終えて帰宅。死んだようにベッドに横たわりテレビをつける。デビューしたてのアイドルがライトを浴びて踊っていた。ああ成りたい。顔を見て、名前を聞いて驚いた。私だ。私が成るはずの私だ

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#twnovel 「おめでとう」「え、なに」「お誕生日」「昨日だし。それに昨日も聞いた」「昨日の『おめでとう』は昨日のアタシが昨日のアナタに言ったの。今日のアタシはまだ『おめでとう』を言ってない」「よくわからない」「素直に喜んでおきなさい」「あ、ありがとう」

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#twnovel 30分、20分、時計ばかりが気にかかる。書いては消しての液晶画面。伝えたいことはたくさんあるのに、うまく言葉が続かない。あと5分、あと4分。もうダメだ、間に合わない。飾らないほうがいい言葉もあるよね。ストレートに。「お誕生日おめでとう。いつもありがとう」

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#twnovel 人間が恋しいな。月に囚われたお姫様はぼそぼそっと呟いた。淋しいし、切ないし、泪を拭って慰めてくれる相手もいない。ひとり、ひとり、ひとりっきりで毎晩同じ夢を見る。兎のしっぽを追いかける。血の色に似た真っ赤なおめめ。ひとり、ひとり、ひとりっきりで自分の泪を拭ってる

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#twnovel 生命線が長い。はっきりと濃い。死んでも死なないねと云われたくらい、そのことに関しては自信があった。きっと大丈夫。ちょっと魔がさしたのだ。奇跡的に一命は取り留めれるはず。ターンと道路に飛び出した。硝子の片で手首が切れて、わたしの右手のひらは無様にぼとりと落ちてった

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#twnovel ちょっと挨拶がしたいだけなのに、できない。ちょっとお礼を云いたいだけなのに、云えない。返ってこないのは百も承知で、期待なんてしてない。何かが少し怖くって、何かが少し恥ずかしい。書いては消してを繰り返す、140字詰の便せん。

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#twnovel こんな症状は初めて。酷い肌荒れ、吹き出物。体調だって頗る悪い。月に一度で済むならいいけど、ちゃんと回復するんだろうか。これが噂の曲がり角？ いやいや、絶対そんなのはイヤ。いままで以上に手をかけなくちゃ。去年と同じじゃやっていけない

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#twnovel 「姉ちゃん、正気？」「私はいつでも正気だし本気よ」「お骨をこっそり盗んでって、セカチューじゃあるまいし」「お願い、あんたにしか頼めないの」哀しい。もっとはやく出会っていたら、一言でも多く会話ができたのに。せめて、終わってからの時間はあなたといたいと思ったの