私が読みたいAndroid #2以降のネタ
#3さらに続き
Android#3続続続。自我を持ってから様々な格闘と模索を続けてきたアンドロイドの射手は、獅子やいろんな人々との関わりを経験してようやく宇宙を目指す気になったわけです。それは道半ばで死んだオリジナルの射手の鎮魂のためと言うべきかも知れない。アンドロイドの命は長いから。
2018-03-21 20:37:29もともと環境は全て整っていたので、射手が宇宙飛行士に必要な訓練を修める過程とかははしょるんですが、彼は短期間でスペースシャトルの乗員リストに加えてもらえるんですよ。公式発表はできないけどアンドロイド史に残るような大きな実験だったことは間違いない。獅子は管制官として送り出す形です。
2018-03-21 20:43:38そんな射手の状況は水瓶と牡羊にも逐一伝わっていて、水瓶も牡羊もニュースを聞いて工房でガッツポーズしたりこっそりハイタッチしたりして喜んでるんです。牡羊は射手と獅子の2人には刺激されるところがあるらしく「射手が無事帰ってきたらうちの技術も宇宙対応実証済みで売り込むぜ」とノリノリ。
2018-03-21 20:49:59(本作の牡羊はお金と商売に関する発言が多いんですが、自営業者として何が何でも独立したいし勝てる所は勝ちを取りに行きたいという気質のやつなんだと思ってください…。水瓶は正直営業センスはそんなに高いわけではないので)
2018-03-21 20:56:01ただ、牡羊は一方で気になっていることがあって、それはオリジナルの射手の死因になった事故の詳細だったりする。宇宙空間の条件(無重力など)を地上で再現する訓練の際に、機械が突然故障し使用していた大量の気体物質に引火したという。機械はいつだって事故が起こらないよう組まれているものだが。
2018-03-21 21:05:27獅子とアンドロイドの射手から事故状況を聞けば聞く程、メカニックである牡羊は「不自然では?」と思っていたが、正確な詳細は極秘事項扱いされ今もなお操作中ということだった。自分がそれを調べられる立場にないことも牡羊は理解しているので、工房でコーヒーを飲みながら水瓶にだけは私見を伝えた。
2018-03-21 21:12:43「確率はゼロじゃないから人間側のチェック体制が何重にもヌケてた可能性はあるけど、これ誰かが意図的に気体に火花がいくように、仕向けてねえか? もしくは途中で機械をショートさせて射手をびびらせようとしたか…。オリジナルの射手なら何か知ってたんだろうけどなあ」
2018-03-21 21:29:43…オリジナルの射手は金持ちのボンボンで、宇宙飛行士有力候補で、性格もそこまで悪くなく、それでも彼が存在すると都合が悪いっていうモブ人物が身近に絶えなかったんですよね。まあ悪いやつなんで川田と名付けますが、川田はアンドロイドの射手がシャトルクルーに選ばれたときにチームメイトでした。
2018-03-21 21:40:50アンドロイドの射手は何も知りませんでしたが、この川田はなんか射手に対して距離感が変で、怯えているようにも見えれば急に親しく射手から話を聞き出そうとしたりしてたんですね。チームメイトはたくさんいるので射手もそんなに気にしてなかった。
2018-03-21 21:44:10シャトルクルーのチーム全体ではいいまとまりができていました。何せ夢半ばで死んだ射手を、アンドロイドとして宇宙に飛ばすってストーリーが皆の中にあったから。獅子と射手は出発前日までそれはそれはお互いを大切にして過ごしますし、ペアリングとか作っちゃうしいちゃいちゃですよ
2018-03-21 21:51:13そんで出発当日、2人でいる最後のところで目と目をあわせて「行ってこい」「行ってきます」するし、キスもすればハグもして獅子が射手の肩叩いて送り出すわけです。射手はクルーの航空服着てチームメイトと一緒にシャトルに飲み込み、獅子は管制塔チームでワイシャツにネクタイでヘッドセットつけて
2018-03-21 21:54:25スペースシャトル打ち上げミッションに臨む。打ち上げ場は周りの原野までいい天気で気温良好でした。水瓶と牡羊はインターネットのN◯SA中継を流しながら、コーヒー片手に打ち上げ場の方角へ献杯ぐらいはします。予定どおりの時刻にシャトルは打ち上げられ、射手は訓練どおりに作業をこなし、
2018-03-21 21:59:10シャトルは成層圏を抜け、大気圏を抜け、宇宙にたどり着いたのです。 射手は初めてシャトルの中から青い美しい地球を見て「来たよ、ご先祖様」と報告して、ついに故人の思いから自由になった。地上の管制チームとも通信します。獅子が涙声で喋っているのがわかって、それにも苦笑してしまう。
2018-03-21 22:09:28シャトル側に送られる映像には映らないけど、地上の管制室にいた獅子はもうずっと仕事スタイルのまま涙が止まらないわけですよ。散々彼の愚痴を聞かされてきた同僚たちもこの時ばかりは本当に優しく獅子を祝福してくれたそうな。その後、射手達は宇宙ステーションで三ヶ月の駐在ミッションに入ります。
2018-03-21 22:14:26射手はクルー達と仲良くしながら、特に船外活動を積極的に担当していました。もしアクシデントがあった場合でも、無酸素や真空、極度の温度低下など人間が死亡する環境変化にアンドロイドの射手は耐えられるから。
2018-03-21 22:22:13船外で活動するとき、もしここで命綱を離して宇宙へジャンプすれば、本当に完全に自由になれるかもと思ったこともあったけど、射手はそれをしなかった。アンドロイドの射手もまた、思ったより自分自身宇宙が大好きだったんだと自覚したのは駐在二週間目ぐらいのこと。宇宙は快適でした。
2018-03-21 22:25:46宇宙だから朝と夜の境目は曖昧だけど、地上の獅子と衛星通信で愛を語らったり獅子のおやすみとおはようを見届けたり、チームメイトと宇宙で遊んだり仕事したりで二ヶ月くらいはすぐに過ぎ、チームはそろそろ地球帰還のための準備に入ります。射手も他のチームメイトと共に船外活動頑張ったりね。
2018-03-21 22:30:15そんである時、何十回目かの船外活動でちょっと勢い強く宇宙ステーションの外壁をホイッとジャンプしたとき、何かが根元から外れる感触がしたんですよ。
2018-03-21 22:32:37射手が外れた感触のほうを見ると、命綱が根元から切られていて、川田の人影があり、射手は「わっ」て言ったつもりだったんだけど真空の中を音が伝わるはずもなく、射手は自分がジャンプした勢いを制御できずにどんどんシャトルから遠く彼方へと飛ばされていった。
2018-03-21 22:36:32…シャトルクルーのチームから地上に報告が行くまでの数時間で、射手はシャトルからも、地上からも捕捉できなくなってしまった。獅子は地上でそれを聞かされて動悸が止まらなかったんだけど、なんとかその日の業務はやりきって、その後水瓶と牡羊にも連絡をいれる。なす術もなかった。
2018-03-21 22:41:56その事故は世界的に報道もされ、川田は他のチームメイトと共に地上に戻ってきた後警察に拘束されたんだけど、射手の行方は杳として知れず、おそらく何処かの惑星に墜落して燃え尽きるか、燃え尽きずにそのまま何処かの星でバッテリー切れしガラクタになるか、宇宙空間を飛び続けるだろうと言われた。
2018-03-21 22:48:17もっと日にちが経って、川田がオリジナルの射手の死亡事故も自分がやったイタズラが原因だとかほざきだすんですよね。死なせるつもりはなかったと。ただ、アンドロイドの射手だけはオリジナルの情報から自分のしたことに気付くかもしれないと思っていて、本人のミスを装って命綱を外したと。
2018-03-21 22:52:15それを聞いた獅子がどれだけ半狂乱で怒り狂ったかというのも筆舌に尽くしがたいのだが、川田は器物損壊で罪に問われてフェードアウトしてしまい、もっと後で川田の最初の動機が「金持ちのボンボンに宇宙飛行士の椅子を奪われそうだった焦り」とか聞かされ、あまりのしょぼさに獅子は連日荒れ狂う。
2018-03-21 22:56:38水瓶がある日牡羊とともに獅子を訪ねると、獅子は狂乱の果てにやつれ果てて、最初はなかなかドアも開けてくれず…獅子の家はすっかり暗くなっておりました。獅子は射手の発見が絶望的なことから管制官を辞める流れで動いていて、故郷に帰ろうとしていると。
2018-03-21 23:07:42