星野源「ドラえもん」における押韻の分析

歌詞で反復するサウンドについて分析をしました。
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料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

2018年、映画ドラえもんの主題歌。

2018-03-31 20:36:42
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

まず一聴して気になるのが、冒頭の「ふ」の頭韻である。 ex.1 「すこしだけ《ふ》しぎな/《ふ》だんのおはなし」 「すこしだけふしぎ」というフレーズはSFをすこしふしぎと解釈する藤子・F・不二雄の立場を引用している。

2018-03-31 20:40:11
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

ここでさらに、「し」の反復にも注目できる。 ex.2 「すこ《し》だけふ《し》ぎな/ふだんのおはな《し》」 「すこし」と「おはなし」で脚韻と読むことも出来るが、同時に「ふしぎ」では文節の中に「し」の押韻がおりこまれているのがわかる。

2018-03-31 20:42:08
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

さらに、同音の反復に注意すると「だ」の音も反復していることがわかる。 ex.3 「すこし《だ》けふしぎな/ふ《だ》んのおはなし」 「すこしだけ」が駆け抜けるように歌われているので、反復とは聞き取りにくいかもしれない。

2018-03-31 20:44:48
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

確認すると、以下のようになる。 ex.4 「すこ《しだ》け《ふし》ぎな/《ふだ》んのおはな《し》」 つまり、「しだ」→「ふし」→「ふだ」→「し」という順序で反復が起きている。

2018-03-31 20:46:58
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

さて、ここでいったん自分の主張をいうと、この曲はまず「し」の音がどうなっているのかを聴いてみると良さそうだという予想である。 ここでは、「し」と同時に「じ」もまた聴くべき音声である。

2018-03-31 20:49:48
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「すこしだけふしぎな/ふだんのおはなし /ゆびさきとつくえの/あいだにじげん/おちこぼれたきみも/できすぎあのこも/おなじくものしたで/くらしたじげん/そこによじげん」 ここには、「し」→「し」→「し」→「じ」→「じ」→「し」→「し」→「じ」→「じ」という反復が起きている。

2018-03-31 20:58:24
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

もうすこし文節で拾えば、 「すこし」→「ふしぎな」→「おはなし」→「にじげん」→「おなじ」→「したで」→「すごした」→「じげん」→「よじげん」となっている。

2018-03-31 21:01:13
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

これ以降、サビにかけてはあまり「し」の音は出てこなくなる。 この程度。 Bメロ「なみだをなが《し》て」 サビ「いっ《し》ょにぼうけん《し》よう」

2018-03-31 21:11:48
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「き」の音にも注目してみたい。

2018-03-31 21:15:27
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

Aメロ 「ふし《ぎ》な」→「ゆびさ《き》と」→「《き》みも」→「で《き》す《ぎ》」 ちなみに《しぎ》→《さき》→《すぎ》も音声が似ているのわかるだろうか。

2018-03-31 21:18:52
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

Bメロ 「《き》かいだって」→「ゆう《き》を」 サビ 「と《き》が」→「《き》みに」 となっている。

2018-03-31 21:27:22
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

2番以降では「き」の出現頻度は下がっている。

2018-03-31 21:29:16
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

もういちど、「だ」の音に注意してみる。 先ほど確認したとおり、 Aメロ 「すこし《だ》け」→「ふ《だ》ん」 となっているが、さらに、 「あい《だ》」→「し《た》で」→「くらし《た》」 Bメロ 「きかい《だ》って」→「なみ《だ》を」→「さけぶ《だ》ろう」 となり、

2018-03-31 21:36:41
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

サビ 「《だ》から」→「《た》どりつくから」 と出現頻度は低くなる

2018-03-31 21:41:39
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

しかしこの「だ」の音の持つ力はこの作品を通底している。つまり、「だでど」のサウンドの反復についてだ。

2018-03-31 21:42:58
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「で」について見ると、 Aメロ 「《で》きすぎ」→「した《で》」 Bメロ 「きかいだっ《て》」→「ながし《て》」 サビ 「おい《で》よ」→「《で》もなく《て》も」→「ながれ《て》」 となっている。

2018-03-31 22:01:10
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

「ど」について見る。 A-Bメロではほとんど出ない。 サビ 「《と》きが」→「た《ど》りつくから」→「《どどどどどどどどどど》らえもん」

2018-03-31 22:06:32
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

そうすると、改めてみてここでは「だ→で→ど」という似通った音声の変遷、もう少し細かくいうと、子音の共通性による反復と母音の違いによる変化がデザインされているように見える。

2018-03-31 22:10:00
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

まとめると、緩やかに反復は「だ」→「で」→「ど」と変遷してゆく。これはサビの「ドラえもん」へ向かった韻によるストーリーと言って良い。 Aメロ 「すこし《だ》け」→「ふ《だ》ん」→「あい《だ》」→「《で》きすぎ」→「し《たで》」→「くらし《た》」

2018-03-31 22:18:38
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

Bメロ 「きかい《だ》っ《て》」→「なみ《だ》を」→「ながし《て》」→「さけぶ《だ》ろう」 サビ 「《だ》から」→「おい《で》よ」→「《た》どりつくから」→「《で》もなく《て》も」→「《と》きが」→「ながれ《て》」→「た《ど》りつくから」→「《どどどどどどどどどど》らえもん」

2018-03-31 22:18:48
料理研究家 やおき @yaoki_dokidoki

訂正 Bメロ 「きかい《だ》っ《て》」→「なみ《だ》を」→「ながし《て》」→「さけぶ《だ》ろう」 サビ 「《だ》から」→「おい《で》よ」→「《たど》りつくから」→「《で》もなく《て》も」→「《と》きが」→「ながれ《て》」→「《たど》りつくから」→「《どどどどどどどどどど》らえもん」

2018-03-31 22:33:11