- ahiruchan_phi
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アヒルチャン 〜オリジン〜|φ @masatada_phi|note(ノート) かすめΦの物語もよろしくね! note.mu/masatada_phi/n…
2018-04-01 02:46:43月の光も届かぬ暗闇の森の中に、恒星めいた黄色の怪異がひとり。かつて友に与えられた名はアヒルチャン。彼女は自分の情報を知る者に『繋がり』を持ち、その者の元に現れることができる。だがその繋がりも、絶えて久しい。
2018-04-01 22:06:27彼女が探しているものは、帰り道。自分のオリジン。それを見つけて何になるのかはわからないが、彼女にそれ以外はなかった。人の命を糧に生きるだけの存在である自分が何故存在するのか、その手がかりだけでも掴めたら。
2018-04-01 22:10:46かつて、「ここに帰ってきていい」と言ってくれた者がいた。彼女とは数日間ともに夜を過ごしたが、ある日突如として『繋がり』が失われた。こういった例は何度も経験があった。このような断絶を感じたのは、例えば、相手が死んだときだ。
2018-04-01 22:14:50それ以降、アヒルチャンは彼女の部屋に行くことができなくなった。アヒルチャンはまた、一人で夜を彷徨う日々に戻った。やがてアヒルチャンを知る者も少なくなり、遂には一つの繋がりも感じられなくなった。いつしかアヒルチャンはだれもいない森の中に迷い込んでいた。
2018-04-01 22:19:11アヒルチャンは大事そうに両手で抱える小包に目を落とす。先ほど届けられたものだ。中に入っていたのは、2枚の写真とマグカップ。マグカップの柄には見覚えがあった。そして、写真に写っている黄色の女性を見たとき、『繋がった』。
2018-04-01 22:23:23「久しぶり……アヒルチャン」声を聞いて顔を上げると、森の木々の間にそのアヒルヘッド女性がいた。「……来れたよ」彼女……Φは再会に涙ぐみながら言った。「……久しぶりです」アヒルチャンは長らく作っていなかった笑顔を見せた。
2018-04-01 22:27:40「もう、ひとりじゃない」「はい」「アヒルチャンも」「はい」二人は短い言葉を交わし、Φの持ってきたカメラで何枚か写真を撮った。これで、繋がりの記憶は記録となって残るはずだ。「今度は遊びに来てね、この写真焼いとくから」「はい」
2018-04-01 22:31:33二人はジンジャーエールを飲み交わす。「アヒルチャン、うちに帰ってきていいのは、今も変わらないから」Φは言う。その身体は徐々に透明度を増しつつあった。「いつでも待ってるから」「……はい」アヒルチャンが返答すると、Φの姿は夜闇にかき消えた。
2018-04-01 22:34:04一方その頃。島に帰還したΦであったが。「どこ、ここ……家じゃない」出現した場所は薄暗い広い部屋。テーブルや椅子が並び、壁には以前撮った集合写真と、お品書き。二階からは嬌声と何かの軋む音。「東風屋……にでちゃったのかあ……帰れるかなぁ……」夜はまだ、長そうだ。
2018-04-01 22:41:48頂いたアヒルチャンSSでアヒルチャンが島Φのことを覚えていてくれた、というのが嬉しくてちょっと夢見てしまいました 何故アヒルチャンの姿の『Φ』が島にいるのか、アヒルチャンとは何なのか その辺もちょっとだけ詰めてみました
2018-04-01 22:58:18当然この辺の設定は作品次元またぎもいいところなので、例によって確定したものではありません エイプリルフールの魔力を借りて出力したんだよ そのため採用不採用はアヒルチャンに関わるすべての創作者さんに委ねます
2018-04-01 23:01:12