稲川淳二のつぶやき怪談　2018年3月25日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あっちこっち廻りながら、ぶらついて、土産物なんか見ているうちに、 長い夏の日も、だんだん暮れてきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう暗いから帰ろうかーって言って、家に帰って来た。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうしたら、そこへ丁度、お店の方から電話が入ってね、ヤスコさんが、 「ちょっとごめんなさいね、今ね、お店の方で呼ばれちゃったんだけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ちょっと行って来るから！　先にお風呂入ってて」 って言って、行っちゃったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

広い家に一人、 ぽつん って残っちゃった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さっきまでは、そう思わなかったんだけど、 ふと残ってみるとね、なんだか寂しい。 シーンとしてるんですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「なんか随分寂しいなぁ」 と思って、何となく庭をポーッと見てると、 遠くの景色が見えるんですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そうしたら、だいぶ暗くなってきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

雲が垂れ込めてきて、遠い空が チカチカチカチカー って明るくなって、 パーっと広がった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その後に、 ゴーゴー って音が聞こえたんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「あら？　夕立かな」 なんて思っていると、また、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

チカチカチカー って、雲の間から光が走ってね、明るくなって、 フッ消えて、また、 ゴーゴーって音がする。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（あー雷か…これ雨が来るんだろうな） と思ったんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな時、お風呂の事思い出してね、 お風呂でも入ってようかと、 自分の荷物引っ張り出して、片付けてた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、庭の暗闇ん中から黒い塊が、 ボーン って飛んで来たんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（うわぁ） って思って、よく見ると、黒い猫なんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それが、 トットットット。 座敷を突っ切って消えてっちゃった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（ここの飼い猫かぁ、びっくりしたなぁ） なんて思って、着替えを持って、風呂場に行ったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

脱衣所の戸を、 ガラガラガラーシャッ て閉めてね、着替えを置いて、服を脱いで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今度は浴室の方の戸を、ガラス戸なんですけどね、 ガラガラガラ…ピシャ って閉めて、温かいお湯の出るシャワーを、 ジャーって出してね、体流してた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と「フーッ」 と言うような声が聞こえてきて

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（何だろう？） と思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それがね、聞いた事もない鳴き声らしいんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、Ｕさん （どっかで変な動物、飼ってんのかな） って…、思って、大して、気にも止めてなかったんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

前にね、よく、サボテン公園から、 変わった鳥が逃げ出す、って話聞いた事もあったんで、 それなのかなぁ、って思ってた。