超訳「プロも現場で実践している、一見意味不明なテクニック7選」
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『プロも現場で実践している、一見意味不明なテクニック7選』 Matthew Weiss / PRO AUDIO FILES theproaudiofiles.com/7-obscure-mixi… ※以下、意訳
2018-04-22 08:21:57ミックス中に生じる問題への対処法は、大抵の場合明白である。ミッドが足りないなら、適当なEQでブーストすればよい。音量が安定しないって?ならボリュームオートメーションを描くか、コンプを使おう。いずれも簡単なことだ。しかし、ときどきそれほど単純でない問題に直面する。
2018-04-22 08:22:37ヘッドルームを消費することなくキックのローを持ち上げるには?7kHzより上にはヒスしかないトラックを明るくするには?こういった問題にも解法は存在する。ただしアプローチはやや予測が困難だ。 以下では、そういったイレギュラーな問題と、一見慣習に反して見える対処法が効果的な事例を7つ紹介する
2018-04-22 08:24:101. Using a low-pass filter for brightness 音を明るくするためにローパスフィルタを使用する
2018-04-22 08:28:59「えっ、ローパスフィルタで音を明るく?」と驚かれるかもしれない。 仮にディストーションギターのトラックがあったとしよう。 重要な帯域は5-6kHz程度にまで及ぶが、そこから上はノイズしかなかったとする。明るくしようとハイを持ち上げれば、ノイズが補強され耳障りなサウンドになるだけだ。
2018-04-22 08:29:30代わりに、カットオフのカーブが急勾配なローパスフィルタを使用すればいい。これには2つの効果がある。まず、ノイズや歪みを除去することができる。第2に、カットオフ周波数の帯域が強調される。
2018-04-22 08:31:07なので、たとえばカットオフ周波数が6kHzとすると、それ以上の帯域はすべて除去される代わりに、6kHz周辺は強調されることになる。これは(訳注:カーブが急な場合)カットオフ周波数周辺でレゾナンスが生じることによるものだが、そのサウンドは案外クリーンかつクリアなのだ
2018-04-22 08:31:072. Adding midrange for bigger bass 低域を強調するために中域をブーストする
2018-04-22 08:36:47ベース、キック、その他の低域楽器をより大きく聞こえさせたいとき、わかりやすい解法は低域を持ち上げることだ。しかし、ときどき本当に必要とされているのは低域成分の補強ではなく、それらの楽器へ注目を集めることだけだったりする。これは、中域の補強で実現できる。
2018-04-22 08:37:36キックの「パツン」とした音を持ち上げたり、ベースのイカした倍音を強調するのだ。これは、ヘッドルームが不足しているときや、低域がすでに混雑している場合には特に有効だ。
2018-04-22 08:37:52訳注:この技を使おうと思ったら、そもそも低域楽器のミッド成分がなかったでござる…って時にはサチュレータも有効ですね
2018-04-22 08:38:423. Using compression to increase dynamics ダイナミクスを増やすためにコンプレッサーを使用する
2018-04-22 08:44:30「えっ待って!コンプってダイナミクスを制限するためのものじゃなかったの?」と思われるかもしれないが、実はその限りでもない。コンプレッサーとは、信号レベルが閾値を超過した場合にそれを減衰させるプロセッサだ。多くの場合は、これはダイナミックレンジの圧縮につながる。
2018-04-22 08:45:52しかし、アタックが十分に長く、スレッショルドが低い場合、コンプレッサーはアタックを強調することにも使える。このような設定の場合、コンプレッサは信号のアタックを通過させ、持続部分を減衰させる。これにより、アタックが相対的に大きくなる。
2018-04-22 08:45:53このテクニックは、すでにオーバーコンプがなされてしまった信号に生気を取り戻すのに有効の場合がある。(オーバーコンプされたものに、さらにコンプをかけるのだ!) あるいは、貧弱なドラムに生気を注入するのにも使える。
2018-04-22 08:45:544. Sharpening transients before a limiter on the master buss マスター最終段のリミッタ直前で、TransientDesignerを使ってトランジェントを強調する
2018-04-22 08:59:09マスターバスにBrickwall Limitterを使用する場合、おそらくそれはトラックをよりラウドに聞こえさせることを目的としているだろう。また、それを実現するには最大限ヘッドルームを活用したいところだろう。
2018-04-22 09:00:13それなら、なぜわざわざリミッタの直前にTransient Designerを使用するか?アタックを強調することで、ヘッドルームを浪費することにはならないか? 答えは、YesでありNoでもある。技術的には、Yesだ。ただし覚えておいて欲しいのは、こういったものは必ずしも数字では説明できないということだ。
2018-04-22 09:00:14TransientDesignerでトランジエントを強調すると、2つの効果がともなう。 1)リミッタを通過するトランジエントを増やすことができる。これは、Transient Designerが信号をブーストする方法と、リミッタが信号をカットする方法が同一ではないため。
2018-04-22 09:02:122)リミッタはミックス中の「すべての」音を減衰させる。つまり、Transient Designerを通した結果としてキックが10msほどの間強調された分、その間ベースは減衰することになる。総和としてアタックはよりクリアに抜けてくることになり、聴感上はダイナミクスが強調される。
2018-04-22 09:02:13警告:このテクニックは、場合によってはゴミみたいなサウンドに繋がることになる。効果的な場合にのみ活用し、そうでない場合は使わなければよい。
2018-04-22 09:02:365. Using distortion to make something sound cleaner 音をよりクリアにするためにディストーションを使用する
2018-04-22 09:12:48いよいよ妙な話になってきた。一体どうすればディストーションで音がより「クリーン」になるのか? 「クリーン」の定義を、音の「純粋さ」ではなく「明瞭度」とするなら、ハーモニック・ディストーションを使用することでより「研磨された」音に聞こえさせることはできる。
2018-04-22 09:14:14ハーモニック・ディストーションは、軽度であれば音の倍音を強調する効果があり、それらはヒトの聴覚がどのように音を認識するかに影響する。倍音を強調することで、いうなれば純粋なクラリネットの音だったものが、一段と「クラリネットっぽく」聴こえるのだ。
2018-04-22 09:14:14訳注:私見ですが、おそらくこの辺の話が、歪みを増すはずのマスタリング用アナログ機器がサウンドに形容しがたい高級感を加える原因だったり、原音再生とは軸の異なる録音芸術の面白さに繋がるのでは、と。
2018-04-22 09:14:49