日向倶楽部世界旅行編第44話「暴走」

ブルネイに向けて航海を続ける日向達は、現れた深海棲艦の迎撃に向かう。しかし初霜がその最中暴走を始めてしまい…
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三隈グループ @Mikuma_company

「本艦はこれより、深海棲艦との戦闘行動を開始します!」 「船を動かせと仰るのね?」 「駆逐艦娘初霜!」 「目に見えない何かが、この辺りで暴れている!」 「瑞雲の鼓動を全開に!」 「もっとだ、もっと来い!」 「あの人は、自分の命を投げ出す人じゃあないよ」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/R7XQfM64fy

2018-04-24 20:45:54
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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 深海棲艦が現れました、迎撃を行います。

2018-04-24 21:00:41
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【前回の日向倶楽部その2】 ブルネイに向けて出発する野分達、ブルネイに企みを持つハイドロ団、そしてブルネイを目指し航海を続けるヒューガリアン。 航海中いつも通りの日常を過ごしていたヒューガリアンは、その航路で深海棲艦と会敵、日向達は迎撃の為に出撃するのだった。

2018-04-24 21:01:42
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第44話「暴走」

2018-04-24 21:02:12
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〜〜 「三隈さん、状況は」 ヒューガリアンのブリッジに上がった扶桑は、操縦席に座りつつ訊ねる。 「敵はうお型、ヒト型、姫型が混在しています。等級は巡洋級、戦艦級の他、空母級も確認しています。」 モニターを確認し、コンソールを回しながら三隈は答える。

2018-04-24 21:04:00
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「こちらからは?」 「迎撃には日向さん、最上さん、初霜さん、あきつ丸さんの四名が出ています。しかし敵は多数、私もすぐに出撃します。」 状況を伝えると、三隈はヘッドセットを置いて立ち上がる。予断を許さぬ状況、一人戦力が増えるだけでも戦況は大きく変わる。

2018-04-24 21:05:32
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だが、扶桑はこれを制止した。 「三隈さんはここに残って下さい、必要になります。」 三隈は顔をしかめたが、扶桑を信頼し、承諾した。 「ありがとう。では、これよりヒューガリアンは戦闘体型に移行し、増速、迎撃部隊の支援を行います。また、直掩は不要であると日向達には伝えて下さい。」

2018-04-24 21:07:03
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「了解しました。私は救難信号の送信、周囲の索敵と警戒を引き続き行います。扶桑さんは操艦に集中なさって下さい。」 「そうさせてもらいます、ありがとう。では…」 三隈とのやりとりを終えると、扶桑は目を閉じた。船内に警報が鳴り、窓に防護壁が降りる、芝生が割れ、砲が現れる。

2018-04-24 21:08:24
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あっという間に、ヒューガリアンは戦闘母艦へと姿を変えた。 「対深ミサイル装填、対空戦闘用意、第四戦速!本艦はこれより、深海棲艦との戦闘行動を開始します!」 扶桑の掛け声とともに増速、波を掻き分けヒューガリアンが征く… 〜〜

2018-04-24 21:10:26
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〜〜 同時刻、海上では迎撃に出た日向達が、深海棲艦の元へ向かっていた。 「ヒューガリアンより連絡、支援攻撃を行うとの事であります。」 「そうか、では我々は敵との距離を維持しつつ、残存戦力の掃討戦に備えよう。」 最上とあきつ丸は日向の指示に従い、速度を落とす。

2018-04-24 21:12:12
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数の多い深海棲艦との戦闘において、支援攻撃は重要な要素となる。 艦船、航空機などによる制圧射撃で深海棲艦の戦力を削り、残存戦力を艦娘が叩く…この通常兵器と艦娘を組み合わせた戦術は、かつての反攻作戦でも優れた結果を出し、艦娘の生存率向上にも大きく貢献した。

2018-04-24 21:13:08
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無論、支援火力だけが全てではない。 侵攻を阻止しつつ、敵を支援攻撃のレンジに収め、掃討戦を行う…これら三つの役割は、優れた実力を持った艦娘によって成される。 通常兵器と艦娘、双方の連携があるからこそ、人類は深海棲艦との戦いを制して来たのだ…と、本には書かれている。

2018-04-24 21:14:06
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「対深ミサイル発射用意、周囲に人気はありませんね?」 扶桑は攻撃の用意を整えて三隈に訊ねる、深海棲艦を攻撃するもので人を撃ったら大変なのだ。 「問題ありません、戦闘海域に反応なし!」 「分かりました、では…」 扶桑が操縦席を通じ、対深海棲艦用ミサイルの発射を行う。

2018-04-24 21:15:35
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が、その時!ブリッジに怒号が響いた! 「待て扶桑!撃つな!」 「日向、どうしました?」 「初霜が!とにかく射撃は中止だ、ヒューガリアンは自衛に徹してくれ!」 通信越しにも伝わる、日向のこれまでにない焦り、とにかく支援攻撃は中断され、扶桑は望遠モニターで状況を見た。

2018-04-24 21:16:44
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「初霜!前に進んじゃダメだ!」 最上が必死に声を荒げる、見開かれた視線の先には、深海棲艦の一団に向けて猛然と突き進む親友、初霜の姿があった。 「初霜!聞こえてないのか!下がれ!」 「初霜殿!危険でありますッ!」 日向とあきつ丸も叫ぶ、だが初霜は全く動じずに突っ込んで行く。

2018-04-24 21:18:07
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それを見て日向は奥歯を噛み締め、舌打つ 「クソッ、とにかく危険だ、初霜を援護するぞ!」 「了解!」 「最上は瑞雲で初霜を支援しろ、あきつ丸は烈風で敵空母級の足止めを頼む!」 「日向さんは何を!?」 「私は初霜を連れ戻す!」 日向は甲板を構え、瑞雲を射出する。

2018-04-24 21:19:11
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そして砲を正面に向け、鋭く初霜の背を睨んだ! 「どういうつもりか知らないが…今はこの場を切り抜けるぞ!作戦開始だッ!」 日向、最上は増速!あきつ丸を後衛に、最上を中衛に、日向を前衛に、初霜の後を追って海を駆け抜ける!深海棲艦は既に、そのシルエットすら目視できる距離!

2018-04-24 21:20:24
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三人の目には初霜の背中、そしてそれを喰らう様な数の深海棲艦が映る! 「敵艦隊捕捉!駆逐級、巡洋級、戦艦級…オールスターかよ!」 「これ程の数、一体何処から湧いた…ともかく原因は後だ、先制攻撃で少しでも数を減らすぞッ!」 最上と日向の瑞雲が、あきつ丸の烈風を伴って敵艦隊へ向かう!

2018-04-24 21:21:41
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烈風の機銃が牽制し、瑞雲からは爆弾が投下される、何体かの深海棲艦が爆ぜ、海に消える! 「………」 「初霜…」 無言で突っ込む初霜も射撃を行い、敵の数を次々減らす!彼女に日向達の声は届いていなかったが、狙いは同じであり、その働きは頼もしいものだった、今の所は…。

2018-04-24 21:23:08
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「初霜…一体…」 耳を傾ける事なく戦う彼女の背を見て、最上は一言二言呟く。 「最上!ボーッとするな、敵はまだこれっぽっちも減っちゃいない!」 そんな彼女を日向は叱責し、更に増速、最大速度で突っ走って初霜の元へ向かう。 「初霜!聞こえているか、駆逐艦娘初霜!」 返答はない。

2018-04-24 21:24:22
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「駆逐艦娘初霜!…タチバナ!タチバナ・ユキ!戦いたいならそれで良い、だが今はこちらの声に答えろ!通信は生きているぞ!」 艦娘名だけでなく、初霜の本名も呼ぶ。 だが変わらず返答はない、彼女はひたすら敵に向かい、敵を倒す。戦果だけなら勲章ものであった。

2018-04-24 21:25:37
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「…仕方ない、馬力はこっちが上だ…直接引き止めるしかないな…」 日向はそう言って深海棲艦の攻撃を縫い、最高速で初霜の元へ向かう、ぐんぐんと距離を縮めて行く。 「もう少しで追いつく…」 日向は心の中で初霜に手を伸ばす、流石の彼女も直接触れれば止まるだろう。 …異変は、その時訪れた。

2018-04-24 21:26:37
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「ぐあァッ!!」 突如、大きな衝撃が!何かが殴って来るような感覚が日向を襲ったのだ! 突然の衝撃に彼女は大きくよろめく! 「なんだ!新手の攻撃か!?」 日向は甲板を盾に構え、周囲を警戒する。だがそれらしきものはない、あるのはひしゃげ、その機能を失った主砲が一つ!

2018-04-24 21:28:09
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「何が起きた…どこからの攻撃だ!?」 全くもって不可解な現象に日向は一瞬惑う。悪い事にその一瞬の間にも、初霜はぐんぐんと敵艦隊へ突撃していく!まるで惹かれるように、草食動物の群れの中へ、サバンナの猛獣が突っ込むように! そして初霜は無言のまま、ひたすらに敵を駆逐していく!

2018-04-24 21:29:32
三隈グループ @Mikuma_company

だがその行為が意味することは、乱戦! (クソッ…ここから撃ったら初霜に当てかねない、こっちも行くしかない!) 万一を考えた日向は、瑞雲を下げ、主砲の仰角を下げ、砲撃を中心とした白兵戦の構え! 敵の数は多く、それは多少、かなりの無茶!だが部下の窮地、やるしかないのだ!

2018-04-24 21:30:39