夢日記14

当まとめは、該当事象の編纂へ役立てて頂くべく作成、公開をするところであります。
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Magus Clown @SNS_Magus

*自動書記を開始します*

2018-04-27 23:53:47
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 町の人々は今日も楽しく踊っている。ボクが楽しくなれるようにしておいたから、ここについては疑いようがない。 今の彼ら彼女らは間違いなく幸福だ。 とはいえ、ボクもずっと笛を吹いている訳にはいかない。彼女にも暇を与えてやらなければ。 魔力を多めに音に込めたら、一息つこう。

2018-04-27 23:57:06
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 今日の一日分の魔力を、五節程に収めてみた。 魔力適性のない一部の人間について、皮膚の薄い部位からの魔力漏れが見られる。すぐに治療魔法を施したので問題はない。 彼ら彼女らに飲食の必要はない。ボクの音の魔力がある限り、彼ら彼女らはどう足掻こうと生き続ける。

2018-04-28 00:02:17
Magus Clown @SNS_Magus

逆にいえば、ボクの魔力がなくなれば、彼ら彼女らに餌を与えられなくなる。 先に特別な音を聴かせておいたのは、そういうことだ。いくらボクが無尽蔵に近い魔力を持っているとはいえ、それは無限に近い有限だ。 一日中笛を吹いているだけで済ませられないのは面倒だが、まぁ妥協しよう。観客は必要だ。

2018-04-28 00:06:16
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 今日も町は平和だ。皆楽しく踊っている。ボクの音楽が皆の心を打っている証拠だ。なんと素晴らしいのだろう。 子どもについては今まで同様、東ヨーロッパの開拓民へ合流させておいた。 ここに居る彼ら彼女らにはずっとボクの音を聞いていてもらう必要がある。繁殖は他所でしてもらおう。

2018-04-28 00:10:21
Magus Clown @SNS_Magus

しばらくして増えたら、適宜こちらに連れて来ればいい。 魔力は無限ではないが、しかし無尽蔵に近い以上、幾らでも増強は効く。 ボクにはもっと観客が必要だ。

2018-04-28 00:11:48
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 今日も足踏みの音が街中に響いている。音を聞けば、この街の状況はすべてわかる。ああ、今日も全員一人残らず踊っていた。 とはいえ、やはりもう少し拍手喝采が欲しいな。曲の中にそういう指示を織り交ぜておこう。 そろそろ関節周りが痛んでくる頃合いなので、その処置もしなければ……。

2018-04-28 00:15:03
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 関節周りの補強も済んだので、一週間はメンテナンスをしなくても持つだろう。こうも毎日変わり映えしないと、時間が余る。 ここは音楽家らしく、久々に音楽を作ってみよう。演奏をし、それを観客に届けることも大切だが、ワンパターンでは笛が泣く。 今回はどんな曲にしようかな。

2018-04-28 00:17:55
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 ボク、今までどうやって曲を作っていたんだっけ?

2018-04-28 00:18:33
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 魔法には奏でるべき音が定められている。 それはつまり、脳へ信号が送る時に『右足が上がる音』を送りながら左足を上げさせるなんてことは出来ないからだ。 音と音を隣り合わせる度に、『成る程、ここを後少し弄ればこういう指示になるな』ということを考えている。

2018-04-28 00:23:33
Magus Clown @SNS_Magus

音楽とはもっと感覚的なものではなかったのだろうか? いや、何故ボクの音色が感覚なんて不安定な物に消費されなければいけないのだ? 耳障りが良いだけの音色ではなく、人の脳を揺さぶるべきでは? 演奏する楽しさなんて、全能であるボクはそれが出来て当然だろう? 夕日の色がよくわからない。

2018-04-28 00:25:14
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 川のせせらぎの爽やかさより、小鳥のさえずりの柔らかさより、直接人の快楽神経を弾いた方は人間は喜ぶ。 ボクは、世界に自分が認められるべきだと思っただけ。人の個性に委ねるよりも、もっと確実な感動の作り方を選択しただけ。 今更どうして後悔なんてしているのか?

2018-04-28 00:35:20
Magus Clown @SNS_Magus

望んだ喝采はここにある。望んだ部隊はここにある。誰一人、ボクを否定するモノはいない。本当に、誰もが、心から音楽を満喫している。 なのにこの気持ちはなんだ?

2018-04-28 00:36:24
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 街中の羊皮紙が消えた。 全て書き損じた楽譜になって、丸まったり破れたりして、地面に捨てられていく。踊る観客がそれを踏んだ。 一節作るごとに、それは効率的でないと黒く塗り潰して、それを繰り返していたら。流石にレパートリーもなくなってきた。

2018-04-28 00:40:53
Magus Clown @SNS_Magus

曲を次々作り上げていた在りし日の自分を思い返してみても、『頭に思い浮かんだ音符をそのまま調にした』というそれだけしか分からない。 感動を覚えた時なんかは、とりわけ良い曲が生まれていた気がするが。そもそも、感動という心の動きに実感がない。

2018-04-28 00:42:47
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 今日も彼ら彼女らは寸分違わず踊っていて、ボクは寸分違わぬ音色を吹いて、彼ら彼女らを気持ちよくさせてやっている。 とても辛い。

2018-04-28 00:43:45
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 音はボクの全てだった。音を通せばボクは世界の全てを理解して、視て、すぐ近くに感じることが出来た。 彼女の温もりが恋しい。あの子は何処に消えたのか? 気が付けば、ボクは教会の扉を開けていた。 奥の方、祭壇で女神像が埃を被っている。誰も掃除をしていないからだ。

2018-04-28 00:46:09
Magus Clown @SNS_Magus

ボクはここで、神が死んだことを知った。 最初から居たかどうかは置いておいて、少なくとも今この瞬間、ボクが神の死を認識してしまった瞬間、神はいなくなったのだ。

2018-04-28 00:47:12
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 目が見えない。耳が聞こえない。匂いもしないし、味覚も触覚も死んでいる。 体に異常がある訳では無い。絶対値的な算出はつつがなく行えている。 ただただ、実感だけがない。 幽霊になった気分だ。全てが色褪せて、ここにはボクしかない。ボクの生み出す音以外の音が制圧されている。

2018-04-28 00:49:47
Magus Clown @SNS_Magus

あらゆる人の息遣い、衣擦れの音、鼓動の音さえもボクの予測から外れてくれない。 全てが予定調和だ。全てが、楽譜の通りだ。 彼女は何も答えてくれない。

2018-04-28 00:51:12
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 もう一度彼女に会いたい。ボクの愛したあの子と再会したい。 ああ、そうだ、思えばキミは最初からずっとボクの側にいた。ボクが自我を持つ前も、ボクが自我を持った後も、キミだけがボクに対して変わらず接してくれた。自分自身にすら嫌われたボクに、キミだけは優しくしてくれた。

2018-04-28 00:53:39
Magus Clown @SNS_Magus

裏切ったのはボクだ。キミを殺したのはボクだ。だから、これがボクのどうしようもないワガママなことは知っている。ワガママなことは知っているが、ボクはもう一度キミに会いたい。もう一度、笛を吹きたい。心の底から楽しく、演奏をしたい。

2018-04-28 00:55:18
Magus Clown @SNS_Magus

-月-日 算段を立てる。 ボクの体がインクで出来ているなら、このインクがすべて蒸発してしまう程の高温を受ければ、それこそ文字通り消滅出来るのではないかと。 ただ死ぬだけでは、ボクの物語は終わらない。 ボクはまた、目を覚ます。覚まして、『ハーメルンの笛吹き男』としての道を辿る。

2018-04-28 01:00:30
Magus Clown @SNS_Magus

ボクは彼女の隣で眠れればそれで良い。

2018-04-28 01:01:41