【お玉さんの緊急読書企画】『本格力を高めよう』
……か、勘違いしないでよね。 逆に一周回らなかったら、アンタなんか相当に「アンフェアなミステリ」なんだからね。 ……まっ、まぁ、ワタシに逆に一周回させちゃうところとかが、アンタといえばアンタらしいんだけどね。(ツンデレ)
2021-02-17 01:46:37ネタバレ不可だから語ることが出来ない『第二の銃声』の「ミステリとして問題点にあたる部分」、ここに批評的観点以外にも問題点があるのがツラいところなのよ。 正直ね、あの、真相が、、、あまり面白くないのよ。 作者のしてやったりなドヤ顔がね、ハッキリクッキリと見えてくるんよね。
2021-02-17 01:50:01本音を言うと、蛇足やねえ……、とすら思ってしまうのよのねあの趣向。 ラストに至るまでの、不可解な事件を嘘の証拠と偽の証拠品でどんどん変質させてしまうあのドタバタ(?)展開、それだけで充分以上に戦えているのに……、あの趣向が絡む事で台無しになってる様に思えちゃうのよ
2021-02-17 01:50:01事件の書き換えというと『試行錯誤』(1937年) 複数人の思惑が重なり複雑怪奇な事態になってしまう『第二の銃声』(1930年)と比較すると、『試行錯誤』(1937年)は脂っこいトコロは残しつつも削げるモノも削ぎ落とし(それでも複雑だけど)シンプルにエモくまとめあげているわ! とそんな印象。
2021-02-17 01:51:57『第二の銃声』は今回 ○ 評価にしてますが、『試行錯誤』のほうが遥かに上だと個人的には思ってます。月並みだけど、あの人の(あのヘンテコリンな)葛藤がちゃんと伝わってくるという点は、やはり強い! ラストのサプライズもサラリと演出していて余韻があるよね。クドくない!
2021-02-17 01:51:58ちなみに『第二の銃声』(1930年)(東西ミステリー59位)から脂っこいトコロを全て落っことし、ドヤ顔成分を更にクドめなマシマシにして、登場人物のやりとり等々の娯楽小説としての要素をツマラナクしちゃうと、、、『ジャンピング・ジェニイ』(1937年)(東西ミステリー49位)が爆誕する……
2021-02-17 01:51:58①ミステリ(本格探偵小説)としての問題点を抱えつつも、それが面白さの主軸になるよう構成されてない ②事件書き換えミステリとしてはまだ雛形状態ので至る所で珍妙複雑になっている。(作内の地図が作りが雑って、地味にかなり致命的では?)(農園の作男のアレとかも凄え破壊力なのに勿体ない)
2021-02-17 01:54:13といった、二つの(結構大きいメな)ツッコミどころがあるわけですが、それでもワタシは『第二の銃声』を ○ 評価にいたしました。 むしろ。 この令和の御時世に読むべきバークリーは『第二の銃声』ではなかろうか! とすら思っています。 その理由は→
2021-02-17 01:54:45『第二の銃声』は、「モテDQN 対 非モテ」「陽キャ vs 陰キャ」のお話だからであります。 何かが起こると大層考え込んでしまう主人公は、まさに非モテ思考のそれ。みっちり書き込まれる理屈じみた心情を読まされるたび「だから、お前はモテないんだ!」と思うことでしょう。
2021-02-17 01:55:08タイプの女の子に優しく(?)されるとその気になっちゃう様子にはハラハラしちゃうことでしょう。 タイプじゃない女の子と親密になりそうになると理屈をつけて逃げ腰になる様子にはイライラするでしょう。 完璧なまでの非モテ人間。それが『第二の銃声』の語り部なのです!
2021-02-17 01:55:09モテ男に関しては、人として悪い部分がエピソードととして描写されているのが少し残念なんよね。一世紀前のミステリやから仕方ないが令和のミステリだったら、「僕はみんなが好きなんだ〜」的な無邪気な人物として描かれることだろう(まぁ、主人公視点の人物評なので、全然信用しなくてもエエけどね)
2021-02-17 01:56:30モテDQNのことを悪く思っている人たちは非モテ主人公に「よくも殺してくれたねえ(嬉)。法廷では犯人にならないよう偽証してやるよ」みたいな事を言ってくるし、モテDQNに骨抜き状態なオンナたちは「よくも殺してくれたねえ(怒)」と怨みをブツけてくるのよね。 このシチュエーション、素敵っ!
2021-02-17 01:57:11本格探偵小説としては致命的だけど、 殺人事件に対し駒としての役割しか与えられてない登場人物はとことん駒扱いの描写なんだけど、 陽キャ vs 陰キャに絡んでくる登場人物たちがことごとく異常にキャラがたっている、のよね。 そんなに感情を剥き出しにされたら、キミを疑うことなぞ出来ないよ〜
2021-02-17 01:57:51そんな個性満載な登場人物が非モテ主人公に絡んでくる。 前述のように偽証や偽造証拠で事件の性質を書き換えてくる。 非モテ主人公にモテ期が到来? 名探偵はずいぶん頼りない……。 『第二の銃声』のこの上澄み部分、良い感じじゃね? DQNモテ男もすっごく良いキャラなんだわだわ
2021-02-17 02:00:50『第二の銃声』でのシチュエーションの数々、非モテレベルカンストの私には、胃が痛くなりつつもタイヘン面白く読めたのですよね。 途中モテ期(?)ゾーンでの非モテ主人公の童貞思考が本当に痛々しくて、私の中のノスタル爺が「抱けー、抱けー」と叫び声をあげていましたわよ。
2021-02-17 02:02:54「本格力を高めよう」で『トレント最後の事件』をやったとき、「ミステリとして変わったことをやろうとして、事実それを成立させることで読み継がれた作品だと思うんだけど、現代においては、殺人事件が絡む恋愛小説としての視点から見たほうが楽しく読めるのでは?」みたいなことを言った覚えがある
2021-02-17 02:04:16『第二の銃声』も同様で、「90年経っても変化することのない非モテのリアル」を中心軸にして作品に向かい合ったほうが、健全なような気がするのよね。 そして、 「トレント」と違って、この非モテ要素がミステリパートでの展開、及び、真相部分ともかなり絡み合っているので、スリリングでもあるんよ
2021-02-17 02:04:16つまるところ、主人公に興味を寄せることなく『第二の銃声』と対峙してしまうと「ミステリとしての問題点」という罠に陥ってしまう危惧があるのよね。 真相の後に語られる一つの証言。 ああ。 だから、あの行動になったのね。 私が今作で感心した「とあるポイント」、スルーしちゃわないかしら?
2021-02-17 02:04:44(……勝手な偏見かもだけど、リアルでモテモテな男子って、『第二の銃声』を楽しむことが出来ないのじゃないかしら??)
2021-02-17 02:05:21というわけで、『第二の銃声』でございました。 一番初めのツイートどおり、令和の今でもトンデモスゴい『赤い右手』が◎評価。 ミステリとして弱点のある『第二の銃声』、そもそも娯楽小説として弱点のある『一角獣殺人事件』は、それでも偏愛的に○評価とあいなりました。 pic.twitter.com/b5BSaCPKSD
2021-02-17 02:06:13というわけで「本格力を高めよう」第五回はこれにて終幕です。 第六回は? ……まだ『皇帝のかぎ煙草入れ』しか読み返せてない、しかもファーストランのこれがあまりテンションあがらんかったんで、、、ちょっと先かなぁ (´Д` ) (おぼろげな記憶を頼りにするなら、グリーン家が高評価になるのかな)
2021-02-17 02:07:58