世界はなぜ存在しないのか マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

哲学者マルクス・ガブリエルさんと國分功一郎さんが対談　６月・東京：朝日新聞デジタル asahi.com/articles/DA3S1…

GMBO2008 @GMBO2008

1 およそ存在するいっさいの性質を備えた対象は存在しうるのか。 2 どの対象も、ほかのすべての対象から区別されるのか。 この二つの問いにたいする、わたしの答えは「否」です。ここから導き出されることになるのが、世界は存在しないという結論です。 「なぜ世界は存在しないのか」 M・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

ほかのすべてのものから区別されることなく、それ自身とだけ同一であるようなものは、存在することがありえません。そのようなものは、ほかのものと自身とに違いをつけ、自らを際立たせ、ほかのものの前に歩み出ることができないからです。 「世界はなぜ存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

存在すること=世界の中に現れること この等式が正しい方向を示しているのだとしても、この等式それ自体には改良の余地があると思わざるをえません。そこで、わたし自身の主張したい等式は、こうなります。 存在すること=なんらかの意味の場の中に現れること 「世界はなぜ存在しないのか」M・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

かつては各種の「預言者」がお告げを伝えていました。それにたいして今日では、学者や専門家に質問が寄せられます。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

ところが彼らが伝えてくれるのは、結局のところ神の粒子とヒッグス場しか存在しないこと、それに、わたしたち人間が繁殖と餌にしか興味のない宇宙空間の豚にすぎないということなのです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

哲学は、わたしたちが何であるのかを認識しようとするものです。つまり哲学は、自己認識の欲求に発しているのであって、世界を記述する公式から人間を抹消したいという欲求に発しているのではありません。 「世界はなぜ存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

わたしたちがこれまでに得た「世界は存在しない」および「果てしない派生のなかで果てしなく増殖していく無数の意味の場だけが存在する」という洞察によって、何らかの特定の世界像に依存することなく、人間をテーマにすることができるようになります。 「世界はなぜ存在しないのか」 M・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

LCCの機内は、シンプルで気を紛らわせるものがない 要は寝るか本を読むしかすることがないから、理想的な読書空間といえる それが4時間も与えられる=強制されるわけだ

GMBO2008 @GMBO2008

そのような進歩信仰は、近代的な形態をとったフェティシズムにほかなりません。フェティシズムとは、自らの作った対象に超自然的な力を投影することです。そのような投影によって、ひとは合理的な全体に自らの同一性を統合しようとするわけです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

なんらかの仕方で理解することのできる全体の一部分として自身を捉えることができれば、自分は孤立せずに守られていると感じられて安心できるからです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

それに、物ごとがそれ自体ですでに規則に従っていると考える方が、物ごとが崩壊しないようにわたしたち自身が社会的協働のなかで配慮し続けなければならないと考えるよりも、ずっと生きやすい決まっています。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

そこでひとが自らを組み込んでいく大きな全体は、たいていは社会それ自体ですが、わたしたちには当の社会それ自体の細分化の全貌を見通すことができません。この社会の構造をひとつの対象に投影するところに、フェティシズムが生じます。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

これによって、自らの同一性にたいしてわたしたち一人ひとりが責任を担っていることも、また社会環境のなかにわたしたち自身がはめ込まれていること 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

ーこれは最終的にはけっして完全には統御できませんーも、いずれも真正面から受け止めなくてもよくなり、楽になるわけです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

自らを探求することができるためには、わたしたちは、まず自らを失っていなければなりません。わたしたちの存在そのもののなかに、わたしたち自身にたいする距たりが組み込まれていなければなりません。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

いや、わたしたち自身の存在とは、つまるところこの距たりにほかなりません。この距たりの最初の経験、この最大限の距たりの経験が、「神」ないし「神的なもの」として体験されるのです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

したがって人間の精神は、神的なものという形態のなかに、じつは自分自身を探っているわけです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

マルクス・ガブリエルは、意味を求めるのは人間だけ、自己に対する意識を持つのは人間だけと言っているが、予想しないものに遭遇することを面白がれるのも人間だけではないだろうか

GMBO2008 @GMBO2008

宗教の源となるのは、最大限の距たりから自身へと回帰したいという欲求です。人間は自身を放擲して、自分など無限なものの中の些細な一点にすぎないと考えることさえできます。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

このような距たりから自身へと回帰するとき、わたしたちにはおのずからこんな問いが浮かんできます。わたしたちの人生にはそもそも意味があるのだろうか。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

それとも、意味があるように願うわたしたちの希望は、無限なものという大海の中の水滴のように空しく消えゆくものなのか、と。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

かくして宗教とは、無限なものーー全く思いどおりにはならないもの、不変なものーーから、わたしたち自身への回帰にほかなりません。この回帰にさいして重要なのは、わたしたちが完全に失われてしまうわけではないということです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

このような意味での宗教は、もどかしさの表現にほかなりません。わたしたち自身を理解しようとすれば。あらゆるものの全体へと迂回せざるをえません。もどかしさは、ここに由来しています。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル

GMBO2008 @GMBO2008

宗教の源となるのは、この迂回の運動ーーわたしたち自身から全体へと向かい、そこからわたしたち自身へと回帰する運動ーーが無意味ではないという印象、この運動が全体にとって何らかの意味をもっているはずだという印象なのです。 「なぜ世界は存在しないのか」 マルクス・ガブリエル