鉄餅食堂『IDentification -Another Answer-』の妄想純度100%な解説
- n_kinnosuke
- 946
- 0
- 0
- 0
そういえばこう、特定少数に向けて制作された作品についてのネタバレ感想ってどのくらいから呟いていいものなんでしょうかね
2017-10-05 00:01:06まず何が性格悪いって、ID読んだうえで欲しい人にだけ差し上げますっていう形式がずるい。頒布機会の不公平とかそういう意味ではなく
2017-10-05 00:04:42『ID AA』は完全に、本編で選ばれた答えの結末を知りながらも別の答えの結末を見たいという人を刺しに来てるおはなしなので、本編読んでそれで満足って人は読まないでいいと思うし、本編読んで別解も見たいと思った人は作者に直談判してでも読むべきだと思う
2017-10-05 00:09:19というのもアレ、AAを読みたいと思った人は自覚あるなし程度の大小はともかくとして、その先にあると想像しうる悲劇を求めて読んでいるわけですよ。道(ものがたり)を終わらせないという選択ができなかったミカとまほの苦しみとその結末を求めて読みたいと思ったわけですよ
2017-10-05 00:15:02その願望に応えて本来観測されないはずだった別解が紡がれていくわけだけど、この中でミカってのはかなり特殊な立ち位置にあって、未来であると同時に夢であると認識してるキャラクターなわけですわ。物語中にあってかなり俯瞰的な視点を持てるポジションにあるわけですよ
2017-10-05 00:18:27夢の中で、本来の答えを選べないまま三年の区切りを迎えてしまったミカは登場人物であると同時に悲劇の観測者としてメタ視点を持つ羽目になってしまった。この境遇に追い込むのは何を隠そう、悲劇を求めた我々読者なのです
2017-10-05 00:22:21んでAAの結末ですけど、あれってミカという物語のキャラクターによる読者への反逆なんですね。 悲劇って終わりがないと締まらないもので、ミカの苦悩を観測しながら某自殺の名所に向かっていくところに我々読者は悲劇の終わりに伴うカタルシスを期待するわけです。
2017-10-05 00:25:34結末は知っての通り、死を望むほどに苦しんだまほとミカというキャラクターは死ぬわけです。ただ、死んだのはあくまでキャラクターだというところが重要。誰のものでもない笑い声が波間に響くのと同時に、死んだミカというキャラクターは我々読者に「ざまぁみろ」と言ってくるのだ
2017-10-05 00:29:54読者にとってキャラクターは名前だ。「チューリップハットをかぶってグレーと水色が基調のジャージを着てカンテレを持っている」という特徴を持った人物像を「ミカ」と呼ぶことでそれをキャラクターと認識している。その名前が「かすみ」とか「クリスティーナ」とかならまた別のキャラクターになる
2017-10-05 00:33:49つまり名前を失くしたキャラクターはキャラクターたりえないというか、99%一致するけど残り1%の確証が得られない人物像になる。作中で名前を失うのは固有のキャラクターを喪失することであり、名前を殺したのなら固有のキャラクターを殺したということになる
2017-10-05 00:36:43で、名前(=キャラ)を殺したとしても99%一致する人物像が消えることはないんだけど、1%が喪失したことによって観測者がそれを固有のキャラクターと認識することはできなくなり、人物像は作品からフェードアウトしていく。この構図にAAにおける救いが存在していると思うのです
2017-10-05 00:39:14『ID AA』とは『ID』の「物語を終わらせない」に対する別解、つまり「物語を終わらせる」という選択の先にある話で、固有の人物像を喪失することで読者による悲劇の観測から離脱する構造になっているのです
2017-10-05 00:43:54ただし99%一致する人物像の物語は続く。しかし名前を失った以上その物語が描かれることはない。 読者の望む「ミカとまほ」の悲劇は終わりを迎えたのだ!私たちでない私たちが続けていく物語を観測できないのはこんな終わりを求めたあなたたちの自業自得だざまぁみろ!という声が聴こえてくるようだ
2017-10-05 00:47:55『ID AA』は僕たち読者が観測する「ミカとまほ」にとっては悲劇であり結末であるのだけど、99%の彼女たちにとっては無限の未来へレディゴーする救いの物語なのである。というお話でしたなげぇよまとまりもないよ
2017-10-05 00:51:26要は、積極的に求めて手に取り読了した人に痛烈に刺さるような物語を、積極的に求めてくる人にだけ渡す方式で供給した鉄紳さんは性格が悪い(褒めてる)という話でもあるのでした
2017-10-05 00:54:31