【お玉さんの緊急読書企画2】『本格力を高めよう てぃんくる☆』

『本格力を高めよう』が古典本格が対象だったのに対し、こちらは現代国産本格がターゲット。本格ミステリ大賞の歴代候補作を、読書の鉄人・お玉さんが読み解きます。
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

探偵側による(殺人行為を含む)積極的な介入により、事件の進行全てをコントロールする。 コレは本格ミステリを書いたりする作家さんなら誰しも一度は脳裏に浮かべるであろう趣向なはずだ。ただ現実に作品化するにはハードルが高い着想だと言える。そして、労あれど益が少なそうな思いつきでもある

2019-08-19 01:44:44
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

悪人側にも善人側にもカメラが振られ、それぞれの事情を視聴者へ明確に落とし込むことにより勧善懲悪をハッキリさせてるからこそ、「必殺シリーズ」などはエンタメとして成立しているわけであり、様々な情報が読者の前から隠されている本格ミステリで「必殺」の趣向が可能かというと、……難しいよね

2019-08-19 01:46:47
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

叙述トリックを用いるのだったら、謎解きミステリの領分で「必殺」をするのも充分可能かもしれない。 というかね、初め『パズラクション』のあらすじを目にしたときね「叙述トリックものかしら?」と思ったもんだよ。 だがしかし、作品に用意された解答は「さすがッ、霞流一 Σ(゚д゚lll)」

2019-08-19 01:48:38
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

大体、探偵側が人を殺すって相当にキツいんよね。 主人公側にも暴力行使という選択肢が用意されてる冒険小説とかだったら「有り」なのかもだけど、謎解きミステリで嫌悪感無くそれをしようと思ったら、論理の面白さを相殺しかねない昏くて重たいドラマを用意し初めて「まぁ、コレも有りなのかな?」

2019-08-19 01:50:20
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

でもでも、そこはバカミステリの権威として名高い霞流一! 探偵側の殺人起承転結の中に、超絶弩級なイレギュラーを幾つも仕込むことで、主人公側の悪業行為につきまとう嫌悪感を、何となくだが、緩和している。 導入部での、 → 殺人に赴こうとしたら「あれ、あれれぇ〜」な部分とかメッチャ上手やん☆

2019-08-19 01:50:39
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

軽佻浮薄な登場人物たちのドタバタ劇で探偵側の殺人行為が少しでもマイルドになるようコントロールしてるのね。 浮世じみたシチュエーションはところどころクドくなりすぎてるところもあるし、どうしてもリアリティを必要とする箇所が必要以上に重く見えてしまったりするところもあるんだけど、ね

2019-08-19 01:50:51
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

殺人における幾つかのミスを探偵として如何にフォローバックしていくのかが『パズラクション』の本格ミステリとしての読みどころなのだろう。 それだけでは終わらせまい作者のサービス精神もあるんだけど、あの仕掛けはあそこぐらいしか仕掛けられないので、ちょっとミエミエなんじゃよね〜

2019-08-19 01:51:11
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

相当に読者を選ぶヘンテコリンなミステリであることは間違いないだろう。 帰着点に辿り着けるのかしら? 面白く締めることが出来るのかしら? 読んでいる最中、完全に物語に没入しきれず不安になっちゃうこともあったんだけどね。 大丈夫、霞流一のミステリだよ。

2019-08-19 01:51:51
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

ただね、霞流一のチャレンジスピリットがかなり若々しくて、作品はなかなかにきゅうきゅう状態。余裕というものがあまり無かったりするのよね、コレ。 老獪さが生み出すであろう技巧の数々は、作品の間口を少しでも広げるためには使用されず、ディープな方向への舵取りと追い風に用いられているのね

2019-08-19 01:52:27
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

肩の力を抜く気などサラサラない作者の姿勢! 自分は、それを頼もしく思う派なんだけど、『パズラクション』にはニヤニヤ笑いの中にちょっぴりだけ引き笑いが混ざってしまうんよね。 まぁ、濃いね。濃縮度はヤヴァい作品だよね。 ……続編、あるのかな??

2019-08-19 01:52:56
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで『パズラクション』でした。 本当に久し振りの霞流一だったので戸惑った部分もありましたが、僕としては楽しく読めましたよ、と。(第15回の候補作である『フライプレイ!』が実は未読なので、とても楽しみ〜♫) そして、次回は、、、オレも取り戻すぞ〜 ではでは

2019-08-19 01:53:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、本ミス大賞候補作のガバガバ感想TIME「本格力を高めよう てぃんくる☆」であります。 ……本格力スカウターで自らで自らを見てみよう。ピピ。「本格力… たったの5か… ゴミめ…」……ゴミでした。 ではでは →

2019-08-28 01:42:43
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

岡崎琢磨『夏を取り戻す』→ 評価 △ (……タレーラン、……2巻の途中で止まってますわなので正直スマンのです。……峠比呂作画のコミカライズ版タレーランはかなり面白く読んたのですけどね) pic.twitter.com/eCM5Wo9v4X

2019-08-28 01:43:28
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

第19回本ミス大賞にて『夏を取り戻す』に票を投じたのは、 → 芦沢央・稲羽白兎・円堂都司昭・大森滋樹・黒田研二・剣持鷹士・関根亨・辻真先・蔓葉信博・光原百合・遊井かなめ の11名でした

2019-08-28 01:43:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、まず最初に申し上げますと『夏を取り戻す』はとても面白く読めたのですが、あまり自分には合わなかった、というのが感想。 ドロドロに濃ゆい本格ミステリを摂取し続けた濁って穢れた身としては、(しっかりとした味はついていますが)薄味仕立ての今作は、あまりに健康に良過ぎたのですよ。

2019-08-28 01:44:05
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さながら宗田理の「ぼくら」シリーズを彷彿させる少年少女たちの大活躍を大人側からの視線から覗き見る、『夏を取り戻す』はそんなミステリなのね。 子どもたちの行動に伴う謎の数々には大人へのメッセージを込められている。そのメッセージが示すものとは何なのか? 幾層にも重なった謎が展開されるの

2019-08-28 01:45:01
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

個々の謎は小さくて深度も低めなんだけど、手がかりや伏線の散りばめ方や拾い方、&、単調に陥らないための作劇における枝葉の工夫が、極力目立つことないよう地味めに、しかし堅実に展開されてるのよ。企みは豊かで、且つ絶妙だ。 派手さが微塵もない分、構成の上手さが際立ってるのね

2019-08-28 01:46:44
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

ただし。 大前提として、宗田理の「ぼくら」シリーズみたいな物語があまり好きくない人たちにとって『夏を取り戻す』はどう映るだろうか? という話だ。 子どもたちの真摯さの高いメッセージは、反面、反比例気味に子どもたちの打算高さやいけ好かなさも浮かび上げてるように思えたのね

2019-08-28 01:49:06
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

お玉さんは外見も内面も薄汚い大人なのである。 作者が必死に排除しようと頑張っている(本当に頑張っている!)子どもたちの嫌な部分を、かなり敏感に(そして作者が意図してないであろう自分勝手な見方で)感じ取ってしまうってわけなのサ。 少年少女の頑張りに、ピュアなまなざしで向き合えないのだ

2019-08-28 01:49:40
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

物語に膨らみを持たせるため、探偵サイドにはドラマが用意されているわけで、言い換えると、主人公以外誰も信頼出来ないお話だったりする。 そこに、謎を含む少年少女たちの謎の行動だもの、……物語の終盤ギリギリまで様々な作中の事柄に対し、懐疑の視線で読んでしまったんだよね。

2019-08-28 01:50:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

派手さを控えた物語進行の裏に潜んでいるモノに対し期待を寄せ、神経を尖らせ『夏を取り戻す』を読んでいたというわけね。 5本の候補作品の中で一番体力と精神力を要したのはコレだったりする。 ……そして、結末。うがった見方からの過度の期待をあっさりとうっちゃる、すごく素直で素敵な閉幕

2019-08-28 01:51:30
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

鍵のかかる部屋のロジックとかにはしてやられたわけなんだけど、それでも、期待に対して肩透かしされた感があるんだよね。 「よく出来ている」 本当に「よく出来ている」作品だ。 けどね。そこに期待すべきではない作品と感じた上で、血が足りない、不思議が足りない、悪意が足りない、善意が足りない

2019-08-28 01:52:28
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そういうわけで『夏を取り戻す』は客観的に作品の構成と構造だけで考慮すると○評価なんだけど、ガチガチに凝り固まっている柔軟さを欠いた老害思考で判断するので△という採点になります。技術面で「ふわわ〜」となるミステリもあるわけだけど、コレはそういうところで点をつける作品じゃないと思うの

2019-08-28 01:53:02
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで、『夏を取り戻す』でございました。否定的な感想となりましたが、……岡崎琢磨、ちゃんと読まねばなるまいなぁ、とも思った次第でもあります。 ……さてさて、次回は大賞受賞作でありますね。コレも難しいんよなぁ。 ではでは〜 ( ´ ▽ ` )ノ

2019-08-28 01:53:13
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