最初の超大国はアメリカ、それに反対する2つの超大国はロシアと中国である。そして、後者における専制君主国家とはサウジアラビアになる。
2017-04-09 21:32:26サウジアラビアはスンニ派の国である。一方で、サウジと伝統的に仲のよくないイランはシーア派の国である。中東では、長らくサウジアラビアとイランによる代理戦争といった構造が見られており、先に述べたアラブの春では、イエメンがその代理戦争の舞台として顕著である。
2017-04-09 21:34:47そこでシリアに話を戻してみよう。シリアのアサド政権はシーア派に近い宗派であるアラウィ派になる。また、イラン・イラクは同じくシーア派が中心の国家であるため、当然のことながらアサド政権=シリアを支援している。
2017-04-09 21:36:47シリアにおける反体制派には大きく分けてふたつの種類がある。ひとつは穏健な反体制派、もうひとつが旧ヌスラ戦線で、現イスラミックステート、つまり悪名高きISIS=イスラム国である。
2017-04-09 21:38:49ところで、映画「トータル・フィアーズ」にはロシアの守旧派がチェチェンへと化学兵器を投入したのちに、ネメロフ新大統領がこの問題を沈静化するために、自らの判断で攻撃を行ったと偽るシーンがある。ロシア国内でのテロ事件で知られているチェチェン共和国もまた、スンニ派である。
2017-04-09 21:41:37さきほど、シリアはシーア派の国であると述べた。シリア国内の反体制派たちはスンニ派である。チェチェンはスンニ派の国であるとも述べた。ここにロシアがシリアへの介入を断念できない事情が見えてくる。
2017-04-09 21:43:20旧ソ連時代、ソビエト連邦はアフガニスタン紛争へと介入する。アフガニスタン共和国はイスラム教徒の国である。言わなくても判ると思うが、アフガニスタンもまた、スンニ派が中心を占める国である。
2017-04-09 21:46:10ロシアは「タタールの軛」以降の挫折を、このアフガニスタンで迎えた。それは日露戦争の敗北よりも深い傷跡を残すことになる。ロシア国内で繰り広げられるイスラム過激派によるテロ行為には、スンニ派の怒りが背景に横たわっている。かくしてロシアは中東ことにスンニ派との対決を余儀なくされる。
2017-04-09 21:49:07また、ロシアにおいて中東のシリアは最適な緩衝地帯のひとつと言える。中東におけるアラブの春が、ロシア周辺のカザフスタン、ウズベキスタン、ベラルーシといった独裁国家に民主化ドミノを引き起こすことで、体制転換の余波がロシアまで波及しないように、あらかじめ防衛ラインを張る目的もあった。
2017-04-09 21:54:01そろそろ話を終えよう。アラブの春、民主化の嵐が吹き荒れるなか、サウジにはこうした余波が及ばなかった。もとより民主化運動のきっかけには失業率の悪化とインフレがあるのだが、サウジアラビアではこうした問題が顕著ではなかったことや、君主制であることが幸いしている。
2017-04-09 21:58:53一方で、サウジアラビアは潤沢な資金で中東各国に広がるスンニ派の市民たちを支えている。こうして、中東諸国のなかでも共和制を採用した国で民主化運動が広まり、君主制の国家間では現体制が維持されている。ここに策謀めいたものを感じたのがプーチンであり、シリアであった。
2017-04-09 22:01:58はたしてこの問題は根深い。そして、盤石の体制と見られているサウジアラビアにも現代的な課題が残されている。それは石油依存体制からの脱却である。
2017-04-09 22:02:53サウジアラビアでは伝統的な政治・経済システムが維持され、ひいては国民への福祉や再配分という形で体制の安定を担保してきた。だが、豊かな生活が国民の勤労意欲を損ない、富の再分配が公務員の主な職務であるといった弊害を生んだこともまた事実である。
2017-04-09 22:06:09先日、サウジアラビアの国王が来日した。大名行列に比して語られる大尽ぶりで空港やホテルには高級外車が所狭しと並んでいた。豊かな王国からの来訪者は、産業誘致という未来への挑戦を携えて、黄金の国ジパングへと降り立ったのだ。 pic.twitter.com/3Ce91sI6QK
2017-04-09 22:10:40おまけ:ゴルゴ13 第103話「ザ・スーパースター」に登場するキッシンジャー pic.twitter.com/ki7VlRkbYM
2017-04-09 22:26:15言い忘れていたけれど、キッシンジャーは2017年の現在もなお健在である。 pic.twitter.com/q0V4EQKhgn
2017-04-09 23:03:32