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劇中では米空母を攻撃したロシア空軍基地に対して、NATO軍のF-16が非核兵器としての精密誘導爆弾を投下、報復措置としている。 pic.twitter.com/r0uN6ZhPWb
2017-04-09 20:13:39![](https://pbs.twimg.com/media/C893kjbUQAAtG03.jpg:medium)
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このように、原作者のトム・クランシーは史実を踏まえたうえで現代劇に適度な緊張をあたえることに成功している。また、ディアナ発電所周辺で繰り広げられた駆け引きを、情報と論理、情緒と心理に置き換えて優れた密室のサスペンスに昇華している。
2017-04-09 20:17:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
第一の核クライシスは朝鮮戦争であった。第二の核クライシスはキューバ危機、そして第三の核クライシスは第四次中東戦争である。いずれの場合も米ソ両国の心理戦と駆け引きにより、最終的には双方の撤退を経て衝突を回避している。
2017-04-09 20:24:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
アメリカ合衆国における防衛準備態勢、通称デフコン(Defcon:Defence readiness condition)は5段階に分類されている。平時はデフコン5であり戦時はデフコン1となる。デフコン1は核兵器の使用など、究極の事態を意味しており、過去に発動されたケースはない。
2017-04-09 20:28:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
これまで述べた核クライシスのうち、最悪のものはキューバ危機(デフコン2)である。核兵器を搭載したB-52爆撃機が上空待機するなど、世界は全面核戦争の一歩手前まで追い詰められていた。また、第四次中東戦争ではデフコン3を発動しており、ICBMのサイロにも準備命令が下されている。
2017-04-09 20:32:08![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
1973年、ソ連駐米大使アナトリー・ドブルイニンはキッシンジャー米国務長官宛てに、ブレジネフからの伝言を残している。 「エジプト政府から国連安保理に対して、米ソ両軍の派遣要請があった。我々はこの要請に応じるべきであり、仮に貴国から軍を派遣しない場合でも、我が国は派遣する」と。
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ここに一枚の写真がある。右側の男性がドブルイニンソ連大使、左側の男性が、キッシンジャー米国務長官である。 pic.twitter.com/SVHGsrqmLd
2017-04-09 20:38:39![](https://pbs.twimg.com/media/C899TIqUwAAONgm.jpg:medium)
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ブレジネフからの伝言がキッシンジャー宛てに届けられた頃、米国内では大統領への批判が高まりつつあった。ウォーター・ゲート事件への関与が疑われていたからである。こうした事情によって求心力を失ったニクソン大統領の代わりに、米ソ対立の調停はキッシンジャー国務長官に委ねられることになった。 pic.twitter.com/8PuqlRsMAz
2017-04-09 20:49:43![](https://pbs.twimg.com/media/C89_1d9VYAAfsQb.jpg:medium)
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もちろん、ホワイトハウス内での混乱と同様は、冷戦の当事国であるソ連側への福音でもあった。ソ連邦のブレジネフ最高会議幹部会議長は、この混乱に乗じて悲願であった中東への進出を目論む。だが、キッシンジャー長官自らもユダヤ人のひとりとして、中東の共産化を座視することなどできなかったのだ。
2017-04-09 20:50:46![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
かくして米ソ全面衝突を目前に、キッシンジャーはひとつの逸脱を冒している。彼はレームダックと化したニクソンを置き去りにして、閣僚内部で国家安全保障会議を設立、自ら議長となって国防長官、CIA長官、軍服組のトップである統合参謀本部議長、大統領補佐官らを統括して議論をはじめた。
2017-04-09 20:53:44![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ここで、イスラエルと神の目の場面に接続される。イスラエルによる核開発と、中東戦争による核拡散を恐れた米ソ両国は、その先にある核戦争がもはや架空の危機ではないことを確信するに至る。安全保障会議を終えたキッシンジャーは、翌朝ニクソン大統領に報告を済ませる。
2017-04-09 20:57:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ニクソンはキッシンジャーによって起草された声明に署名を済ませた。そこにはこう書かれてあった。 「米ソ両軍の派遣は無用と解している。また、われわれ合衆国は、中東におけるソビエト連邦の軍事行動を一切容認しない」と。
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キッシンジャーは声明をただちにソビエト政府へ送付する。その窓口はもちろんドブルイニン駐米ソ連大使であった。キッシンジャーはこのとき、非公式ながらこう付言している。 「エジプトへの核配備が実現した場合、イスラエルは総力を上げて核兵器を破壊することになる」と。
2017-04-09 21:01:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ブレジネフはキッシンジャーの人となりをよく理解していた。ここにそれを象徴するような一枚の写真がある。 pic.twitter.com/3mruhAen5B
2017-04-09 21:05:18![](https://pbs.twimg.com/media/C8-DZGUUMAIZmRP.jpg:medium)
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映画「トータル・フィアーズ」に登場するネメロフ大統領が、プーチンを模していることは先に述べたとおりである。では、なぜプーチンは中東、ことにシリアへの介入に拘るのだろうか。先日のシリア空爆を考察する。
2017-04-09 21:09:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
先行理解としては、ロシアという民族の特徴を捉えておく必要があるのだろう。彼らは大陸国家という括りにありながら、それでいて実に計算高い民族でもある。よく言えば慎重であり、悪く言えばずる賢い。大陸国家にありがちな領土的野心=拡大路線は必ずしも当てはまらず、条件の一致が不可欠となる。
2017-04-09 21:19:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
それでは、ロシアが領土的野心、拡大路線に向かうための条件とは何か。端的に言ってしまうと、確実な勝利を担保するだけの物量・兵力差と、外部勢力の衝突による間隙、要するに「漁夫の利」を狙える物理的条件の確保である。
2017-04-09 21:21:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
平たくほどいてみよう。ロシアは絶対に勝てると確信した戦にしか挑まないし、できれば敵対する二大勢力が衝突・対立したあとの、火事場泥棒に徹することを望んでいる。それ以外の場面では絶対に拡大路線を採らないのだ。
2017-04-09 21:23:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
また、ロシアは伝統的に守勢に長じている民族である。これは負の歴史でもある「タタールの軛(くびき)」に負うところが大きい。ロシア民族は要塞の構築や籠城戦、守備・防衛戦に長けている。そうならざるを得ない事情があった。
2017-04-09 21:25:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
そこで現代ロシア、ことにプーチン大統領の中東戦略に立ち返ってみる。中東で起きた「ジャスミン革命」を発端に、2010年代には「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が拡大することとなった。
2017-04-09 21:29:31