響が迷子の少年のお世話をする話

たこいちろう@天然記念物 @_TKKC_

響だよ、暁が転んで膝を擦りむいたから私一人で鳳翔さんのおつかいに行ってくるよ

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響「片栗粉と鶏むね肉とレモン…と、これで良さそうだね…あれ？」 男の子「…」 響「ぼく、どうかしたのかい？」 男の子「ぅ…ぁ…」 響「ん？」 男の子「うぅ…」 響「あぁ…な、泣かないで、どうしたんだい？」

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男の子「ぐすっ…お父さんに…わすれもの…とどけにきたの…」 響「そうなんだ、えらいね」 男の子「でもっ…お父さ、ん…おどうざんの…おしごとするばしょ…あぶないって…」 響「あぶないところ？」 男の子「ゔんっ…」 響「そうなんだ…お姉ちゃんと一緒にいくかい？」

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男の子「…いいの？」 響「お姉ちゃんがいれば心強いとおもうよ」 男の子「でも…男は強くなくちゃいけないって…女の子を守れるようにならないといけないって…」 響「そんなことないさ、大きくなったら、守るものが出来たら、守れるようにすればいいよ、ほら、暗くなる前に行こうか」

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響「お父さんって、どこにいるか分かるかい？」 男の子「うーん…お母さんと一緒に来たことあるから…あっち」 響「あっちだね、行こうか」 響（鎮守府に近いところにお父さんがいるんだ…） 男の子「あ！」 響「ん？どうしたんだい？」 男の子「お母さんが地図をくれたんだった」

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響「地図、見てみようか」 男の子「えっと、この赤い丸がお父さんのお仕事するとこだよ！」 響「ここは…鎮守府…？」 男の子「ちんじゅふ？」 響「海の平和を守るところだよ、そうか、もしかしたら君のお父さんを知ってるかもしれない」 男の子「ほんと…？お姉ちゃん…怖い人なの…？」

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響「そんなことないよ」 男の子「そうだよね、お姉ちゃん優しいもん」 響「ふふ、ありがとう、さぁいこうか」 男の子「うん！」 響（そういえば今日、司令官が電話を受けてからそわそわしてたな…）

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響「そういえばお父さんってどんな人なんだい？」 男の子「うーん…ぼくが寝た後に帰ってくることが多いからあまりお話ししたことないんだ」 響「忙しい人なんだね」 男の子「でもちんじゅふ？だっけ、あそこは海を守る場所なんでしょ？お父さんは海を守ってるから忙しいんだ」 響「そうだね」

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響「お父さんのこと、すき？」 男の子「うんとね…よく怒るけど、やっちゃいけないことをやっちゃいけないように怒ってくれてるから…きらいじゃないよ」 響「ふーん…」 男の子「お姉ちゃんもあそこでお仕事してるの？」 響「そうだね、君のお父さんみたいな人と一緒にお仕事してるよ」

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男の子「お姉ちゃんも海を守ってるの？」 響「そうだね、みんなで力を合わせて守ってるよ」 男の子「お姉ちゃんかっこいい！」 響「ふふ、ありがとう…そろそろ着くね」 男の子「あっ、そうだ、お手紙出さなきゃ」 響「お手紙？」

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男の子「お母さんがお父さんのお仕事するとこに入るには門番さんにお手紙渡さないといけないって言ってた！」 響（身内でも許可証が必要なんだ…ずっと中で暮らしてたからわからなかったな…） 男の子「あった！」 響「ん、大丈夫そうだね、それじゃあ行こうか」

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憲兵「響殿、戻られましたか」 響「お疲れ様、この子なんだけど…」 憲兵「はい…？」 男の子「…うぅ…」 響「…」 憲兵「はっはっはっ、すっかり怯えられてしまいましたな」 響「ぼく、大丈夫だよ、この人も海を守る人たちなんだ」 憲兵「そうだぞぼうや、大丈夫だよ」

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男の子「あ、あの…これ…」 憲兵「ん？これかい？これは…ほう…」 響「どこの司令部宛なんだい？」 憲兵「ふむ、響殿、案内を任せてもよろしいですかな」 響「私にかい？」 憲兵「ええ、どうやら貴女の司令官殿のようですな」 響「わかった、帰りは送迎車を用意してもらってもいいかな」

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憲兵「了解しました、用事が済む頃はすっかり陽も落ちてるころでしょうからな」 男の子「お、お姉ちゃん…？」 響「私も驚いたよ、君のお父さんと私は一緒にお仕事してるみたいなんだ」 男の子「ほんと！？」 響「うん、だから私がお父さんのところに連れて行くよ」

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響「憲兵さん、中身のチェックはどうする？」 憲兵「念のため確認しておきましょう、近頃何かと物騒ですからな」 男の子「なに…？お姉ちゃん…」 響「お父さんに何を届けるように言われたんだい？」 男の子「えっと…おはぎ…この中に入ってるんだ…」 響「中を見てもいい？」

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男の子「うん…」 パカッ 響「なんだか…すごい数だね」 憲兵「ふむ、確かにおはぎですな、他のものも問題ないでしょう」 響「じゃあ怖いおじさんもいいよって言ってるから行こうか」 憲兵「私はそんなに人相悪く見えるでしょうか」 響「まあ人相はそれなりに怖いと思うよ」

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響「じゃあ行こうか、お父さんも楽しみにしてると思うよ」 男の子「うん！おじさんもありがとう！」 憲兵「気をつけてね、響殿、送迎車は1時間後に司令部前に送りますので」 響「了解、ありがとう憲兵さん」 憲兵「そんなに老けて見えるのか…おじさんか…」

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響「さて、着いたよ、ここが君のお父さんと私たちがお仕事してる所、横須賀鎮守府だよ」 男の子「おっきいね…」 響「行こうか」 男の子「うん」

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響「ここは私みたいな子がたくさんいる所なんだ」 男の子「お姉ちゃんみたいな人？強くて優しい人？」 響「うん、みんな強いんだ、ほら、あのメガネのお姉さんも強いんだ」 大淀「響ちゃん、おかえり」 響「ただいま、司令官は執務室にいるかい？」 大淀「ええ、その子は？」 響「司令官のご子息様」

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大淀「あら、これはこれは、いつもお父さんにはお世話になっております」 男の子「えっと…」 響「大淀さん、分かりづらいコント始めないで」 大淀「ごめんなさい、お父さんは4階にいるはずよ、届け終わったら中を見学してもいいわ」 響「大丈夫なのかい？」

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大淀「問題ないわ、それにお父さんのお仕事を見るのも悪くないと思うし」 響「わかった、一応司令官からも承諾を貰っておくよ」 響「じゃあお父さんのところに行こう」 男の子「うん」 大淀「あの子…可愛いわね」

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コンコンコン 響「司令官、入るよ」 司令官「ん、入れ」 ガチャ 司令官「遅かったな、外で何か…翔太？どうしたんだここまできて」 翔太「お母さんが『忘れ物届けて』って」 響「たまたま見かけたから連れてきたんだ」 司令官「ああ、そういう…」

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司令官「忘れ物…あとで届けると連絡があったがなんだろうな」 翔太「えっと、これ！」 司令官「ああ、これか！そうだ、これだ！」 響（司令官っておはぎ好きだったっけ…） 司令官「しかしこの量は…夕餉の甘味にするか…響、鳳翔さんところに持って行ってくれないか」

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響「ちょうどよかった、これから鳳翔さんにお使いの品を届けに行くところだったんだ、翔太くんも行くかい？」 翔太「うん！またね！お父さん！」 司令官「ああ、またな、響、帰りは…」 響「もう手配してあるよ、45分後に迎えが来る」 司令官「相変わらず早い仕事をするなウチの筆頭秘書艦は」

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響「鳳翔さん、おまたせ、頼まれたもの買ってきたよ」 鳳翔「ありがとう、あら、その子は？」 響「司令官のご子息様だよ」 翔太「あの…はじめまして…」 鳳翔「あら、恥ずかしがり屋さんなのかしら」 響「この人は鳳翔さん、美味しいご飯を作ってくれるんだ」