「英語話せますか」を英語で話せますか

uroak_miku @Uroak_Miku

頭の整理も兼ねて、「can」の用法クイズをしましょう。

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「can」というのは、ほら、あれですよ中学一年生の年明けに習う、あの「can」。英語の先生が黒板に「can＝できる」とでっかく書き込んで教えて下さる、あの「can」のことです。

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『New Crown』中一編から。車いすバスケのお話のなかでデビュー。「Can you move easily in the chair?」だって。「車いすでうまく動き回れるかな？」のつもりのようだけど英語ネイティヴには「ひとって椅子のなかでたやすく動けるものなのかな？」と聞こえる。 pic.twitter.com/vmwE0yqrs6

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「You」を「あなた」と中一では教わって、中二に上がると「あなたたち」の用法を習うのですが、実はもうひとつ「ひと」の用法があって、ネイティヴはこれをよく使う。

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「Can you move easily in the chair?」ですと、こんな絵が脳裏に浮かぶ。大きな椅子があって、両肘を載せられる肘当てがあって、そのなかにちょこんと体を運ばれて「どう？その椅子だと体が動かせるかな？無理だと思うんだけど」と意地悪されているイメージ。

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「It is really fun playing basketball with the wheel-chair. How about you try doing?」（車いすでバスケするのってすごく楽しいよ。やってみる？）にすべきです。

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しかし、この赤入れ案は三省堂には却下される。なぜかというと 　①「It is … ~ing」は中学では習わない 　② 動詞＋動名詞は中二後半デビューだから中一では出せない 　② とにかく「can」を中一の後半にデビューさせないと授業が先に進まない という理由があるから。

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中学英語教科書は現在６社から出ているのだけど、きまって車いすバスケを取り上げてきます。どうしてなのかな？全国各地の教育委員会に教科書を売り込む際に強力なセールスポイントになるからだと思われます。

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しかし、身障者やバリアフリーという社会性の高い話題を、たかだか３００程度の英単語、それに現在時制しか習っていない中一の子たちに英語でふるなんて、無茶もいいところです。

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「He can play basketball well.」と兄を称える弟のポール。この子いちおうアメリカ人設定なんですが、それがどうしてこんな英語を話すのかな。「兄はバスケなら上手です」に聞こえる。私なら「He's a very good wheelchair basketball player.」（兄は車いすバスケの凄腕選手です） pic.twitter.com/NASB4U2l5H

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「can」を早めにデビューさせるべく、強引に文に押し込んでくるんですよ。

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こちらは『New Horizon』から。やはり「can」を強引に押し込んでくるせいで、非常に不自然な英文になってしまっている。「Can you skate?」だって。「Do you skate, Saki?」か「Are you a good skater?」（スケートは得意？）で通じるのに。 pic.twitter.com/zCImPWUiqx

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以下、整理してみましょう。 　①　I can walk.（歩けというのならこれでも歩けるんだぞ） 　②　I can enter the room.（私はこの部屋に入るのOKなんだ） 　③　I can make a mistake.（私だとミスるかも） 　④　I can help you.（なんなら手伝おうか） これが「can」の基本４用法です。

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「こんなにあるの？」とめげるのは早い。私たちだって 　①　あの距離なら私でも走れる。（能力） 　②　このキノコは食べられる。（性質） 　③　大丈夫、この道路は二輪でも走れるよ。（許可） それに 　〇　海が見える。（自発） を難なく使いこなしているのだから。

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日本語だってこんな風にわけわかめな用法、語法でいっぱいです。それに気が付けば、外国語学習についてもそれほど動じなくなります。

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…と、長い前振りはここまで。これよりクイズです。

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問題　「英語は話せますか」を英語で言ってください

uroak_miku @Uroak_Miku

「Can you speak English?」だと✖なんだろどうせ？と思った方は勘繰りすぎ。これでも正解です。

uroak_miku @Uroak_Miku

「カタコトでいいから英語できますか？」のニュアンスなので、外を歩いていてガイジンに問いかけられるときはこれですね。

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「Do you speak English?」なんだろ正解は？と思った方も正解です。

uroak_miku @Uroak_Miku

英語の動詞のうち「play the piano」とか「speak English」とかの、実際に体を動かす形のものは「普段からやっている」のニュアンスがあります。

uroak_miku @Uroak_Miku

ゆえに「Do you speak English?」なら「普段から英語話してる？」つまり「英語できますか」という問いかけになるわけですね。

uroak_miku @Uroak_Miku

しかし、「英語話せますか」と相手に尋ねるのに最もスマートな聞き方は、なんと…

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Can I speak English? だったりします。

uroak_miku @Uroak_Miku

「えー？これだと『私は英語が話せますか』だから違うジャン」と思った方は、中一のときに骨の髄まで「エレン先生の英語」を刷り込まれてしまった、哀れなニホンジンの典型です。