「ア・ラナウェイ・スリーピング・ビューティ」

J刑事のnjslyr風ガン藤二次創作ツイッタ-ア-連載まとめです
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Genba Graham @BOREZET

「ガンマックス、分からないのか!?俺だ!トウドウだ!」呼びかけにもガンマックスは一切反応しない。無機質なバイザーは変わらず「侵入者」の赤い文字を表示している。「くそッ、どうして…」その時だ。胸元に熱い感覚と、一拍遅れて激痛が走った。「グワーッ!?」

2018-07-04 21:51:40
Genba Graham @BOREZET

トウドウはふらつき、ハンドルに腕をついて体を支えようとする。左胸から血が流れ出していた。血液は車体に落ちる前に0と1になって消えていく。撃たれた。まさか…。論理肉体を01還元されながら後ろを確認すると、後方のバイクの一台からライフルが覗いている。どうやらKICKコマンド狙撃されたようだ。

2018-07-04 21:54:04
Genba Graham @BOREZET

ガンマックスに気を取られている隙を狙った正確な射撃だ。何と精密な防衛プログラムか!トウドウの論理肉体はそれ以上この空間にはとどまれず、0と1の風の中に消えていった。ガンマックスはそれをただ無表情に見送る。彼はガンバイクを再始動し、並行するハイウェイへと消えていった。

2018-07-04 21:56:23
Genba Graham @BOREZET

「ゲホッ!ゲホッ!」トウドウの意識は現実世界へと引き戻される。周囲に集まったエンジニアたちが何事か言っているが、KICKのフィードバックでよく聞き取れない。そこにサエジマの声が割り込んでくる。「トウドウ!平気か!?」「ああ、旦那か。俺は平気だ」「…お前は自分の様子をよく見た方がいい」

2018-07-04 22:00:15
Genba Graham @BOREZET

自分の様子?ふとコンソールを見れば、真新しい血がべっとりと付着している。さっきまで自分が突っ伏していた場所だ。「うっ!?」コンソールのモニタがちょうど光の加減で自分の姿を反射していた。口と鼻それぞれから血が流れ出し、作業服の胸元をあの警告ドット文字のごとく真赤に染め上げていた。

2018-07-04 22:01:59
Genba Graham @BOREZET

「トウドウ、これ以上はお前が危険だ」サエジマが肩に手を置く。「LAN直結を中止した方がいい。私にも画面上のKICKコマンドが見えた」トウドウは再びコンソールの画面を見る。トウドウのアカウントはKICKされたようで、それ以降に中で起きていることは分からなくなっている。「それでも、だ。旦那」

2018-07-04 22:03:54
Genba Graham @BOREZET

「あいつは俺の息子なんだ…知ってるだろう?」トウドウはLAN端子の接続を確認する。「止めたって聞かんぞ」サエジマは迷う様子を見せたが、結局は頷いた。「あと一回だけだ。絶対にKICKされるなよ」「分かってる」サエジマは分かってないだろうという目つきで、諦め混じりにこちらを見やる。

2018-07-04 22:06:22
Genba Graham @BOREZET

「…ブレイブポリス全員にとっても、お前は父親みたいなものだからな。必ず、戻って来い」慣らしでタイピングしながらトウドウは笑いで返す。「なら、あいつにニューロンを焼かれんよう気をつけるさ」再ログイン開始。何回か体を痙攣させ、トウドウは意識を失い再びコンソールに突っ伏した。

2018-07-04 22:09:24
Genba Graham @BOREZET

モニターにはログイン成功を意味する文字列が並んでいる。しかしそれはスタート地点でしかない。エンジニアたちやサエジマにはただ、画面を見ていることしかできないのだ。「トウドウ、踏ん張ってくれ…」

2018-07-04 22:10:49
Genba Graham @BOREZET

目を開けるとトウドウは、再びあのハイウェイに立っていた。前回KICKされた場所とは異なる地点のようだ。今は周囲に擬人化プログラムも誰もいない。前よりもジャンクションが近い位置にあるようにも見える。しかしバリケードが置かれていたりするところを見ると、相手は防衛を強化しているようだ。

2018-07-04 22:14:13
Genba Graham @BOREZET

「急がんとな…」トウドウは再び愛車を生成し、乗り込む。今度こそガンマックスを捕まえなければ。そうでなければ、防衛プログラムの攻撃に自分のニューロンが耐えられるか分からない。二度目はないのだ。堪え難さに唇を噛み、トウドウはエンジンを始動させた。彼の愛車はゆっくりと走り始める。

2018-07-04 22:16:26
Genba Graham @BOREZET

ハイウェイの空は相変わらず均一な青色だ。星もなく、太陽も月もない。しかし遥か彼方のジャンクション上空に、小さく輝く、自転する物体が見える。トウドウにはそれが「ここに来い」というメッセージにも思えた。「待っていろ、ガンマックス…」

2018-07-04 22:17:54
Genba Graham @BOREZET

「ア・ラナウェイ・スリーピング・ビューティ」 #2終わり#3に続く

2018-07-04 22:19:00
Genba Graham @BOREZET

「ア・ラナウェイ・スリーピング・ビューティ」#3

2018-07-06 22:58:23
Genba Graham @BOREZET

トウドウは彼方のジャンクションへ向けて愛車を走らせる。逃げ場のない一本道は海上メガパーキング、ウミホタルへの道中を思い起こさせた。正面から吹き付ける風が運んでくるのは乾いたコンクリートの匂いだけだ。左右のビル群は、時たまLED照明が瞬く以外には無表情にこちらを見下ろしている。

2018-07-06 22:59:00
Genba Graham @BOREZET

何本か並行して走るハイウェイはどれも自分よりも高い位置にある。「俺は狩られる側ってわけか…」今のトウドウはガンマックスにとって侵入者だ。侵入者には、トラップを。先ほども見たバイカー集団が並行ハイウェイに姿を現わす!ガシャガシャと音を立て、ミサイルランチャーがバイク側面に展開!

2018-07-06 23:00:00
Genba Graham @BOREZET

「同じ手は食わんぞ!」トウドウは掌から白く発光する立方体を生成!立方体は一瞬のうち巨大化、幾何学図形を撒き散らしながらバイカー集団を内部に閉じ込めた!防衛プログラム対策に用意しておいたbotだ!タツジン!KICKされた際、簡易的に作成していたのだ!これでバイカー集団は封じた!

2018-07-06 23:01:56
Genba Graham @BOREZET

だがこのbotはガンマックス本人には通用しないだろう。心を持ったプログラム、いやプログラムを超えた心を持つ生命体。足止めにもならないだろう。立方体を見送り、再発進しようとした時だ。トウドウは前方、同じ道路にあの白いガンバイクを認識した。「ガンマックス!」ガンマックスは答えない。

2018-07-06 23:03:09
Genba Graham @BOREZET

返事の代わりにガンマックスはガンバイクを発進させる。あっという間に加速!引き離されるわけにはいかない。トウドウもアクセルを踏み込み加速!コトダマ空間における熾烈な論理カーチェイスが幕を開けた!超AIであるガンマックスはあまりにも速い!人間を凌駕する演算速度がそれを可能にするのだ!

2018-07-06 23:04:14
Genba Graham @BOREZET

トウドウも離されまいとニューロンをブースト!さらに定義情報を書き換え加速する。だがそれでも見失わないようにするのが精一杯だ。botを使う隙すらもない。(((コトダマ空間じゃガンマックスが圧倒的に有利すぎる…どうやって捕まえりゃいいんだ!?少しの間、足止めすることさえできたなら…)))

2018-07-06 23:06:09
Genba Graham @BOREZET

その時だ!ガンマックスがバイク上から後ろを振り返った。「キリサキ=サン!」そのバイザーには緑色の「キリサキ」「援護な」の文字。後方を見やれば、以前にも見たメガバイクが追ってきている。そしてその中に乗っているのは…。「キリサキだと!?」間違いない、白バイ隊員キリサキだ!

2018-07-06 23:07:25
Genba Graham @BOREZET

そんな訳がない。キリサキは再逮捕された。よってガンマックスへのアクセスなど不可能なはず!whoisをかけるとIP反応なし。「…これもか!」擬人化された防衛プログラムだ。メガバイクは一瞬のうちに変形、バイクロスへと姿を変え跳躍!トウドウをKICKするべく襲いかかってきた!

2018-07-06 23:08:47
Genba Graham @BOREZET

トウドウは愛車を蛇行させ寸前で回避!バイクロスのパンチ一発でハイウェイに大穴が空きがれきが舞い飛ぶ!その穴からひび割れが広がり崩落していく。もう後戻りはできない!もはや選択肢はひとつだけ。ガンマックスを追いながら、キリサキから逃げ続ける!

2018-07-06 23:09:46
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