百合ゾン二次創作【ダイバーズ・ブルー・アンド・キャット・ブルース】

ゆきるさん初登場回
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黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

もうすぐ百合ゾン二次創作【ダイバーズ・ブルー・アンド・キャット・ブルース】を投稿します。 #百合ゾン

2018-07-10 11:02:31
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

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2018-07-10 11:08:00
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

サマーシーズン到来! 常夏の百合ゾン島は梅雨知らず。ほのかに乾いた潮風が、島民たちの心をときめかせる! 1

2018-07-10 11:08:57
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

水着姿の島民たちの姿が神絵師たちの手によってTLを彩られる中、ダイビングスーツに全身を包んだ新入りニョロワー・リコは一人、砂浜から離れた海中でダイビングを静かに楽しんでいた。 2

2018-07-10 11:13:21
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

百合ゾンドライバーの影響で普通の人間になれたリコだが、かつてその本質は『シェイプシフター』という存在であった。他者や動物の姿を模倣し、その生物の特性や欠点を使い分けて生きてきた彼女には、その体験が微かに残っている。 体は覚えている、というやつだ。 3

2018-07-10 11:14:46
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

とはいえ一人で海に潜るのは大変危険な行為だ。 本来ならバディと一緒に潜るのが鉄則なのだが、生憎ダイビング仲間は見つからなかったため仕方なく一人で潜っているのだ。 4

2018-07-10 11:19:43
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

(残圧残り50…そろそろ岸に戻ろう) 島近くの岩場に打ち込んだアンカーロープを辿り、百合ゾン島に向かって泳ぎ出す。 海色がディープブルーからエメラルドグリーンに変わる頃、アンカーロープを回収したリコは百合ゾン島の砂浜に目をやる。 5

2018-07-10 11:24:37
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

(ここに島民が集まり出した頃、みんなで水着バーベキューをしたことあるって聞いたなあ。その頃まだ私は、私として外の世界を知らなかった。いつか皆で遊んだり、バカ騒ぎとかしてみたい…) 6

2018-07-10 11:29:25
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

砂浜に着いたリコは器材を外し、ウェットスーツのチャックを下ろす。 短く切り揃えられた緑髪と、やや赤みがかった肌。オレンジ色のビキニに包まれたバストはやや小ぶりで、高い背丈も手伝い独特の雰囲気を纏っている。 7

2018-07-10 11:36:26
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

ビキニ姿のまま砂浜で一休みをするリコの目に、妙なものが飛び込んできた。 『ゲーッ!』海鳥が数羽、けたたましく鳴きながら低空を旋回している。その下の砂浜には、小さな生き物…?なにかが体を丸めて、じっと耐えているように見える。 8

2018-07-10 11:41:28
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

リコは手持ちのダイバーズライトを片手に、うずくまる生き物に近づく。『ゲェーッ!!』敵意を察したのか、海鳥は瞬く間に退散してゆく。安全を確保しながら生き物の側に寄り、それが何なのかを確認する…… 白く細い体毛に包まれたそれは、明らかに子猫と呼ばれるモノであった。 9

2018-07-10 11:44:44
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「猫…なんでこんな所に?」この島で暮らして結構経つが、猫耳ニョロワーは見かけても野生の猫は見たことがない。まして子猫は尚更である。 「どうしよう…」どことなく衰弱しているように見える子猫を抱えながら、リコは呆然と立ち尽くした。 10

2018-07-10 11:49:34
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

【ダイバーズ・ブルー・アンド・キャット・ブルース】

2018-07-10 11:50:09
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「この辺は私のテリトリーだけど、猫なんて見たこと無いな」 森の奥深くに暮らす、銀髪オールバックの狩人であるリカルドは静かに言った。鍛え抜かれた鋼のような肉体が、彼女の言葉に説得力を込める。 11

2018-07-10 11:55:25
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「そっかー。リカルドちゃんでも知らないなら、野生の猫じゃないのかな」 リカルドから出されたお茶を啜りながら、リコは溜息をつく。 短パンにサンダル、『親しみやすい』と書かれたクソTシャツと、ラフ極まる格好だ。 12

2018-07-10 12:03:39
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「野生の猫だったら放置するのが自然の掟だけど、そうもいかないよね」 とりあえずミルクを与え、怪我の応急処置を済ませた子猫を、リカルドは指先でつつく。ぷにぷにとした感触が、生き物としての脆弱さを物語っているようだった。 13

2018-07-10 12:07:08
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「となると、連れてきた人を探すか…」「自分で世話するか、だな」 「やっぱそうなるかぁ」「今さら放っておける?」「…無理」「じゃあ頑張るしかないね」 14

2018-07-10 12:11:27
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

……妙なことになったけど、やるしかない。キックボードにキャタピラとエンジンをつけた凶悪な乗り物に乗り、リカルドと物々交換で入手した干し肉を抱え、リコは街へ向かった。 「難儀だねえ」干し魚を手斧で調理しながら、リカルドは呟いた。 15

2018-07-10 12:14:37
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

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2018-07-10 12:19:01
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

それから数日が経つも、子猫の飼い主は見つからなかった。リュックを背負ったリコは途方に暮れる。 「まさか東風屋の皆も知らないなんて…モルグに向かう途中でくくろさんに襲われるし、こうなったら自分で飼うしかないか…」 16

2018-07-10 12:19:56
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「にゃあ…?」「よしよし大丈夫、私が何とかしてあげるから」 子猫の衰弱は治まっていない。 ちゃんとした猫用の食事が島に無かったため牛乳などで誤魔化しているが、状況は良くない。 (あと頼れるのは…はんちょ〜さんだけか) 17

2018-07-10 12:23:41
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

百合ゾン島中央部の地下にある秘密の研究所。かつてリコがニョロワーとして定着し、同時に貞操を奪われた奇妙な思い出のある場所だが……行くしかない、リコは決意した。 衰弱した子猫は、リュックの中で震えている。 18

2018-07-10 12:27:55
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「それでェ、私に何の用ですかァ?」 百足めいた多脚、マンガじみて異常に膨れ上がったバスト、得体の知れない面を付けて機械いじりをするはんちょ〜は、何故かとても楽しそうに言った。 「拾った子猫が衰弱して困ってる、助けて欲しい」 19

2018-07-10 12:32:24
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

「むむ、子猫ォ?…妙ですねェ、この島に猫なんていましたっけェ」 「それがここに、いるんです」「ワオ」リュックの中から衰弱した子猫を出し、はんちょ〜に見せる。 「猫用の食べ物とか無くて、ちょっとどうしたらいいか分からないんです」 20

2018-07-10 12:35:06