『ロックマンDASH』の世界観を改めて考察してみました。

前回の『流星』考察に合いの手が多かったので、調子に乗って『DASH』もやってみました。 セルフまとめです。ネタバレも誤字も多く含みますのでご注意ください! (123レス、16,000字強もあります!!書きすぎ……!!) 皆様の考察の一助になりましたらば幸いです! ユーナがユーリになってます!!ごめんねミクちゃん!!!
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らいおねサン @WRaione

この二つのライバルが大人しくしてくれているうちは、ロックの生活も穏やかなものなのですが、困ったことに片方の存在が片方の存在に物語上の動機を与えてしまい、『DASH』の物語は“冒険活劇”と“ポストアポカリプス”の文脈を交互に繰り返して進行していくこととなるのです。

2018-07-08 19:30:47
らいおねサン @WRaione

そういうわけで、『ロックマンDASH』って実はカトルオックス島へのボーン一家の侵攻が無ければ始まらない物語だったわけです。言ってみれば当然ですが…… だからこそ、長い目で見れば彼らのようなアウトローの存在が人類滅亡後の物語を再び動き出すきっかけとして重要になるわけです。

2018-07-08 19:30:48
らいおねサン @WRaione

そもそもデコイとは、管理された存在であるはずで、オリジナルのヒトが復活するまでに環境を改善させる目的で創造されたものでした。なれば、状況の均衡を崩すアウトローの発生は何より許されざる“イレギュラー”のはずなのですが……

2018-07-08 19:30:49
らいおねサン @WRaione

そのイレギュラーの発生について、いつからか上位の管理存在がこれを放置するようになっていたのでした。 最後のヒトであり、上位存在の長でもある『マスター』という人物の意向によるものです。“デコイ”を上位存在の管理機関=“エデン”による管理から解き放ち、第二の人類として定着させようと。

2018-07-08 19:30:50
らいおねサン @WRaione

しかしこれは正式な決定ではなく、不服に思う勢力が反乱を起こしたために、エデンの運営が凍結され、実質管理のない状態になっていたに過ぎないのですが、この間に放置されたデコイは際限なく増え、多様性を増し、ついに平穏な状態を崩すイレギュラーを輩出するようになってしまったと考えられます

2018-07-08 19:30:51
らいおねサン @WRaione

単なるガキ大将程度のものなら可愛いものの、オーパーツを持ち出しては、基盤となる管理システムに影響を及ぼせるほどの能力を得て、島々を渡り、並外れた力で管理施設(遺跡)の守護者(リーバード)を打倒しうるまでに変わってしまいます。

2018-07-08 19:30:52
らいおねサン @WRaione

リーバードによる防衛ラインを突破し、管理施設内で凍結されていたシステムを再起動させたとき、解決を先送りされていた、デコイの存亡をめぐる物語が再び動き出すのです。

2018-07-08 19:30:54
らいおねサン @WRaione

ところで、違法ディグアウターや空賊などのアウトロー(=イレギュラー)は、本当に不要な存在だったのでしょうか。 問題を先送りにしたまま、永遠に物語が動き出さないままでも、デコイは半永久的に平和を謳歌できていたずです。

2018-07-08 19:30:55
らいおねサン @WRaione

疎まれつつも必要である。 得てして、“イレギュラー”とはそういうものではないでしょうか。 どう心がけようが、生命体がこの世にある限り、多様性は必ず広がって行きます。画一的な平和像を固めた時点から、実際の在り方が遠ざかる可能性が無くなることはありません。

2018-07-09 23:02:29
らいおねサン @WRaione

「足るを知る」として、人の欲求が無くなる訳でもまたありません。必ず不満は噴出するし、不適な例も増えていきます。 その対応を怠り黙殺せんとすれば、炭鉱のカナリアよろしくのたうち回る人物だって現れようもの。 時にそれはのたうつばかりか、嘴で襲いかかってくることすらあるかもしれません。

2018-07-09 23:02:29
らいおねサン @WRaione

迫害され、軽んじられ、追放され……それでも自らの生存を確立しようとするならば、いよいよ真っ当な手段を取ることはできなくなります。 盗掘以外の生活を教えて貰えなかった者。 略奪以外で誇りを守れなくなった者。 これらは同情がどうこうという文脈に関係なく発生してしまうものです。

2018-07-09 23:02:30
らいおねサン @WRaione

彼らが外法の生き方によって牙を剥くからこそ、善良の側に立つ者は自らの傲慢のツケを思い知るのであり、そしてこれは社会システムの不備を自覚するきっかけにもなるのです。 一つひとつの“イレギュラー”の意義を受け止め、システムの改善に努めるならば、イレギュラーは長い目でメリットになります。

2018-07-09 23:44:36
らいおねサン @WRaione

新たな人類として認められたデコイを一掃する「人類再生プログラム」を発動せんとするマザーに対し、最大最悪のイレギュラーとして対峙したロックマン・トリッガー(=ロック)がいなければ、そもそもデコイたちの平和で長い時代が始まることすらもなかったわけでして。

2018-07-09 23:44:36
らいおねサン @WRaione

イレギュラーの発生する可能性を完全に潰してしまった場合、間違いを正す可能性もまた一緒に潰してしまうことになるのではないでしょうか。 少なくとも、トリッガーというイレギュラーがデコイの可能性を延命し、空賊や違法ディグアウターなどのイレギュラーがデコイの進歩を促していたのは事実です。

2018-07-09 23:44:37
らいおねサン @WRaione

それが世界観の根底にある以上、『ロックマンDASH』では悪役の在り方を他のシリーズに比べてずっと意識的に人間的に描いていたんじゃないかと思います。 よくよく、フィクションの悪役となるキャラクターは食事など人間臭いシーンを極力描かないようにし、恐ろしいイメージを強めると聞きます。

2018-07-09 23:44:38
らいおねサン @WRaione

しかし『ロックマンDASH』では、珍しいことに主人公サイドにも悪役サイドにも同じくらいの所帯染みたシーンが用意されており、ライバルなボーン一家を“憎めないキャラ”にするばかりか、対比としてのキャスケット家の面々も“愛嬌のあるキャラ”として、ヒーローヒーローさせないようになっています。

2018-07-09 23:44:38
らいおねサン @WRaione

『DASH』の物語には、人間味の感じさせ方において、凡そ扱いの格差が起きないように気をつけられている節が感じ取れるのです。 『DASH2』で登場するも出番の少なかったBBブラザーズですら、寄る年波に勝てず腰痛に悩むなどの描写を盛り込んでいたのですから、その徹底ぶりは無視できないかと。

2018-07-09 23:44:38
らいおねサン @WRaione

個人的には“古き良き”という雰囲気を支えているのが、まさにこの辺りの工夫なのではないかと考えています。 街並みの小道具にさえも、生活感を漂わせる。良い子も悪い子もみんな生きることに精一杯であることが分かる、だからこそ彼らの考えの相違は憎まれるべきでない…… と思わせてしまう。

2018-07-09 23:44:39
らいおねサン @WRaione

実際主人公のロックにしたって、善行を重ねるプレイスタイルで得られるメリット・デメリットがあれば、逆に悪行を重ねることで得られるメリット・デメリットがそれぞれ用意されていました。 どちらの生き方も頭ごなしに否定できるものではないことを、他でもない世界観が認めているのです。

2018-07-09 23:44:39
らいおねサン @WRaione

外法も合法も生き方の一つにすぎない。それぞれを肯定し、可能性を開いていることで、デコイは第2の人類として強く進化してこれたのではないでしょうか。 悪く言えば平和ボケですが、よく言えば笑って済ませられる関係とも。

2018-07-09 23:54:43
らいおねサン @WRaione

なんのかんの言って、アウトローな人々とも共生しているのがデコイの良いところです。勿論アウトロー側の人々だって、略奪するときも「トイレットペーパーぐらいは残してやれ」と人情を滲ませたり、命までは取らないよう気をつけていたりと、善良な人々に対して驚くほど自然に仁義を通しています。

2018-07-09 23:54:43
らいおねサン @WRaione

ちなみに『DASH2』で母船を失っていたはずのボーン一家が再び空賊稼業に復帰した理由が「心機一転し始めたデパートの操業がうまくいかなかったから」というもので、彼らもロックに負けず劣らずフラフラと善悪の境を行ったり来たりしています。『DASH1』でも真っ当にハンバーガー屋を経営してましたし。

2018-07-10 00:11:58
らいおねサン @WRaione

(生活の)必要に応じて誰もが悪側に立てるし、善側に戻ってくることもできる。 現実のようにレッテルが足を引っ張って、転身することが思うようにうまくいかない……ということはこの世界観にないようです。 ジャッキー映画のごとく、一度しばかれれば笑顔でちゃんちゃん、にできるくらいの軽さ。

2018-07-10 00:11:58
らいおねサン @WRaione

対して現実世界の昨今は、一度行動や言動にケチのついた人々が許されて、心機一転に生活を立て直すことが難しいものですよね。 ジャッキー映画のような軽いノリは受け入れられにくくなり、一度決まってしまったアイデンティティに一生振り回されることだって珍しくありません。

2018-07-10 00:11:59
らいおねサン @WRaione

いつか、どんなバカをやっても許された時代が誰にでもあったはずです。 昨日聞き分けのいい子だったのが、今日は困ったちゃんだった…… そして逆も然り。 そんな「人はどちら側にも変われる」と信じられた時代をこの『DASH』が思い出せるのならば、“古き良き”と称されるのも自然なのかも。

2018-07-10 00:11:59
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