【英霊剣豪201x番勝負】第十節『小太郎vs小太郎＆小太郎』

劉度 @arther456

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると助かります。忙しい方は後ほど投稿されるtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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トンビが鳴いている。やはり、どうにもしっくりこない。鷹と呼んでいたものを、トンビと呼ぶだけなのに、その本質まで変わったように思えてしまう。しっくりこないのは、今の私も同じだ。「先生、もう１回、お願いします！」私の前にいる少年が、竹刀を構えた。1

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「うむ、来い」「はああっ！」少年が竹刀を振り下ろす。狙いは頭。遠慮がない。体を開いて避ける。竹刀が地面を打った。少年は衝撃に耐え、斜めに胴を払う。後ろに跳んで避ける。少年が間合いを詰めながら、手首を狙う。竹刀の柄で受け止める。読み通りの動きだ。2

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どの攻撃にも、殺意はない。竹刀だから、というわけではない。そもそも少年は、人を斬ろうと思っていないのだ。彼が剣術を学ぶ理由は、強くなって友人を見返してやるためだそうだ。初めは断ったのだが、家の前に丸一日居座られては、引き受けるしかなかった。3

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少年の攻撃を捌き続ける。まだ彼は武器に振り回されている。それに気付かず、少年は力任せに竹刀を振り上げる。避ける。そこで、少年がつまづく。「あっ――」つんのめった少年の竹刀、その先端が私の喉に向いている。身を反らせて避けようとすると、軌道が変わった。「ん？」4

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倒れる瞬間、少年が腕を振って竹刀を投げ捨てたようだ。その代償に、彼は顔から地面に倒れた。「大丈夫か？」「ぺっ、ぺっ！」土が口に入ったようだ。「少し休もう」「まだ！」「休め。ここが戦場なら、刀を投げ捨てた時点で、お主の命は奪われているぞ」そう言うと、ようやく彼はおとなしくなった。5

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少年は顔を洗い、水で口を濯ぐ。そこに私は声をかけた。「なあ」「うん？」「どうしてさっき、刀を捨てた？あのままなら、私に当たったかもしれんぞ？」すると少年は、きょとんとした顔で答えた。「だって、先生が怪我したら大変じゃないっすか。俺、まだ、突きは習ってないし」6

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「心配無用だ。お主ぐらいの動きなら、すべて読め――」そう言いかけて、口をつぐんだ。「先生？」読めていた？いいや、さっき読んだ動きは、喉への突きだった。刀を投げ捨てることなど考えていなかった。では反応できていたか。それも否だ。動作の起こりが見えなかった。7

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「先生、あの」目の前に柄杓が差し出された。「水、飲みます？」「……ああ」受け取り、飲む。当たり前の動きだ。動き方を意識する必要はない。いつもやっていることだ。少年が刀を投げ捨てた時と同じ、害意のない行動と。それなら。8

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【英霊剣豪201x番勝負】 第十節『小太郎vs小太郎＆小太郎』

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（これまでのあらすじ：現代と戦国時代がつながる魔境に聖杯が出現。風魔小太郎は風魔小太郎と共に、聖杯を持つキャスター・リンボが篭る、小田原城を強襲する。だがリンボは、味方であるはずの男に殺害されてしまう。リンボを殺害したのは、魔剣を携えた風魔小太郎であった）

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天守閣を、いや、艦橋を断続的に揺れが襲っていた。地上戦艦に砲撃が加えられている。しかし、小太郎たちは一歩も動かない。指先一つ動かせば、それが開戦の合図になる。故に、動かない。機を伺う。度重なる揺れを受け、床の間に置かれていた花瓶が倒れた。動いた。9

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FGO OST - 天魔御伽草子 鬼ヶ島 グランド バトル BGM 『拡張版』- FGO Onigashima youtu.be/WYXXmjL-u5s @YouTubeさんから

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「イヤーッ！」先手を取ったのは小太郎！弾丸めいた踏み込みで間合いを詰め、小太郎の顔に拳を突き出す！小太郎はこれをスウェー回避、小太郎の胴を刀で狙う！斬られる前に小太郎は横に跳んだ。後を追って小太郎が駆けようとするが、足元にクナイが刺さる。小太郎の牽制だ！10

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小太郎は小太郎に向かって疾走！小太郎が投げたクナイを弾き落としつつ間合いを詰める！逃すまいと小太郎は並走！小太郎は舌打ちし、小太郎の頭を飛び越え、その先の壁に"着地"！「イヤーッ！」真下の小太郎へイアイを放つ！だが、小太郎は既に身を屈めており、これを避けた。11

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しゃがんだ小太郎を踏み台に、小太郎が跳躍！「ぬぅんっ！」空中回し蹴り！小太郎は壁を蹴って足を避け、すれ違いざまに小太郎を斬る！「くっ！」肩に斬撃、だが浅い！着地した小太郎が振り返る。そこに飛来するクナイ！更にクナイを投げた小太郎が頭上から襲いかかる！12

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アドレナリンが小太郎の主観時間を遅らせる。クナイは多数、横に広がり小太郎の逃げ道を塞いでいる。だが、クナイを防げば、頭上から襲いかかる小太郎に首をねじ切られるだろう。一瞬の状況判断。泥めいて鈍化していた時間が戻る！「イヤーッ！」小太郎は拳でクナイを弾いた！13

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「何ッ！？」弾いたクナイは、今まさに襲いかからんとした小太郎めがけ飛んだ！なんたるニンジャ器用さか！小太郎はクナイを受け止めるが、追撃には間に合わず着地するしかなかった。そこに小太郎が刀を突き出し、「イヤーッ！」「グワーッ！」槍めいたサイドキックが、小太郎を吹き飛ばした！14

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「あの技を初見で破るか。大した奴だ」小太郎は油断なく小太郎を見つめる。蹴りを受けた小太郎はウケミを取って立ち上がった。空気が一層張り詰める。「加減ができる相手ではないか。小太郎、ワシも術を使うぞ。巻き込んだらすまぬ」「お気になさらず。風魔の術はよく知っていますから」15

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「よし、ゆくぞっ！」小太郎が駆け出した。迎え撃とうとした小太郎が目を見開く。小太郎が２人に増えた。分身の術だ！「「イヤーッ！」」小太郎が飛び蹴りを、もう１人の小太郎は水面蹴りを放つ！小太郎はニンジャ第六感を働かせ、飛び蹴りを仕掛けてくる小太郎に体当たりをかける！16

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小太郎の体を小太郎が通り抜けた。幻影だ！水面蹴りを放った本物の小太郎は舌打ちする。着地しようとした小太郎に、空飛ぶ刃が襲いかかる！小太郎は刀でこれを防ぐ！弾かれた白刃は、しかし空中で方向転換、もう一度小太郎を襲う！小太郎はサイドフリップ回避！17

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読者の皆さんの中にニンジャ動体視力をお持ちの方がいれば、それを察知しただろう。すなわち、小太郎が操る鎖鎌を！熟練の手さばきによって、鎌が縦横無尽に飛び回る！小太郎は鎌を切り払い、踏み込もうとする。「イヤーッ！」「グワーッ！？」その背を爆煙が焼く！小太郎の手榴弾だ！18

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小太郎と小太郎のコンビネーションが、小太郎を的確に追い詰める。このまま押し切れるか？否、と小太郎の忍者としての勘が告げる。挟み撃ちにされても、小太郎は冷静さを欠いていない。反撃を警戒した小太郎は、再度手榴弾を投げる。足を止めた小太郎が、爆炎に呑まれる。19

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「キリステ」その声は、後ろから聞こえた。「アバッ……！？」「ゴーメン」小太郎は既に斬られていた。「サヨナラ！」小太郎は爆発四散した。「なっ……！？」驚愕する小太郎へ、小太郎が間合いを詰める！ハヤイ！小太郎はとっさに鎖で刃を受け止める！20