ベリアル・アンダーカバー #2

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サヨナラ!」ガデューカは超高熱に挟み込まれ、膨れ上がり、爆発四散!「AAAARGH!」インシネレイトは両目を白熱させて吼える!爆発四散したガデューカの断片が火山弾じみて燃えながら四方八方に散り、壁を焼き、ネオン看板「そでん」を焼き、迫るもう一人のニンジャのアンブッシュを阻止した! 24

2018-07-25 23:36:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チィィ!」ニンジャはカトン火山弾を蹴り払い、アンブッシュを断念。着地と同時にアイサツした。「ドーモ。クローシカです」「ドーモ。インシネレイトです」オジギを返す。頭を上げながらすぐさまカトンをすくい上げ、襲い掛かる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」クローシカの武器はチョップ! 25

2018-07-25 23:40:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カラテ漲らせたチョップがカトンを切り裂き、インシネレイトの肩を傷つけた。「イヤーッ!」インシネレイトは顔をしかめながら次なるカトンを叩きつける!ハヤイ!クローシカは衝撃の勢いで後ろにノックバックされ、施錠されたシャッターショウジ戸を突き破った。店内はオデン・バー・カウンターだ!26

2018-07-25 23:43:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「アイエエエ!」」イタマエとカウンターの客が悲鳴を上げ、オデンの皿が宙を飛んだ。彼らは抗争の物音に怯え、戸をロックダウンして、日の出まで決して外に出ぬつもりで息を潜めていた。ナムサン……ニンジャの暴力は市民のいじましい努力を嘲笑うかのようだ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」 27

2018-07-25 23:45:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ウナギめいて細長い店内、インシネレイトとクローシカは互いに前へ、後ろへ、激しくせめぎ合い、ジツとカラテをぶつけあった。「小間切れにしてくれるぞ!」クローシカが叫ぶと、「燃やすぞッコラー!」インシネレイトが叫び返す!KRAASH!KABOOOM!カトンの余波が店内を焼き焦がし、客はNRS! 28

2018-07-25 23:47:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」……KA-BOOOOM!「アイエエエエエ!」裏口の鉄扉が内側から撥ね飛ばされ、衣服を燃やした市民が失禁しながらまろび出てきた。もうもうと立ち込める黒煙。イクサの音は止んでいた。現れたニンジャは一人。ぐったりしたもう一人を引きずる。29

2018-07-25 23:49:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」インシネレイトは路上にクローシカを投げ、ゴミ捨て場に叩きつけた。半ば炭化した過冬のニンジャはなおインシネレイトに襲いかかろうと身じろぎしたが……「サヨナラ!」爆発四散した。ナムアミダブツ!「ワメッコラ……!」インシネレイトは裂けた口元の血を拭い、煤を払った。 30

2018-07-25 23:52:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ずたずたに裂けたヤクザスーツのジャケットの内ポケットからスペアヤクザ眼鏡のひとつを取り出し、焼き溶けたもののかわりに、かけ直す。インシネレイトはジャケットの様子を確かめ、もはやボロクズと化した事を悲嘆した。それをグシャグシャに丸め、ゴミ捨て場に投げ込んだ。 31

2018-07-25 23:54:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「姉御はどうしたんだよクソッ!」インシネレイトは雑居ビルに切り取られた頭上の空のオーロラを見上げた。IRC通信を確かめる。通じない。「どっち行きゃいいんだ?ワケわかんねえだろうがよ。もう知らねえぞ?」既にクローンヤクザの手勢は全滅。シックスゲイツ同士の位置関係も不明である。 32

2018-07-25 23:58:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は街頭地図パネルを睨んだ。映り込んだ己の鏡像で髪型を直しながら、ここが中央区の端である事を確認する。銃声やカラテシャウトに耳を澄ます。まずは合流する必要がある。そして、この場に留まるのはうまくない。例の、影めいた連中がじわじわ押し寄せてきて、きりがないからだ。 33

2018-07-26 00:03:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

中央区の方向で戦闘音。そちらへ向かい合流すべし。「オニイサンも姉御も仕方ねえよ。ビッとしろや」彼は呟いた。そして今回のシトカ・ミッションに思いを馳せる。即ち、過冬に因縁をつけ、抗争を加熱させる事であり……「落としどころが曖昧だ」やや離れた日本風ビルの瓦屋根の上で鸚鵡が呟いた。34

2018-07-26 00:07:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……そう思わんかねカシマール=サン。連中の要求はナンセンスだ」カークィウスの鸚鵡は、肩を貸す不気味な影染みじみたニンジャに話しかけた。「グルグルグル……影……声たちが……ひとつの渦となりまする。墨絵じみたひとつのパターンを……フォージし……フィックスし……グルグル……」 35

2018-07-26 00:09:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あれを!」ディアボリカが指さす先をホローポイントが目で追うと、ビルとビルの隙間の空間では今まさにロシアンクローンヤクザが袋叩き制裁の真っ最中である。「ザッケンナコラーッ!」「グワーッ!」「スッゾオラーッ!」「グワーッ!」隙間の入り口には腕組みしたニンジャが佇み、見守っている。37

2018-07-26 00:13:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おう。居たじゃねえか。我慢の限界だぜ、こっちはよ」ホローポイントは指をボキボキ鳴らしながら無雑作に近づいた。ニンジャが接近を察知し、ホローポイントを見た。「……貴様。ソウカイヤ」「見ての通りだ」ホローポイントは頷き、アイサツした。「ドーモ。ホローポイントです」 38

2018-07-26 00:17:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ガスハファーです」過冬のニンジャはオジギを返した。ホローポイントは指さした。「テメェ、過冬だよな。ウチのモンに何してくれてンだよ、ア?」奥の袋叩きのシルエットを顎で示す。「何してくれてンだッて言ってんだよ」「ソウカイヤめ。むざむざと炙り出されて来よるわ」「ア……?」 39

2018-07-26 00:20:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガスハファーはガスマスクメンポから緑の煙を吐き出し、ゴーグルを光らせた。ゴーグルには日本語で「危険度の高い気体の吸引です」という文字が流れる。「貴様らネオサイタマの三流ニンジャどもはこの街を出られず死ぬさだめ……そういう事だと言っておるのだ」「ああ、テメェは今死ぬさだめだろ」 40

2018-07-26 00:22:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

対峙する二者の殺気が瞬時に臨界点を超える!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ホローポイントが二挺拳銃を構えると、ガスハファーは両手を前に突き出し、ブレーサーの切れ込みから猛烈な勢いで緑の煙を噴射した!「ドクケムリ・ジツ!」「サップーケイ!」二人のニンジャは消えた。 41

2018-07-26 00:25:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「アバババーッ!」ロシアンクローンヤクザが立て続けに即死し、したたか打ちのめされて震える彼の顔の横に転がった。「エ……」彼は恐る恐る顔を上げた。「知るか。俺ァやりたいようにやるんだよ」見下ろすニンジャは独り言を言っていた。 42

2018-07-26 00:28:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「な……エ?」袋叩きにされていた彼は慌てて身を起こし、後ずさりする。だがヤクザニンジャは彼の首を掴み、引っ張った。「逃げるんじゃねえよ。助けたんだろうが。ドーモ、俺はシックスゲイツのホローポイントだ」「エ……?」彼はホローポイントと名乗った男のクロスカタナ・バッヂを見た! 43

2018-07-26 00:30:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ガ、ガスハファー=サンは?」「ブッ殺したッつってんだろうが……テメェ、名前は。誰だか知らねえが情けねえ真似さらしてんなよ。クロスカタナ紋どうした」「エ、それは……。ア!」彼は高速思考し結論に至った。そしてホローポイントの手を振りほどき、その場でドゲザした!「オネガイシマス!」44

2018-07-26 00:33:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アア……?」ホローポイントは顎を擦った。「何だテメェ?まさか……」「ヒカエナスッテ!」ドゲザから顔をあげ、彼は中腰姿勢になった。「ドーモ……自分はブルハウンドと申します。その、色々な災難があって……後がねえんだ、ソウカイ・シンジケート=サン!」再ドゲザ!「オネガイシマス!」 45

2018-07-26 00:36:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「過冬か」ホローポイントの目はぞっとするほどに冷えた。ブルハウンドは全身全霊を込めて、額を地面に擦りつけた。「もう俺は過冬じゃねえ!過冬には居られねえ。あ、アンタが来なけりゃ、俺はあのまま囲んで棒で叩かれ続けた挙句、海に沈められる流れだったんだ。つまりアンタが拾った命!」 46

2018-07-26 00:39:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アア……?」「つまりアンタに責任があるんだ!」ブルハウンドはホローポイントの脚に縋りつき、革靴にメンポを擦りつけた。「俺は役に立つ……アンタの従者になるぜ。何でも情報を吐き出す。全部だ。だから頼むよ……俺を助けてくれ……オニイサンと呼ばせてほしい。俺を男にしてくれよ!」 47

2018-07-26 00:42:02