茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2098回「人生の大きな気付き=エピファニーについて」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第2098回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、「人生の大きな気付き」について。

2018-08-05 06:51:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

なにかがひらめいた瞬間、脳の広範囲にわたって神経細胞が同期発火し、その結果が定着する。これが「アハ体験」や「一発学習」と呼ばれるものである。その内容はスペクトラムで、さまざまな程度のものがある。

2018-08-05 06:52:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

もっとも大きく、深いひらめきは、人生自体を変えるような「気付き」である。これを英語で「エピファニー」(epiphany)という。もともとはキリストが顕現するという宗教的な意味合いだったが、転じて、ある体験の中に、ものごとや人生の本質が見えることを指すに至った。

2018-08-05 06:54:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

生きている中で、存在の意味がわかったり、この方向で努力しようという感覚が芽生えたり、大きな問題に気づいたり、今まで体験してきたことの意味がわかることが「エピファニー」である。エピファニーは、大きな感動を伴い、その気付きは、忘れがたい瞬間になる。

2018-08-05 06:56:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

エピファニーの興味深いところは、その瞬間の気づきで終わるのではなく、その後の探究がずっと続くということである。つまり、エピファニーは「端緒」に過ぎず、そのきっかけに始まって、魂の探究(soul searching)がずっと続いていく。そのプロセスで、人は深く広く変わっていく。

2018-08-05 06:57:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』は、ダブリンに住むさまざまな人たちが、その人生のいろいろな局面において「エピファニー」を迎える瞬間を描いた短編集とみなすこともできる。もっとも、ジョイスはそれを繊細で曖昧なかたちで描いているので、その趣向は必ずしも明示的ではない。

2018-08-05 06:59:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第2098回「人生の大きな気付き=エピファニーについて」をテーマに、5つのツイートをお届けしました。

2018-08-05 07:01:08