ベリアル・アンダーカバー ＃７

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！ホローポイントは空中で羽ばたき体勢復帰しようとするカークィウスを撃ちまくった。カークィウスは羽根のスリケンを撒き散らし、銃弾を受けながらなお高く飛んだ。「……！」カークィウスは空中を旋回。「……」ガーランドはそれを見上げる。　48

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

鞭をヒュンヒュンと振り回し、牽制の羽根スリケンを弾き落とすと、ガーランドは滑らかに得物を腿のホルスターに戻し、ホローポイントに歩み寄った。「オハヨ。ホローポイント＝サン」「テメェ……何でシトカに居やがる……」「俺は俺でボスの命令ありきで動いている。そういう事だ」　49

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チィー……」「派手な騒ぎを追えば貴様だ。ホローポイント＝サン」彼は遠ざかるカークィウスの影を睨んだ。飛びながら、有翼のニンジャは鸚鵡に縮んでいった。「他のシックスゲイツは何処だ。合流する」「……中央区だ」ホローポイントは無感情に呟き、銃をおさめた。「死んだ奴は？」「さあな」　50

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……ひとたび計画が妨害されれば、カークィウスは執着しなかった。手練れのニンジャと、同様に手練れのアンブッシュ者。彼自身から離れた場所、一対二の状況で、捌いて倒せる相手ではない。ホローポイント、そしてクナイ・ウィップのニンジャにはカシマールのマーキングがない。イレギュラーだ。　51

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カークィウスは羽ばたき、高度を調整する。あまり高く飛べば、シンウインターの「オーディンの軍勢」に触れ、この鸚鵡の個体を無駄にする。手塩にかけて育てた鸚鵡だ。滑空しながら、彼は思考を巡らせる。まずは状況を整理し、次の一手を取るべし。　52

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シンウインターは既にエッジカム火山へ帰還した。ゾーイと共に。ニンジャスレイヤーは死んでいない。ゾーイのフリークアウトによって、シンウインターのカイシャクを逃れたのだ。ソウカイ・シンジケートはほぼ壊滅状態。シンウインターが殺意を向けるのはあくまでニンジャスレイヤーだ。　53

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そこまで思考した彼は、港の方角に異なものを見る。「……？」漁船の帰還？夜明けはまだだ。しかし。当然見間違いではない。鸚鵡の視力はニンジャとしての彼の視力そのものだ。彼は確かに見る。港に押し寄せる何十隻もの船の群れを。明かりを。そして聴く。喚声を。海獣の咆哮じみた汽笛の音を！　54

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「ナンダ？」鸚鵡のくちばしが動き、不明瞭な人語を発する。「アレハ？」船団には多種多様のダルマ・バルーンや大漁旗、凧が括り付けられ、水面にはイカを呼び寄せるネオンライトが照っていた。最もいかつい船の甲板に、腕を組んで立っている二人に、カークィウスは見覚えがあった。　55

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「スーサイド……」カークィウスは呻いた。もう一つ、名を連ねた。「……オールドストーンだと……？」ブオウー。ブオウー。汽笛の音が届く。不穏極まる光景であった。何か……彼にとって……そして過冬にとって望ましくない事が起ころうとしている。　56

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そして……おお……見よ。港から、船へ、そしてまた別の船へ、跳びわたってゆく色つきの影を、彼は認めた。影はひとつではなかった。赤黒と黒橙の影が、船から船へ移ってゆく。影の移動する方角は西だった。目的地は疑いようもない。その方角にはエッジカム火山の黒黒とした威容がある。　57

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小型船が船団から飛び出した。船から船へ跳ねた二つの影が、その小型船に着地した。「バカナ」鸚鵡は叫んだ。「バカナー！」ブオオオオオ！しかし禽獣の微かな鳴き声を、船団の汽笛が無慈悲にかき消すのだった！　58

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ベリアル・アンダーカバー】終わり