新人よりゲーム開発を知らないゲーム開発会社に入った話2

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

タイトルを変えたよ。 新人よりゲーム開発を知らないゲーム開発会社に入った話 togetter.com/li/1196759

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

まぁこの会社は本当に酷かった。 従業員は僕が入った時点ではプログラマが3人。 僕と同時にプログラマが1人入って5人だった。 僕はデザイナーとして入った。 ゲーム開発経験者はゼロだった。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

ゲームを触った事すら無い部長は元ヤクザを自慢しており（本当かどうかは知らない）、みんなビビッて言いなりになっていた。 一応ディレクターという人はいたが、僕より数ヶ月先に入っただけで、何をして良いか分からないみたいだった。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

最初はガラケーで某宗教の占いアプリのドットアニメーションだったと思う。 数キロバイトしか使えなくて、横にドットを並べると容量が大きくなるから、なるべく縦にドットを並べて、色数も2色に押さえて何とか収まった記憶がある。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

それが僕の初作品だったけど、宗教ということもあって、誰の名前もクレジットされていないw 次は確か和風RPGの企画とイラストだったと思う。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

クライアントから「ふしぎの国のアリスと日本の妖怪をMIXさせたRPG」という依頼があって、始めた気がする。 イメージイラストやドットを描き、ゲームシステムを考えた。 この時に描いた枚数は他社に面接に行った時に「え、この短期間でこんなに描いたんですか？」と言われる程の量だった。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

同時に某シューティングのガラケー移植もやる事になり、ドットをやった。 J-PHONEだったか、容量が劇的に増えてスーファミくらいの絵が出せるようになった。 絵は解像度は低いけど、アーケードの完コピを目指した。 ステージ3くらいまでのドットを1人で1ヶ月くらいで打った。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

このシューティングが発売される事は無かったけど、東京ゲームショーにデモ版が出展されてプレイできたそうだ。 僕はその時には他の会社に移っていたから知らなかったけどw

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そのシューティングで気を良くしたのか、社長はその続編をポリゴンでXBOXで出すとか言い出した。 そのシューティングはドットアニメの凄さがウリの1つで気持ち良さを生んでいた。 「なぜ3Dで？」と聞くと、「3Dじゃないと売れないんでしょ？」とか言ってた。 社長、もうそんな時代は終わっています…

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

ムービーを入れたいと言うのでコンテを描いたりしたけど、そもそも3Dの機材が無いからね。 （まとめ参照） そして社長は2Dと3D両方作って様子を見ると言い出して、僕が2D、新しく入ったデザイナーが3Dをやる事になったw

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

2Dの方もアーケードの4倍の解像度でやるとか言い出した。 アーケードは当時ドットアニメの最高峰とか言われた作品です。 デザイナーは僕一人です。 死にます。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

もちろんドットの良さは低解像度でないと効果が出ない事、4倍の解像度ではドットではなく、絵になってしまうと説明しましたが、全く響かず、試しに作る事に…

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

とりあえず1ヶ月で1ステージは出来ましたが、とても世に出せるクオリティーではありませんでした。 見るからに出来の悪い卒業制作レベル。 最初から分かってた事ですが。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

一方の3Dの方はPCのスペックが全く足りず、すぐに頓挫。 そしてやった事の無いドットを打つことに。 僕は教えながらの作業に。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

3Dシューティングは諦めたのか、再び和風RPGをやる事に。 そして支部にいた企画がやって来た。 というか支部があった事を初めて知った。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

この企画も未経験の素人だった。 僕の考えた「元気で好奇心旺盛な少女の冒険」は「内気でいじめられっ子の現実逃避」へと変えられた。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

まぁそれは良い。 内気ないじめられっ子が冒険を通して成長していくなら、全然ありだよね、と僕はシナリオを読み進めた。 … 無い。 何も無い。 必然性の全く無い、突発的な出来事が並んでいるだけで、成長も教訓も目的も何も無いのだ。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そして、最後は全てを忘れて夢オチだった。 よくある「夢だと思わせて異世界の形見を持ってて、夢じゃなかった！」というオチでは無く、本当に全く何もかも忘れて、「あーあ、学校行きたくないなぁ…」で終わるのだ。 僕の顔は冷たくなっていた。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

あまりの酷さに僕は聞いた。 「ねぇ、なんで夢オチにしたの？まぁ夢オチはともかく、本当に何も得るもの無いの？酷くない？」 彼は「え？面白くないですか？斬新でしょう！」とニコニコ答えた。 あ、これはアカン奴や、と察知した。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

そしてもう一つ気になる所があった。 冒険を通して集めるアイテムがある。 8つだったかな？ ドラゴンボールとか、ドラクエのオーブみたいな物だ。 だが中ボスが出てくると書いてあるだけなのだ。 「これって中ボスを倒すとどうなるの？凄いアイテムが出てくるとか…」 「何も無いですよ」 「えっ？」

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「ひっかかったな！死ねー！って襲いかかってくるんですよ！今まで苦労して集めたのは罠だったんです！面白くないですか！？」 「お も し ろ く ね ぇ ！！！！！」

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「てめぇふざけんじゃねぇぞ…」 「え…」 僕はGAMEDOJOで芝村裕吏師範が言っていた事を思い出した。 「ダメなクリエイターが最初にやりがちなのは、ゲームでユーザーに復讐することです。日頃の恨みをゲームで晴らそうとする。それは絶対にやってはいけません。」

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

（これとほぼ全く同じ様な何も起こらないシナリオを、僕は次の会社でも2度経験する。実にありがちな事なのだ。） そこから僕は説教モードに。 「僕の方が先に入ったのに」 「君は企画じゃないのに」 「本当はゲームなんて作りたくなかった」 「こんな所にいたくない」 とか言い出した。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

「じゃあ帰れ！」 と言うと帰ろうという素振りを見せたが、中々帰らないので「さっさと帰れ！」と追い出した。 試用期間中の人間が社員に説教して帰らせるというのは問題がありそうだが、お咎めは無かった。 部長にも社長にも言わなかったのだろう。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

とにかく、「プレイヤーがポジィティブな何かを得られるように変えてくれ」とお願いした。 その後そのゲームがどうなったかは分からない。 僕が契約更新されず、その後半年くらいで給料未払いの末に倒産したから。