「アメリカ発の社会改良運動を他国は輸入すべきではない」

デビット・ライス @RiceDavit

他の国では議会が行政部に対して明示的に指示するところを、アメリカでは議会の代わりに司法部が行政部の営みに対して違法判決を下すことで行政部を後出し的に操作する、という形になっている。これは、行政の非効率化を招くし、議員に比べると非民主主義的に選ばれる司法部が力を持つということも問題

デビット・ライス @RiceDavit

とにかくアメリカではチェック&バランスが機能し過ぎている、そのために「拒否権行使者」（veto players）が力を持ちすぎており、議会は有益な判断とすることができないし行政部が効率的に機能することもできない、それがアメリカの政治腐敗の根本的問題、というのがフクヤマの主張。

デビット・ライス @RiceDavit

拒否権行使者や過度なチェック&バランスの問題は民主主義国家ならどの国にも潜在しているが、他の国が様々な制度や行政部の独立的権限によってこの問題を対処しているのに比べると、アメリカは対処できていない。

デビット・ライス @RiceDavit

また、過度のチェック&バランスの問題に対処するための諸々の対案を実コスうること自体がチェック&バランスによって妨げられる、という問題がある。

デビット・ライス @RiceDavit

利益団体の力を抑制するために有効手段は、議会に対して有権者が介入できる度合いを減らしたり議会の透明性を減らすことであるのだが、そんなことを主張する議員が当選できるわけでもなかったりと、政治制度の有効な改革を実現すること自体が政治制度によって妨げられている。

デビット・ライス @RiceDavit

憲法改正をしようと思っても、アメリカ人たちは自国の憲法に対して宗教的な情熱を持っているので難しい。

デビット・ライス @RiceDavit

まあともかく他の民主主義国家の行政部に委ねられているような力がアメリカの行政部にはなくて「法廷と政党の国」になってしまっているのが根本的問題。

デビット・ライス @RiceDavit

諸々の差別問題の解消などの社会的な改革も、（諸々の社会集団やメディアの影響はあったとしても）他の国では政府自身が法律を改正することで行われたのに対して、アメリカでは、民間団体が行政部に対して訴訟を起こして、訴訟に負けた行政部が立法部の指示のもとに制度を改める、という形で行われた。

デビット・ライス @RiceDavit

この、法廷を通じた人民による下からの改革というものは元来政府を嫌うアメリカ人にとってはヒロイックな物語として受け止められてきたが、行政部に対する司法部の過剰な介入を正当化してしまうことになってしまった。

デビット・ライス @RiceDavit

あと、諸々の利益団体の誘導される議会が諸々の違いに利益相反する要求を行政部に突きつけることになったので、司法部からの介入も相まって、ともかく行政部は機能不全になってしまった。

デビット・ライス @RiceDavit

例えば、教育などのための予算の分配とは、その筋の専門家であるべき行政部の裁量に任されるところが本来なら大きくあるべきはずなのだが、利益団体に誘導された議会に口を出されたり、マイノリティが教育を受ける権利を尊重しろなどという司法部の強制力のために、効率的な予算の分配ができなくなる。

デビット・ライス @RiceDavit

あと、利益集団を代表する議員同士の争いでは熟議が通じない、という問題など。理想的な民主主義なら、議員は背後の利益集団に左右されない自分自身の意見や優先順位を持っているので、他の議員との意見や優先順位の擦り合わせができるが、利益集団を代表してしまうと意見や優先順位が固定されてしまう

デビット・ライス @RiceDavit

とにかくアメリカでは民主主義と法の支配が強すぎるために機能不全を起こしている、行政部の力を増したり、司法ではなく議会が行政部にちゃんと機能するべき。でも機能不全を改革すること自体が機能不全によって妨げられるので、なんらかの外部的な出来事やショックに期待するかしかないかもしれない。