新型出生前診断(NIPT)で「陽性です」は正しいか?色覚異常にもついても。

民間NIPT(出生前診断)の安易な検査で不安になる人が少しでも減りますように。
陽性適中率 NIPT 色覚多様性 陰性適中率 新型出生前診断 感度 色覚異常 特異度
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宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
先日の勉強会で紹介した民間NIPTの文章。検査の感度・特異度は98%以上で、陰性適中率は99.99%、ということ。どこかツッコミはありますか? pic.twitter.com/pal4BQ3SWG
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個人的なツッコミとしては、 1.陰性適中率は書いているのに、陽性適中率の説明がない。 2.そもそも感度・特異度って何? (一応PDFには説明はあるが)。
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前振りの前提条件。 実際の疾患の有無と、陽性・陰性で 2×2 の表にしてみる 真陽性: True Positive 真陰性: True Negative 偽陽性: False Positive 偽陰性: False Negative 真陽性(TP)・真陰性(TN)が100%に近いほど、精度が高い検査。 pic.twitter.com/Z0Rqtpht3K
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感度は疾患ありの総数を分母、そのうち検査陽性を分子にする。 感度が高いということは、その疾患の患者の大部分が検査陽性。 pic.twitter.com/BhUBvi5CM3
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特異度は疾患なしの総数が分母、そのうちの検査陰性(真陰性)が分子。 特異度が高いということはその疾患に罹患していないものの大部分が検査陰性。 pic.twitter.com/Nb9FUyjlfO
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ここでのツッコミ。 感度・特異度の高いNIPTで検査して陽性なら、ほぼ染色体異常があるんじゃない? 陽性だったら、本当に陽性なの? 陰性だったら、本当に陰性なの?
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ここで出てくるのが「陽性適中率」。ここでは、検査陽性の総数を分母で、真の陽性(真陽性)を分子とする。検査が陽性であったとき、その疾患である確率。(訂正済み) pic.twitter.com/ch3WU2tUMY
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次が「陰性適中率」。検査陰性の総数を分母、真の陰性(真陰性)を分子。検査が陰性であったとき、疾患ではない確率。 pic.twitter.com/bfzdw6lpKH
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実際の数字に当てはめてみる。有病率50%で、感度・特異度はそれぞれ90%。イメージとしては、真冬のインフルエンザ迅速検査。陽性適中率は90%。検査して陽性なら9割ほどが、本当にインフルエンザ。(事前確率は考慮していない) pic.twitter.com/rHM1E4cLNz
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次は有病率1%。イメージとしては、夏の深夜3時に「朝になったら飛行機でハワイに行くけど、心配だからインフルエンザの検査して」と元気な子供を連れて来た場合(実際のケースではない)。陽性適中率は8.3%。検査して陽性でも、本当にインフルエンザか怪しい。(こちらも事前確率は考慮せず) pic.twitter.com/ZmGRMHqdun
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有病率と陽性適中率の関係。感度・特異度ともに100%であれば、百発百中だが、そんな検査はない。精度が99%でも有病率が下がれば、陽性適中率は大きく下がる。 pic.twitter.com/ZGZIFJbcmR
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「非常に珍しい病気であれば、どんなに優れた検査法でも病気ではない人を陽性と判定しまうことが多くなる」 では、先程の感度特異度ともに98%のNIPT検査で20歳女性(ダウン症の子が生まれる頻度は1/1167)が陽性だった場合、陽性適中率はどのくらい?
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陽性適中率の計算。 陽性的中率=感度×有病率 / (感度×有病率+(1-有病率)(1-特異度)) pic.twitter.com/3aSE2A7QIC
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宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
母親が20歳での陽性適中率は3%弱。陽性と言われても、殆どが偽陽性。もちろんこれから羊水検査を受けて確定診断になるが、母親たちのストレスは大きいものであろう。 実際の感度・特異度はもう少し高くなるらしいので陽性適中率はもっと上がるだろうが、私は認定施設での35歳での線引が妥当と思う。 pic.twitter.com/Tz8kl5uL1i
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宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
あと、質問で「ドイツは第一次大戦後賠償金が多くなったため、ナチスドイツが医療費削減のために障害者を安楽死させた。今の日本でも同じことが起こるのではないか。」という質問があった。私は違うと思う。
宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
たとえば、ナチスドイツが国力を回復し医療を進歩させたとしても、障害者を優遇させる政策は採らなかったであろう。LGBTにも優しく天然資源が豊富で、HPVワクチンのデマにも悠然と立ち向かった福祉国家アイルランドでは、NIPTが行き渡り、ダウン症児がほとんど生まれていない。
宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
LBGTに優しい福祉国家が、NIPTに積極的なこともあるのである。LBGTと「生産性」とは必ずしも一致しない。
宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
そうそう、「色覚異常」の話もでたので、こちらの本を紹介しておきました。かもがわ出版の。とてもいい本。書いた医師(慈恵大学解剖学教授)も色覚異常をお持ちである。okabelab.jp/member/p_okabe… / コミックQ&A 色弱の子どもがわかる本 岡部 正隆 amazon.co.jp/dp/4780308526/…
宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara
ちなみに、授業中全く別のことで意見した高校生(医学部志望)に「お前は色盲か?色盲は医学部に入れないんだぞ!」と暴言を吐いた「高校教師」がいた。その「高校教師」は教員免許無免許かつ学校に無断で私塾を開いたということで、事実上の首となったらしいが。 pic.twitter.com/JUrlQfUanT
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コメント

宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara 2018年10月6日
病的意義のない染色体異常を民間NIPTで十分な説明もないまま指摘され、中絶に至った事例はあります。罪深い民間NITPが跋扈している日本。
、紫サラミ @2210ieofkome 2018年10月6日
色覚異常でも医者にはなれるんだ…。医療関係は全部アウトかと思ってた。最も資格の条件としては含まれてないだけで実務上は…ってやつかな。赤見えないと血色すらわからんし
tama @tamama666 2018年10月6日
2210ieofkome 患者の立場からすると色盲の医師に外科手術とかは怖すぎて命を任せたくはないですよね
、紫サラミ @2210ieofkome 2018年10月6日
tamama666 一応断っておくと最初のコメントは色弱のつもりで書きました。そのうえで色弱ならともかく色盲だと国家試験どころか大学で弾かれるのかな。ともかくさすがに色盲は無理で色弱の線引の話のほうが重要な気がします
、紫サラミ @2210ieofkome 2018年10月6日
これ一般に知られてないか不安になるんだけど、色覚異常って言ったときに、色盲と色弱がいることはわかってほしい。色盲は白黒(厳密には違った気がする)で、色弱は赤が見づらいとか人より特定の色の見分けが難しいとかで呼び分けるべき存在。
宮原篤 / 書籍「小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK」@9月21日発売 @atsushimiyahara 2018年10月6日
昔はともかく今は、色覚異常で医学部入学を認めない大学はありませんし、医師免許取得もできます。ただ、キャリアを決める前に自身の色覚多様性を知っておいた方がいいでしょう。 http://www.shiga-med.ac.jp/~hqophth/farbe/tekisei.html
ゆゆ @yuyu_news 2018年10月6日
最近、職場でもらったデータを印刷しつつ、元がカラーな原稿を白黒で印刷したら、灰色と赤の見分けが付かなくなって、色盲の問題ってこれか!!と再認識した。
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