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蜘蛛達が勢いよく地面を走り、毛一家をどこかに運び去る。 「まさか真空蜘蛛に助けられるなんて」 「かんしゃしろ。いまのはベラ、ルクレティア、メラニア、モニカ、スザナ、エカテリン、ミナ、ロザリー…」 「全部覚えてるの…」 「あたりまえだ。うちのしゃいんだ」 「…はは…すごいな若社長は」
2018-06-30 18:03:19青年はじっとり汗をかいておののきつつ、まぶたをとざす。 「ぼくは…戦争で…あの娘達と同じような真空蜘蛛を…沢山殺したと思う…次元魚雷や…熱線砲で…艦ごと…」 「よくわからん。だいじょうぶか」 「ごめん…薬もらったのに…なくしちゃって」 「じゃあこい。またやる」 「…むりだよ…」
2018-06-30 18:06:00元宇宙飛行士は笑う。 「どうせ…鎮痛剤じゃ…抑えきれない…もう売買春施設にもいけないし…いっそあいつらの性奴隷になった方が…」 「どれい?」 「民権停止だから…モノと同じなんだ…誰かの奴隷として登録するまで…奴隷狩りの獲物だし…乞食なら…狙われないと…思ったけど…」
2018-06-30 18:07:52男とも女ともつかない顔が汗みずくのまま相好を崩す。 「でも…ひさしぶりにきれいにしてもらったら…なんかもったいなくて…若社長に忠告してもらったのにね」 「なるほど。わかった。じゃあおれがとうろくしてやる」 「え?だめだよ…だってそんな…若社長はちいさ」 「これか」
2018-06-30 18:09:45市民認識番号を読み取ってさっさと登録を済ませる少年。 「した」 「はや。ためらいとかないの!?」 「おまえはきょうからうちのしゃいんだ。気合いれろ」 「え…うん…」 「けんこうほけんにはいれ」 「うん」 「ろうどうくみあいにもはいれ」 「はい…」 「つみたてよきんもしろ」 「う、うん…」
2018-06-30 18:11:25「すむところは…女子しゃいんといっしょでいいか」 「え?真空蜘蛛と?そ、それは…」 「じゃあしょうがない。地球系のすむところはおれのへやしかないからいっしょにすむぞ」 「め、めいわくじゃ」 「しゃいんならいい」
2018-06-30 18:12:39「社員なら…いい…」 弱々しく繰り返してから、急にまた痙攣するようにしてうつむく元宇宙飛行士。若社長はかまわず応じる。 「しゃいんなら、だいたいいいぞ」 「なん…でも…?」 「だいたいなんでもいい」 「ほんとに…?」 「ほんとに」 「…ふふ…そう…」
2018-06-30 18:14:23青年はいきなり少年に飛び掛かって押し倒した。 「じゃあ…なぐさめて…しゃちょぉ💛」 「なにする」 「もぉ…がまん…できない…からぁ…💛」 「はなせ。こら。おれはけいえいしゃだぞ…んっ…」 口づけが重なる。
2018-06-30 18:16:24手際よく幼い獲物の服を脱がせていく細身の捕食者。 「こら…くすぐった…おまえ、しゃいんのくせに」 「なんでもって…いったぁ」 「これはきゃっか!んっ…ぁっ…」 いつの間にか銀の蜘蛛の群が周囲に集まっている。 「むぐう!ベラ、ルクレティア、メラニア、モニカ、スザナ!こいつをとめろ!」
2018-06-30 18:18:39節足の娘等は互いに複眼で視線を交わし合ってから、精神感応で合唱した。 “ストライキに入る” 「なんの!なんのストだ!ぁっ…なめるな…そこなめるな!んっ…」 “余暇。地球系知性種の生態観察などを通じ学習したい” 「ぜんぜんわから…なっ…なにのっかって…おまえ…やっ…」
2018-06-30 18:21:57「ふふ。しゃちょぉ…きあい…いれてくださいね…」 固くさせた幼茎にゆっくりと円かな双臀を下ろしながら、男とも女ともつかぬ元宇宙飛行士は嫣然と笑った。
2018-06-30 18:23:09◆◆◆◆ 「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「…」 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「…おまえうるさいぞ」 「ひぅっ…」 少年は裸のまま頭を掻いて、裸土下座している青年を振り返った。 「けいえいしゃは、しゃいんとああいうことはしない」
2018-06-30 18:25:41「…はい」 「するのはかぞく」 「はい」 「だから、おまえはかぞくだ」 「…え?」 「にいさん、てことにする」 「あ、うん…そ…そう?そうかな…いや…ぼくには何も言う権利は…奴隷だし…」
2018-06-30 18:27:16若社長はうなずいて立ち上がった。 「ならいい。でもこのことはアナにはいうな。おこる」 「…真空蜘蛛の女王…でもその娘達がもう知って…」 「ロザリーたちはだまってる。おやにひみつをつくるのがすきだ」 「そんな…真空蜘蛛は親である女王に絶対服従だと…」 「いいな。いうなよ」
2018-06-30 18:29:50元宇宙飛行士の手をとって引き起こしてやると、しげしげとそのなよやな肢体を見やる。 「ちからしごとは…むりか」 「あんまり得意では…」 「じゃあ秘書だ。ひしょをやれ」 「秘書…はい…」 「よし。きょうから兄さんは、秘書だ」 「…兄さん…秘書…」
2018-06-30 18:32:23まんざらでもなさそうな表情になってから、裸に気づいて縮こまる。 「うう…つとまるかな」 「気合いれろ。順番におぼえればできる。服!」 真空蜘蛛達が押し寄せ、糸を吐きながらまわる。みるみるうちに主従の体を包むように銀の布が織られていく。 「とりあえずよし」 「ふええ」 「いくぞ!」
2018-06-30 18:34:30若社長は新人秘書の手をとって小型鉄道の運転席に乗る。節足の娘等があとに続いて客席に入る。扉が閉じ、長蛇の列車はうねりながら陸塊に空いた穴に引き返していく。 かなたでは宙港街がきらめく光を放ち、着陸船があるいは火を噴き、あるいは光の輪を発しながら昇降を続けていた。
2018-06-30 18:38:54