原発事故から起算して潜伏期間が過ぎてない症例まで、福島第一原発事故で癌が発症と関連付けたのはサイエンスを逸脱した暴論。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

やっと「原発事故から起算して、潜伏期が過ぎてないのに発症した癌は原発事故とは無関係である」という冷静な視点が出てきましたね。 「全国がん登録」最新データ公表　福島県で胃がんは３年連続で「有意に多発」していた via @Level7online level7online.jp/?p=1744

烏賀陽　弘道 @hirougaya

自然科学に沿ったごく初歩的な合理的思考として、原発事故から起算して潜伏期を過ぎてないのに発症したがんは原発事故とは無関係です。当たり前ですが、原発事故がなくても、がんは一定数発症します。 またその増加が「有意」(significant）であるかどうかは、人間が判定します。主観を免れません。 twitter.com/hirougaya/stat…

烏賀陽　弘道 @hirougaya

ですから、これまで、原発事故から起算して、がんの潜伏期が過ぎてない症例まで「福島第一原発事故でがんが発症」と関連づけたものは、サイエンスを逸脱した、暴論であると言えます。当たり前のことです。 twitter.com/hirougaya/stat…

烏賀陽　弘道 @hirougaya

例えば、発症増加数が１．２くらいになると、疫学者は「要注意」と考えます。１．４〜１．５くらいになると「有意差があるか？」と調べ始める。判定は分かれます。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

チェルノブイリ原発事故での小児甲状腺がんは、４０倍を超える高発症率だったので、疫学者は「これは有意と認めざるを得ない」と判断したというのが実態です。そのほかにも被ばくとの関連を疑われる白内障、心臓障害など報告されているのですが、それが有意かどうかは判断が分かれます。 twitter.com/hirougaya/stat…

烏賀陽　弘道 @hirougaya

この低線量長期被ばくに関する疫学者の行動と発想を私がなぜ知っているかというと、スリーマイル島原発事故の健康被害を調査した３大学の報告書を読み、調査責任者に面談して総当たり取材したからです。 詳しくは拙著「フクシマ２０４８」をお読みください。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

偶然ですが、私が取材した三人の疫学者の中の一人はスリーマイル島事故のほか、チェルノブイリ原発事故の疫学調査もしていました。そして福島第一原発事故後は日本に来てデータを見ている。人類史の３つの原発事故の低線量長期被ばくの調査にすべて触れているという数少ない人でした。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

スリーマイル島原発事故でいえば、コロンビア大学の疫学調査とノースカロライナ州立大学の調査は、同じ母集団の同じデータを使って「がんと被ばくの関連性」について「ない」と「ある」の正反対の結論を出しています。統計学・疫学の有意性の判定というのはそれぐらい変動します。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

福島第一原発事故のように、低線量の被ばくが長期間続くケースの疫学的な行方については、拙著「フクシマ２０４８」でスリーマイル島原発事故の先行例を公開しています。この取材のおかげで、私は、福島第一原発事故の健康被害をめぐる今後３０年の議論がどうなるか、およその見通しがついています。 twitter.com/MhmakyW/status…

ま～くん @MhmakyW

かなり良い本！ twitter.com/hirougaya/stat…

2018-10-09 02:15:57

烏賀陽　弘道 @hirougaya

スリーマイル島原発事故：福島第一原発事故：チェルノブイリ原発事故のスケールを放射性物質の量、被ばく面積、被ばく人数などで単位スケールを比較すると順番に １：１０：１００ です。 チェルノブイリでは４０倍の発症率だった小児甲状腺がんは有意差ありと判定されました。TMIでは結論が出ません。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

つまり、福島第一原発事故は疫学的な有意性の判定では「チェルノブイリほど明確ではないが、スリーマイル島原発事故よりは明確」という位置づけになります。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

スリーマイル島原発事故の疫学調査では、30年を経てその間がんや心臓疾患の増減があっても、疫学者は「因果関係はわからない」というしか結論は出していません。