呟怖　散文　３

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

今まで味わったことがないくらいの快感が全身を走り抜ける。ただあなたに首筋を啄まれただけで、奥が震える。これが求めていた感覚。あなたの耳を噛みながら高まりが途切れない。どんな男とも違うのは何故なんだろう。もっと欲しいのに体が耐えられない。何かが溢れてくる #官能工房 好きな男

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人と話すのが苦手だった。質問に答えるので精一杯で二の句が継げない。思わぬ方向に話が転がることにも対処に困り、押し黙ってしまう。「久しぶりだね」夏休み明けの登校で掛けられた声に挨拶のみで答える。掠れた微妙な声に目を丸くしてから破顔する「成長期だ」この声を聞かせたのは君が最初だ。

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父の葬儀が終わったテンションで言った母の一言があまりにも衝撃だった。父の死が薄れるほどのショックを私に与えた。会場に来ていた誰かわからない中年の女性。パパあの女と浮気してたのよ、と。コップ酒を煽る母がこの上なく下種な女に見えた。後れ毛を耳に掛ける指が少し震えていた。

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わたしの涙をあなたは飲んでしまうの ごくごくと喉を鳴らして 喉仏が生き物みたいで 思わず唾を飲み込んだ ねえ わたしはなにを飲んだらいい？ どこを飲んでほしいの？ 言ってみて #官能工房 悪戯な質問

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閃光が少女を追い立てる 幼いまま彼女は恋をし 鋭い光に促され女になる その光に追いつかれると死ぬ 貫かれ錆び朽ち果て消滅する そんな焦燥がいつも少女を先走らせ あどけなさも忘れて 一直線に駆け抜ける 真っ逆さまに落ちていくのか 気づいたときにはもう 黄昏 #詩人の本懐 閃光

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転職するにあたり実家を出る私を母は心配しながら応援してくれた。家電を揃えなきゃならない。ネットで済まそうと考えていたら、母が電気屋さんに見に行こうと誘ってきた。玄関で靴を履いていると父が上着を羽織りだした。三人で出掛けるなんて何年ぶりだろう。二人並んだ後ろ姿もしばらくは見納めだ

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先月の水道代が５万を超えた。上下水道２ヶ月分でだ。まだ夏だからいいがこのまま寒い時期に入れば今度はガス代が跳ね上がるだろう。だがそれも仕方ない。死体を解体するとき血液が気になってシャワーを流しっぱなしで作業するからだ。これを払うために稼いでいるのだが。タイムアタックでいくか #呟怖

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女の首を絞めながらヤルのが好きだ。かなりきつく喉を押さえ泡を吹き出しもう死ぬってときにイクのがたまらん。だがなぜ俺はこんな変態になってしまったのか。一番最初は１５のときだ、つい力を入れすぎて女が死んだとき、最高だった。ちっ考え事し過ぎてなんもしてないうちに女が死んでる #呟怖

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大きな桜の木の下の草むした場所に地蔵がある。触れると祟られるらしかった。子供の頃野球のボールがその辺りに飛んでしまった。焦って取りに行くと地面が剥き出しになっていて地蔵はなかった。変に思って木の周りを探ると逆側にいた。次の日見に行くと元に戻っていた。地蔵も祟るのは面倒らしい #呟怖

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俺は学校で所謂いじめにあっている。最初はおふざけの延長と思ってたが徐々にエスカレートしていって今じゃ小突かれたり物を隠されたり。だが帰れば幼馴染がいる。こいつは変わった奴で俺がやられて帰ると「今どんな気分？」目を輝かせて訊ねてくる。悪い奴じゃないけどデリカシーってもんがない #呟怖

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ここはどこだ。トンネルを抜けてしばらく行ったら子供の頃少しだけ過ごした街に出た。車から降りて歩くと、カーブの向こうに小学校が見えた。屋上にいる仲良かった子が笑いながら飛び降りた。道端の池に近所の子がいて笑いながら沈んでいった。おいでおいで。おい、まさか俺、死んでないよな #呟怖

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毎日手作りなんてすごいねと言われる。世間の主婦なんて結構手抜きなもんだ。私はロボットになりきることにした。来る日も飯を作り、食卓に出す、下げる洗う。作る出す下げる洗う。作る出す下げる洗う。現在では３０分ですべて終わる。競技妨害はやめてくれ。 #呟怖

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もっと快感が欲しくて女の腰を支え直すと手がずぶりと潜った。そのまま手を伸ばすとずーいと女の中に入っていく。一瞬息ができずに驚いたが、目を開けると一面のピンク。泡や星屑がぴかぴか光って、紫の滝がハープの音色を奏でて滝壺に飛び込む。真っ赤な鳥が吐いた炎が股間に命中しスペルマの虹が出た

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あなたがなにか言うとほっとする。よく知らないけど、きっと優しい人なんだろうな。怒ってもちっとも怖くなくて、わざと焚き付けてしまいたくなるような、優しさ以外も見たくて困らせてみたくなる。顔も声も知らないけど、あなたの言葉に和ませられる。ありがとう、おかえり #140字小説 ここのひと

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下からの眺めがいい。君の髪が顔に掛かって、その隙間から気持ちよさそうな表情が覗く。僕の腿に尻がバウンドして何度も堪らなくなる。体を起こして君を抱きしめ顎をかじる。君と僕が痙攣する。肩で呼吸して咳き込んで笑って。気持ちよくて楽しい。 #官能工房 いちゃいちゃ

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ドオンドオンと低い音が響く。この団地の午後の名物だ。あそこの９階に住む奥さんは、可愛い顔して力強い布団たたきをする。なんでもご主人が自宅に愛人ひっぱり込んでオイタしたとか。真実は誰も知らないが、あの光景を見ると勘繰りたくなる。今日も奥さんは全盛期の松井さながら布団を撃つ。 #呟怖

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思い通りにおまえを貫く おまえが悦がろうが嫌がろうがオレには関係ない 気分のままに欲望の走るままに 昂ぶりが収まるまでつき合えよ だるい体で 額になんかキスしてくるな それ以上何も言うな #官能工房 頑な

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故郷の母親に友人の写真を送るのに彼女にスマホを向けた。承諾したもののふざけてばかりいるのでたしなめて構えなおすとはっとした。午後の柔かい日差しを受けて光る彼女は予想外に美しかった。この鼓動はなんだ。単なる友人の一人だった彼女が浮き立って見えた。この写真は母に何かバレるかもしれない

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長い付き合いだったと思う。いくつもの季節を一緒に過ごしてきた。でもあなたは私とは違う道を選ぶ。もう訳なんて聞かない。今日はあなたが忘れていった手帳を返す。段々とページに余白が増えていった手帳。私は始末できないからあなたにして欲しい。あなたが見たことのない服を着て、最後の待ち合わせ

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

女を泣かせてしまった。これは史上最高にめんどくさいパターンだ。俺の煮え切らない態度にまた文句を言い出した。そんな時も俺の頭の中は煙草が切れそうなことや、爪が伸びてきたなとか、明日は早番だとか言う事をぼんやり考えてた。ひとしきり言い終わると泣き寝入りしてしまうお前に、飯でも作るか。

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

『君におやすみが言いたくて』 君に毎日おやすみって言いたい 僕のほうが早く帰るから 疲れた君を待っていてあげたい 雨でも雪でも平気だよ あ、今部屋の電気が消えた おやすみ、また明日ね 一人の帰り道、僕はスキップする #呟怖

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長年の想いを勇気を出して伝えた。たった一言のことだけど、頭の中は宇宙だった。遥か悠久の時を超え生死の成り立ちから始まり、恐竜の卵を想像した。彼らはセックスをしたのだろうか。心臓は早鐘を通り越して痺れていた。涙が出てしまう。すると彼はそっと抱きしめてきて耳元で囁いた「おせーよ」

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

彼女は変わってしまった。あんなに優しく笑う人だったのに、今は僕のことも他人を見るような目でみる。君の信じているものは何？誰が君を変えたの？もう部屋にも上げてくれない。訪ねたドアの隙間から冷たく光る銅鏡が見えた。突然消えてしまった僕の君はどこへたどり着くのだろう。ただ哀しい。 #呟怖

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

夏休みが終わってしまった。もの凄い虚脱感に襲われながらカレンダーをめくる。また会えるのは3ヶ月後か。それまでどうやってモチベーションを保とうか考えた。彼女との親密度が増すにつれ、会えない１日が長く感じる。よし金を貯めよう。魔法の切符を手に入れたように、投げてあった求人情報誌を握る

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

友人と海に遊びに来た。海水浴はもう時期じゃないので足だけ水につける。静かな潮だ。海底も砂だけなはずなのに、足首になにか触る。それはあいつの髪の毛だった。潮の流れに巻き込まれ、５年前に浅瀬で消えたあいつ。まだ早かったのか。この先ずっとなのか。 #呟怖