〝大倉先輩と戸惑い彼女〟

流空 @ri0_0kuu

『いつもまるに先越される』「まるちゃん？」『まるがライバルやからさ』ああ、先輩はまるちゃんが強引に私と一緒に帰るって言った時にまるちゃんは私の事が好きなんだって勘違いしたのかな？「まるちゃんは私達の味方ですよ？」『…え？』「先輩を誘導してくれたんです」『…まじかあ〜〜…』

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『…振り回されてたんか』「それこっちの台詞ですけどね」お互い好かれてるのか分からなくて振り回し合っちゃったんだって思ったら笑えてきちゃったけど、突然ふと思った事があって「そういえば、なんで大倉先輩は私の事好きになってくれたんですか？」#エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

私の質問に一瞬固まった大倉先輩が『…それ聞く？』って照れたように言うから「聞きたいです」って詰め寄ってみると、さっきみたいに後ろから抱き締められてゆらゆらと左右に揺れながら『いつも俺の事見てるくせに他の子みたいに来おへんかったやん』「え、知ってたんですか？」『バレバレやったで？』

流空 @ri0_0kuu

「知らなかった」『あの子見てくれてるのに来おへんなって思い続けてたらいつの間にか目で追ってた』「…そうなんですか」『あれ？照れてる？（笑）』改めて好きって言われると何だか体が熱くなってきて「違います」って言うけど『そういう所が堪らんねん』って言われながらまた首筋に擦り寄られた fin

流空 @ri0_0kuu

今日、私の学年は調理実習がある。作るものはカップケーキ。各々何個か作ってトッピングして持ち帰って食べれるんだけど、この学校の恒例行事みたいなので、好きな人とか友達同士でカップケーキをあげたり交換するのが多い。…実際、私も先輩にあげようかなって思ってる。 #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

なんで迷ってるかって…それは、きっと先輩は私以外の女の子からも沢山貰うから。以前の出来事があって、先輩は女の子の誘いを断って私と帰ってくれるようになった。けど、対応はそこまで変わってなくて。多分素であれなんだろうなって認めてるから良いけど、モテるのは相変わらずだった #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

実際、私のクラスの実習が終わってそのまま先輩の教室の前まで行ったら、先輩は廊下に居て。すでに両手いっぱいにカップケーキを抱え込んでるのに、まだ何人か女の子達がカップケーキを渡すために囲んでて、うわ…って思って先輩に気づかれる前に後ずさってしまった。 #エイトで妄想

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女の子達が先輩に渡そうとしてるお菓子がチラチラ見えたけど、すごい上手で。自分は作り慣れてないからいびつな形。そんな手に乗った下手なカップケーキと女の子達に囲まれて困ったように笑ってる先輩を交互に見て、…こんなの渡せないって思って気づかれる前に自分の教室に引き返した。 #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

そして昼休み。あれから先輩とご飯を食べるようになったからお弁当と一応カップケーキを持っていつも一緒に食べてる階段のところまで行ったらもう先輩がいた。慌ててカップケーキを隠しながら先輩の隣へ行って、座って一緒にご飯を食べて。食べ終わってからも昼休みが終わるまで先輩とダラダラ話してた

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すると、先輩が『そういえばどっかの学年今日調理実習みたいやな』って言い出すから思わずビクっとしちゃう。…でも、私の学年だとは気づいてないみたい。何だか、それは私の学年ですとは言い出せなくて「…そうなんですね」って返したら、『そうそう、カップケーキ？らしくていっぱい貰ってん』って。

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…そんな事、なんて事ないみたいに言うから「いいじゃないですか、いっぱい貰えて。」ってちょっと皮肉を込めて言ったら、先輩がその後に衝撃の言葉を言った。『けど俺甘いの好きちゃうねん』って。その言葉を聞いて、急に心がガンと殴られた感覚に陥る。そしたら丁度昼休みが終わる予鈴が鳴り出した。

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その予鈴を合図に「…予鈴ですね、戻りましょうか」って言いながらお弁当の袋を持ち上げたらカップケーキがコトンと落ちてしまった。『…え』って先輩の声が後ろから聞こえる。慌ててそれを拾って「じゃあまた放課後！」って先輩の顔は見れないけど先輩の方を向きながら無理矢理笑って教室まで急いだ。

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先輩に背を向けて足を動かした途端、後ろから『っ待って！』って声とガラガラと何かが落ちる音が聞こえて。多分慌てた様子で私を呼び止めてたから、不注意で自分のお弁当箱を階段で落としてしまったんだと思う。…でもそれのお陰で先輩は来てない訳だから、ラッキーだったかもしれない。#エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

それから放課後まで、移動教室のおかげで休み時間に先輩と会う事は無かった。そして授業が終わって自教室にて終礼が行われた後、先輩と帰る訳だけど…いつもは先に終わった方が相手の教室の前で待っとこうって事になってる。…けど今は正直会いにくいなあ、って。廊下に行くの嫌だなあ… #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

先輩がもうすでに廊下に居るかもしれないと思ったら気が引けて仕方がないけど、勇気を振り絞って廊下に出て辺りを見渡してみたら先輩の姿は見当たらなかった。（…まだ来てない）心無しか安心してる自分が居て、そんな自分に苦笑いしちゃう。すると『あ、〇〇ちゃん』ってまるちゃんの声 #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

声がする方を向いたら、廊下に立ち尽くす私の方にまるちゃんが手を振りながら歩いて来た。そんなまるちゃんに手を振り返しながら、ふと思いついた事。「あ、まるちゃん。甘い物好き？」『甘いの？めっちゃ好き』よかった好きでいてくれた…。先輩のでトラウマになってたけどちょっと一安心。

流空 @ri0_0kuu

「じゃあちょっと待ってね」そう言いながら鞄の中からラッピングされたカップケーキを取り出そうとガサゴソ。するとそんな私を見てまるちゃんが察したように、『あ、もしかしてカップケーキ？』って言う。同じ学年だから知ってるか。「そうそう」『女子はカップケーキらしいなあ』「男子は違うんだ」

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そんな会話をしながらカップケーキを取り出し終えると、まるちゃんの目の前に差し出す。それをちょっとほっぺを赤くしたまるちゃんが嬉しそうに受け取って『うわあ、有難う』ってカップケーキを眺めてる。ちょっと恥ずかしいなって思ってたら、どこからかドタバタと足音が聞こえてきた。 #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

『っ待て待て待て！』足音と共に焦ったような声も混じって来て。この声…って思いながらそっちの方を向いてみると、絶対慌てて教室から出て来たでしょってくらいブレザーはちゃんと着れて無いしリュックも両肩じゃなくて片方にしかかけてない先輩が、はあはあと呼吸を荒くしながら私達の前に来た。

流空 @ri0_0kuu

「だ、大丈夫ですか…？」あまりにも切羽詰まった顔して呼吸を整えてるから無意識に声を掛けたけど、先輩は私の方を見るんじゃなくてある一点しか見つめていない。何を見てるんだろ？って思いながら視線の先を辿ったら、まるちゃんが持ってるカップケーキで。『っそれ、俺が欲しい』って指を差した。

流空 @ri0_0kuu

先輩のその言葉を聞いてなぜか分からないけど体がぶわっと熱くなるのが分かった。この気持ちなんだろうっていう困惑と先輩甘いの嫌いじゃなかったっけっていう疑問でごちゃごちゃになって何も言えずにいたら、まるちゃんが突然何か思い付いたようににっこり笑って『僕が貰った物なんで』と見せつけた。

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そのまるちゃんの行動と発言に言葉を詰まらせた先輩。そんな先輩を見て満足そうな表情を浮かべたまるちゃんが私の方に体を向けて『ほなね、これ有難う〜』って言って私達を通り過ぎて下駄箱の方まで歩いて行った。すると先輩が『最っ悪…』って言いながら顔を両手で覆い隠してしゃがみこんでしまった。

流空 @ri0_0kuu

「あの…先輩」そんな先輩に上から話掛けるけど、先輩は『よりによって他の奴に食べられるとか有り得へん…』ってブツブツ言ってて私の声は届いて無いみたい。…一応、まだあるっちゃある。だって何個か作ってあるから。だからまるちゃんにあげたし、まるちゃんもそれを知ってると思う。 #エイトで妄想

流空 @ri0_0kuu

まだ心は迷ったままだけど、鞄の中からカップケーキを取り出して未だ顔を隠したままの先輩の前にしゃがみこむ。そのまま先輩の目の前にカップケーキを差し出して「先輩」って話し掛けるけど、先輩は『ごめん俺今立ち直られへんから…』って手を退かさない。…こうなったら。「あ、あの人かっこいい！」

流空 @ri0_0kuu

そう声を上げたら案の定、バッと手を外す先輩。でも目の前には私のカップケーキが差し出されてて、先輩は目をまん丸にしてそれを見つめてる。『嘘やん…』「ほんとです」そのまま手を伸ばして私のカップケーキを取ろうとする先輩。だけど私はそんな先輩の手から逃げるように手を引いた。#エイトで妄想