アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡を巡る旅、F-エフ-23話脚本:人と人を引き合わせる夕陽
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カイジが好きで始めた、カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの歴史を追うシリーズの続きやります。今回は、F-エフ-23話脚本。 前回は、同作22話脚本。 ブログ: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/10/… 上記ブログのtogetter版: togetter.com/li/1276543 他: togetter.com/id/makimogpfb
2018-10-21 14:03:20高屋敷氏脚本F-エフ-23話1 アニメ・F-エフ-は、六田登氏の漫画のアニメ化作品。破天荒だが天才的な運転技術を持つ青年・赤木軍馬が、レーサーとなり成長していく姿を描く。 監督は真下耕一氏で、高屋敷氏はシリーズ構成・全話脚本を務める。今回はコンテが真下監督、演出が古川順康氏。
2018-10-21 14:05:40高屋敷氏脚本F-エフ-23話2 詳細は、ブログに書きました: F-エフ-23話脚本:人と人を引き合わせる夕陽 - カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡 makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/10/… #はてなブログ F-エフ-のブログ記事一覧: makimogpfb2.hatenablog.com/archive/catego…
2018-10-21 14:07:47高屋敷氏脚本F-エフ-23話3 今回の話: 聖(軍馬のライバル)のF3デビュー戦を見るべく、軍馬は改造トラクターを駆って鈴鹿へ。 一方、聖のメカニックを務めるタモツ(軍馬の親友)は、不治の病と闘う彼を支える覚悟をする。 そして、F3の迫力を体感した軍馬は衝撃を受ける。 聖は優勝し、軍馬は…
2018-10-21 14:09:05高屋敷氏脚本F-エフ-23話4 ライバル・聖のF3デビュー戦を見るべく、軍馬は鈴鹿へ。 原作ではタモツ(軍馬の親友。現在聖のメカニック)の計らいで、小森荘(軍馬の住むアパート)の皆で行くが、アニメでは、軍馬・岸田(軍馬を慕うインテリ青年)・純子(ヒロインの一人)に重点を置くべく、改変されている。
2018-10-21 14:14:16高屋敷氏脚本F-エフ-23話5 一方、マシンの整備に励むタモツのもとに、ルイ子(聖の恋人)が現れる。 トレーラーに引き上げるため、タモツが彼女の手を握るが、原作より強調されている。 手から手へ感情を伝える表現を、高屋敷氏はよく使う。 ワンナウツ・MASTERキートン・あしたのジョー2脚本と比較。 pic.twitter.com/z5LdBfXqv0
2018-10-21 14:15:14高屋敷氏脚本F-エフ-23話6 バランスを崩したルイ子は、タモツに覆い被さる。ここで、ランプが揺れる(アニオリ)。状況や心情と連動するランプは、高屋敷氏の担当作で頻出。 カイジ2期脚本、空手バカ一代演出/コンテ、めぞん一刻脚本と比較。 pic.twitter.com/1tw1UE6ijT
2018-10-21 14:16:43高屋敷氏脚本F-エフ-23話7 タモツは「重いだよ」と言い、ルイ子は笑いながら体を離す。 「重い」はアニオリで、意味深。ルイ子の(情念的な)「重さ」もかかっており、上手い追加。 ルイ子は、聖(不治の病を患う)の発作の間隔が短くなっていることを告げ、何とかレースを止めさせたいと吐露する。
2018-10-21 14:18:05高屋敷氏脚本F-エフ-23話8 聖の病気は、運動機能が低下して行き、死に至る難病。以前ルイ子は、そのことをタモツにだけ打ち明け、彼に協力を求めた。 やはりここは、高屋敷氏が脚本参加した、あしたのジョー(1・2)の、減量死した力石と、彼をサポートした葉子が思い出される。 pic.twitter.com/eGgXNHGYe0
2018-10-21 14:21:01高屋敷氏脚本F-エフ-23話9 ルイ子はタモツの手を握り、聖に1日でも長く生きてもらうべく、レースを止めてほしいと懇願。だがタモツは、それはできないと言う(アニオリ)。 ここも、手から手へ感情を伝える、高屋敷氏の特徴が出ている。ワンダービートS・MASTERキートン脚本、ど根性ガエル演出と比較。 pic.twitter.com/39uSVGqE8Q
2018-10-21 14:22:18高屋敷氏脚本F-エフ-23話10 タモツは、聖に悔いなく走って欲しいから、「オラの大事な軍馬」と別れてまで、ここに来たと言う。これもアニオリで、男の友情にこだわる高屋敷氏らしい改変。また、同氏のテーマの一つ「自分の道を自分で決めろ」が出ており、自分の道を決めた聖を、タモツが尊重している。
2018-10-21 14:23:25高屋敷氏脚本F-エフ-23話11 ルイ子は、近付いてくる聖の足音に気付き、咄嗟にタモツにキスする。聖はそれを見て見ぬふりをして去る。 このとき、紙コップが落ちて転がる(アニオリ)。 意思を持つかのように動く「物」を、高屋敷氏はよく出す。めぞん一刻・カイジ・MASTERキートン脚本と比較。 pic.twitter.com/nhzFFF7jjl
2018-10-21 14:24:39高屋敷氏脚本F-エフ-23話12 整備を終えたタモツは、一人酒を飲む聖に声をかけ、「走る理由」を問う。 聖はしばし、ロウソクの炎を見つめる(アニオリ)。意味深な炎の「間」も、実に高屋敷氏担当作に多い。 陽だまりの樹・カイジ2期・蒼天航路脚本と比較。 pic.twitter.com/A8nGdKqYei
2018-10-21 14:26:01高屋敷氏脚本F-エフ-23話13 原作では、聖はタモツの質問に答えるが、アニメでは答えず。そして必ず優勝するために、予選でポールを狙わないと言い、何故か笑い出す。 「脚本」なのに不思議な事だが、高屋敷氏は、台詞より映像で見せる話運びが多い。自身のコンテ・演出経験も大きいと思われる。
2018-10-21 14:27:46高屋敷氏脚本F-エフ-23話14 レース当日、軍馬が心配で鈴鹿に来た純子と岸田は、タモツに声をかける。 タモツは、軍馬と共にF1に行く夢は諦めていないと言い、時が来たら必ず戻る、それまで軍馬をよろしく頼む…と二人に土下座(アニオリ)。高屋敷氏は、割と土下座に縁がある。カイジ1・2期脚本と比較。 pic.twitter.com/vXOb4GgdtG
2018-10-21 14:29:22高屋敷氏脚本F-エフ-23話15 後のアニオリ展開では、岸田は友達として、純子は女として、軍馬に近しい存在となるので、タモツの土下座は迫真。高屋敷氏の構成の計算高さを感じる。 そして決勝が開始。なんと軍馬はブリッジに登って観戦。F3の迫力を体感した彼は、早くF3に行きたいと目を輝かせる。 pic.twitter.com/asgoG2aVe7
2018-10-21 14:33:15高屋敷氏脚本F-エフ-23話16 場面は転じ、ユキ(軍馬を慕う、赤木家の元使用人。軍馬の異母兄・将馬に囲われている)が、とある男(黒井レーシングチーム代表・黒井)と接触(アニオリ)。サングラス姿や、白黒はっきりさせたがる口調など、あしたのジョー2(高屋敷氏脚本参加)の葉子に、かなり寄せている。 pic.twitter.com/7fhFeXnrFI
2018-10-21 14:35:21高屋敷氏脚本F-エフ-23話17 鈴鹿では、コースを走る聖が、タモツに直接言わなかった「走る理由」を、心で語る(原作では直接語る)。 迫り来る死に恐怖する聖が鏡を見るイメージが出るが、真実や状況を映す鏡は高屋敷氏担当作に多く出る。ジョー2脚本、ベルばらコンテ、赤ルパン演出/コンテと比較。 pic.twitter.com/EcLM2dXwxx
2018-10-21 14:38:27高屋敷氏脚本F-エフ-23話18 聖が走る理由は、自分を裏切ろうとしている空間を、もう一度掴み取るためであった。 手の動きでの感情表現を、高屋敷氏はよく使う。蒼天航路・カイジ2期・めぞん一刻脚本と比較。 pic.twitter.com/GQHHD4iguZ
2018-10-21 14:39:18高屋敷氏脚本F-エフ-23話19 0コンマ1秒でも速く走るということは、自分の力で距離・空間を自由に縮めたという証。その時だけ、力強い自分を確認できる…と聖はタモツに心で語り、「オレは死ぬまで生きてみせる」と、チェッカーを受ける。 心で語る描写は、アカギやカイジ脚本などでも強調が見られる。 pic.twitter.com/9A1MKrUssl
2018-10-21 14:41:26高屋敷氏脚本F-エフ-23話20 表彰式後、夕陽に向かって歩き出した聖は、夕陽を背に歩いて来る軍馬に会う。 しばし足を止めるも、二人は黙ってすれ違うのだった(アニオリ)。 ここ(画像1)は非常にジョー2(高屋敷氏脚本参加)的で感慨深い。 画像2は、ジョー2・蒼天航路脚本、ベルばらコンテとの比較。 pic.twitter.com/gAbRt7CS7p
2018-10-21 14:44:52高屋敷氏脚本F-エフ-23話21 また、止め絵になるタイミングも、あしたのジョー2的でありながら、真下監督独自のスタイリッシュなセンスが出ており、非常に良い。 出崎統監督→高屋敷氏→真下耕一監督のリレー的なものを感じる。 pic.twitter.com/1EqetZx9DR
2018-10-21 14:46:41高屋敷氏脚本F-エフ-23話まとめ1 手による感情表現、ランプ、熱い友情、あしたのジョー2オマージュなど、高屋敷氏が(当時)持っている引き出しを目一杯使っているのを確認できる。
2018-10-21 14:48:22高屋敷氏脚本F-エフ-23話まとめ2 あと、タモツの考えが、原作と若干異なっているのは興味深い。 原作のタモツは、サーキットは墓場ではないとして、もしもの時はマシンを止める装置を開発。 アニメのタモツは、自分が整備したマシンで悔いなく走ってもらいたくて、聖のメカニックになった。
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