西畑くんとの最後の記録

純 麗 でした @jitanjanaiyo

『、、、。』...言えた。大丈夫。泣かずに言えた。大好きな大吾くんとのお別れもこんなにあっけないものなんだ。相変わらず黙ってる大吾くん。「今まで『なに言うてんの？』下を向いたままで彼が口を開いた。予想外の彼の言葉にびっくりしてたら強い眼差しを私に向けて彼が言った。『俺別れへんよ』

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「、、、。」大吾くん、そんな甘いもんじゃないんだよ。『俺は別れたない』「私は考えて、散々考えて、、、。別れるのが大吾くんと私のためになると思ったから...」『なんでそんなん〇〇が勝手に決めるん？』「...だって私子供産めなくなっちゃうかもしれないんだよ？」「大吾くんの想像する未来に子供

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はいなかった？」「治療はいつまで続くか分からないしもしかしたら死んじゃうかもしれない。そんな私のために大吾くんの大事な時間を奪いたくないの。...それに、先のこと考えたらさ、他にいい人いるんじゃない？」言葉にするとこんなにも辛いんだ、。相変わらず大吾くんはその目線を私からそらさない

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『"未来"とか"この先"とかじゃなくて"今"俺は〇〇と一緒におりたいねんけど』大吾くん、、、？『今まで俺がしんどい時散々〇〇に助けられた。...やから今は〇〇の少しでもの支えになりたいんやけどそれじゃあかん？』大吾くんのその言葉で透明になった私の血液が決壊を超えて溢れ出る #関ジュで妄想

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『〇〇は優しいから私のせいで、って思うのかもしれへんけど俺が、〇〇と一緒におりたいから俺のために別れへん。』私の心の中を全て読んだみたいに諭してくる大吾くん。私の目から流れ出る涙は止むことを知らず、嗚咽も止まらなくなるほど。、、甘えてもいいのかな？「大吾くん、、」 #関ジュで妄想

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大吾くんは席を立って子供のようにまさに号泣する私の右隣にしゃがむ。彼の左腕が私の背中に周り、優しくさすってくれる。『一緒に頑張ろな』大吾くんが優しく優しく言ってくれるからこの2週間悩んでたモヤモヤが一気に軽くなった。私にとっての大吾くんはこんなにも心強いんだ、、、。 #関ジュで妄想

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黙って頷いたら、背中をさすってくれてた大吾くんの左腕が私の右肩に移動してその代わり彼の右手が私の左肩に置かれた。『1人で抱えて辛かったな？』そう言った大吾くんに包まれた。『大丈夫やからな』大吾くんに抱きしめられると安心する。 #関ジュで妄想

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"もう泣くな"って言わないで貴方の肩で私の気が済むまでわんわん泣かしてくれるその優しさ、私は知ってるんだよ？ #関ジュで妄想

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そして入院生活が始まった。発覚が遅かった所為で私のがんは相当進行していてかなり大きいみたい。だからがん自体を小さくしてから手術らしい。大吾くんの言った通りもっと早く病院に行っとけばよかったなんて今更悔やんでも遅いよね。 #関ジュで妄想

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話には聞いていた。"抗がん剤治療は辛い"ってこと。でもその辛さは想像以上だった。大事に伸ばしていた髪の毛はすぐ抜けた。毎日毎日止まらない吐き気。こんなに辛いなら死んでしまいたい、と思う日も少なくなかった。 #関ジュで妄想

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大吾くんは忙しいお仕事の合間を縫ってほぼ毎日私の病室に足を運んでくれで、ずっと隣で寄り添ってくれた。治療を始めてから正直"女としての魅力"なんて皆無だし、自分のことで精一杯で。そんな私に飽きもせず気分が悪い時には背中をさすってくれたしベッドで横になる時には必ず私の右手を両手で握って

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くれた。大吾くんは面会にくると、外界と接触がなくなった私が退屈しないように大吾くんの今日の出来事を面白おかしく話してくれた。その話を聞くのが私の毎日の楽しみで、辛い治療を忘れられる唯一の時間だった。 #関ジュで妄想

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辛い辛い抗がん剤治療が続いて4ヶ月が経った。入院が始まったばかりの頃窓から見えた景色は半袖で水遊びをしている子供たちや、真っ青な空に浮かぶ入道雲だったのに今は寒そうにコートを着込んだ大人たち、そして空から降ってくる無数の雪になっていた。 #関ジュで妄想

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きつい副作用に耐え切ったのが功を奏したのか私のがんはだんだん小さくなっていった。そして、ついに手術できるまでの大きさに。主治医からその話を聞いて両親はとても嬉しそうだったし、大吾くんに話した時も涙を流して私以上に喜んでくれた。 #関ジュで妄想

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一方、私は不安で不安で仕方なかった。大学で流行っている中私だけピアスを開けなかった程、自分の身体を傷つけることに抵抗があった。この期に及んで、って感じだけどメスを入れるのなんて以ての外。手術の日取りが決まってから眠れない夜を過ごした。 #関ジュで妄想

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手術まであと1週間ちょっと。今日も鼻を赤くした大吾くんが私の元に来てくれた。彼の冷たい手に私の右手が握られる。『今日は体調どう？』優しく語りかけてくれる大吾くん。「うん、調子良いよ」『ほんま？よかった』「大吾くんこそ風邪ひいてない？鼻赤いしても冷たい」『鼻赤い？』「うん。トナカイ

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さんみたい(笑)」床頭台に置いてあったスマホをとって彼の写真を撮ってそれを見せる『ほんまや！(笑)恥ずかし！(笑)消しといて』「やだぁー！消さないよー」『消してやー😩』「じゃあこの前撮った私の寝顔消して！それ消してくれるなら消す」『嫌や！あれは絶対嫌』「じゃあ私も消さない」『ほんま悪賢

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いなぁ〜』「大吾くんのせいだよ？(笑)」『どういう運びやねん(笑)』そんなことを話してたら看護師さんが巡回に来た。色々チェックしてもらって会話もサラッと流した。大吾くんとの時間を邪魔されたくて😠 『手術もうちょっとやな』看護師さんが去ってまた2人だけの空間になった。 #関ジュで妄想

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「うん、、、。」『不安、、やんな？』「え、」『最近眠れとる？』本当大吾くんはひとのこころが読めるのかな、？せっかく受けられることになった手術への不安を語るのはお門違いな気がして誰にも話してなかった。でも大吾くんには当たり前に私の気持ちが伝わってたみたい。 #関ジュで妄想

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『話してみ？楽なるで』そうやって優しく私の心を開けてくれるところ、貴方には敵わない。「、、、本当は、とっても怖いよ、、」私が口を開けば右手を握ってくれる大吾くんの力がぎゅっと強くなった。それに安心して私は漠然とした大きな恐怖を泣きながら打ち明けた。 #関ジュで妄想

純 麗 でした @jitanjanaiyo

恐怖を伴った病室で過ごす1週間はあっという間で手術は明日に迫っていた。時刻は17時半を過ぎている。正直、不安で押し潰されそうで今日1日は大吾くんに隣にいて欲しかった。でもまだ彼は顔を見せていない。面会締め切りまであと30分。もう今日は来ないのかな、忙しいもんね、ってほとんど諦めていた頃

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私の病室のドアをノックする音。「はい」と返事をすればスーツ姿の大吾くん。「大吾くん、！」『今日もうちょい早く来ようと思っててんけど遅くなってもうた』「ううん。来てくれただけで嬉しいよ、本当に。」今日は特に、ね。いつものベッドの脇の椅子に座って私の右手をとる大吾くん #関ジュで妄想

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今日も今日とて優しい眼差しを私の方に向けてくれる。なんかそれが今日は一層優しく感じるのは私の明日への不安からだと思う。「スーツなんて珍しいね」『今日はな〜どうしてもスーツやないとあかんかってん』「お仕事？」『ううん。ちゃう』って私の手を離してかばんの中をゴソゴソし始める大吾くん。

純 麗 でした @jitanjanaiyo

なんのためのスーツなんだろう？まぁ彼のスーツ姿なんて滅多に見られないしとてもかっこいいので非常に嬉しいから理由なんてなんでもいいんだけどね☺️なんて考えているとティファニーブルーみたいな綺麗な色に、白いリボンがよく映えた四角い箱を取り出した大吾くん。『これ渡したくて』

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差し出された箱は"ティファニーブルーみたいな色"ではなくまぎれもなく本物のそれだった。「、、、え？」『開けてみて？』恐る恐る綺麗に結われたリボンを解いて箱を開けると病室の無機質な灯りに照らされて輝くもの。 #関ジュで妄想 pic.twitter.com/UgFas9ruql

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