ミソミソパロ第1話

キロ尾をミソミソでパロってみました。ミソミソ→おがぴ、一矢→㌔ちゃん。アモンもなんとなく決めてある。
0
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

あいつから結婚したという報告が来た。その時に湧き上がった感情に蓋をしてなんとか抑え込む。この感情に名前をつけてはいない。気づいてはいけない。このまま1人で部屋に帰ると押さえ込んだ感情が爆発しそうになるから白石たちを呼び出してたくさん飲んだ。

2018-11-03 08:42:47
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

たくさん飲んで思考がまともに回らない頭で帰路につく。エレベーターに乗ると中に服を着た黒猫のぬいぐるみが落ちていた。他の住人の落し物だろうか。その割には薄汚れていた。じっと見つめているとそのぬいぐるみに自分の境遇を重ねそうになって頭を振る。なんで捨てられたと思うのだ。

2018-11-03 08:46:28
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

とりあえず夜も遅いし、なんとなくそのぬいぐるみを放っておけなくなって持ち帰ることにする。1人になると余計なのことを考えてしまいそうになるので、とりあえず薄汚れたぬいぐるみを洗ってやることにした。 「お前も綺麗な姿で帰りたいよな」 話しかけながら洗面台にぬるま湯を溜める。

2018-11-03 08:53:37
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

溜まった湯の中にぬいぐるみを入れたその時。 「おい!俺を殺す気か!」 「うわっ!?」 突然ぬいぐるみから声がして暴れだした。びっくりして思わず手を離すとぬいぐるみは水の中で溺れた。 「ばかやろ…(ゲボゴボ)たすけ…(ゴボゴボゴボ)」

2018-11-03 08:58:25
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「動くぬいぐるみだったのかよ…それにしてもリアルだな…」 ただ、声はぬいぐるみらしくもう少し可愛くても良かったんじゃないかと思った。ぬいぐるみにしては少し、いや、大分声が低い。と考えてるうちにぬいぐるみが沈んで動かなくなった。今度こそ壊れたのかと思い慌てて水の中から出す。

2018-11-03 09:00:50
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

水から引き上げるとぬいぐるみか咳き込んだ。 「壊れたかと思ったぜ。それにしてもリアルに動くなぁお前」 「俺はぬいぐるみじゃねぇ」 「あーめんどくせえ」 ちょいちょい、とぬいぐるみが手招きする。 「招き猫だったのか?」 「いいから顔を貸せ」 「態度のでかいぬいぐるみだな」

2018-11-03 09:09:03
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

と言いつつ顔を近づける。ぬいぐるみが飛びついて口に何か当たったと思った瞬間。 ぬいぐるみが発光して眩しさに目を瞑る。大きな音がして目を開けると見知らぬ男がいた。 「!?誰だよ!?」 濡れた髪をかき揚げながら男がめんどくさそうに答えた。 「あんたが拾ってきたぬいぐるみだよ」

2018-11-03 09:13:49
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

ぬいぐるみの名前はオガタというらしい。オガタの話によると、オガタは魔法使いで修行中の身だった。修行中でありながら、何かやらかして師匠の怒りを買い、ぬいぐるみに変えられて人間界に送り込まれたらしい。 「何をやらかしたんだ?」 「それはどうでもいいだろ」 「良くねえよ」

2018-11-03 09:25:34
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

結局やらかした理由は教えてくれず、オガタは説明を続ける。人間界に送られたのは人間界で修行をするため。ぬいぐるみの姿では魔法が使えないので、元の姿に戻るために人間とキスしないといけない。 「だが、こんなぬいぐるみを拾ってキスするなんて奇特な人間はいなくてなぁ」

2018-11-03 09:37:30
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「アンタがその奇特な人間だったってわけだ」 「キスはてめぇからしてきたんだろ!」 変人扱いされてついツッコミを入れてしまった。 「まあそういうわけで、アンタが今日から俺のご主人サマだ。最初に俺にキスした人間がご主人サマになるのが決まりだからな」 「はぁ?」

2018-11-03 09:40:02
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

㌔ちゃんを書く上で、既婚者設定より、ウィさんの存在のが外せなくなってきた…ウイさん強すぎる。これシリアスで始まるけど基本コメディだからね(笑)

2018-11-03 09:44:27
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

全くこちらをご主人様と思っていない態度のでかさでオガタは言い放った。ぬいぐるみを拾ってから立て続けに理解不能なことが起きて頭が追いつかない。 「ちょっと待ってくれ・・・状況を整理するから・・・」 頭痛がするのは酔いだけのせいではないはずだ。

2018-11-03 22:31:51
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

なんとか頭をはたらかせてこの状況を理解しようとするとオガタがくしゃみをして思考が中断される。 「なあ、整理する前に何か拭くものを貸してくれ」 「魔法でなんとかしろよ。魔法使いなんだろ」 「今は魔力が足りねぇんだよ。元はといえばアンタが俺を濡らしたんだろ」

2018-11-03 22:37:11
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

そう言われては反論できず、仕方なくタオルと着替えを渡す。もう考えることを放棄した。もともと酔っていて思考が回らなかったのだ。夜中だしめんどくさくなった。それに、俺はすでに玄関先で倒れて夢を見ているのかもしれない。そうだ、きっとそうに違いない。

2018-11-03 22:42:48
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

着替えが終わったオガタが少し気まずそうに部屋に入ってくる。さっきのふてぶてしい態度はどこにいったのやら。 「ご主人サマ、もうひとつ頼みがあるんだが、」 オガタが言い終わらないうちに部屋に響くぐらい大きい腹の音が鳴った。 「飯、作ってやるよ」 どうせ夢だから付き合うことにした。

2018-11-03 22:50:54
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

冷蔵庫には作り置きの料理があったし、炊飯器にご飯も残っていたのですぐに用意ができた。暖めた料理をオガタの前に並べると、表情は変わらないが瞳が輝いたような気がする。 並べ終わるなりオガタばすごい勢いで食べ始めた。 「美味い」 「そりゃどうも」 結構素直なんだと感心した。

2018-11-03 22:54:30
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

自分が作ったものを美味しそうに食べてもらうのは嬉しい。だが、限度ってものがある。 「お前、どんだけ食うんだよ!!!」 出しても出してもオガタはたいらげて、おかわりを要求する。要求されるがまま出し続けたらとうとう作り置きの料理がなくなり、新たに作るはめになってしまった。

2018-11-03 22:58:09
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「人間界に来てから何も食べてなかったから・・・」 「それにしたって食う量がおかしいだろ!」 「食べ物は全部魔力に変換されるんだよ」 「だったらその魔力で食い物出せよ」 「そこはまだ習ってねぇ」 そう言ってオガタはひたすら食べ続けた。

2018-11-03 23:05:07
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「満足したか?」 やっとオガタが頷いた。長かった。冷蔵の中はほぼ空になった。 「食ったら眠くなってきた・・・」 「おい、寝るなら今布団を敷くから待ってろ」 さっき食べ終わったばかりなのにもうウトウトし始めている。こっちの言葉がきこえているかもわからない。

2018-11-03 23:13:50
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

オガタの首が大きく前に傾いたと思ったらまた光を放って目を瞑った。 そして、次に目を開けるといすの上に黒猫のぬいぐるみが落ちていた。 あまりのマイペースぶりに呆れてものもいえない。手に取るとぬいぐるみは温かく、本当にオガタが変身したのだと実感する。

2018-11-03 23:17:57
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「何なんだよお前は・・・」 いきなり変身したかと思えば、うえから目線で俺をご主人サマと呼び、魔法使いでぬいぐるみに変身して、人に料理を用意させてたくさん食うだけ食ったら寝る。夢にしたって理解不能なことが起きすぎだ。ため息をついて、オガタを棚の上に置く。

2018-11-03 23:22:45
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

風呂に入り寝る準備をして部屋に戻ると、オガタを棚の上に置いたままにしておくのはなぜか気が引けて、仕方なく隣で寝かせることにした。おっさんと呼ばれてもおかしくない年をした自分がぬいぐるみと一緒に寝る姿は他人が見れば滑稽に違いない。

2018-11-03 23:26:25
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

情けない気持ちになりながら、ベッドに入ると意識はすぐに途切れた。 翌朝。 ぐっすり眠れたのか、アラームが鳴る前に目が覚めた。昨日あんなに飲んだのに頭も痛くない。全く、おかしな夢を見たものだ。拾ったぬいぐるみが人間に変身して 「起きたのかご主人サマ」 こんな風に上から目線で喋るのだ。

2018-11-03 23:39:51
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「ん?」 回想にしてはやけにリアルに声が再現された。何かに袖を引っ張られる。ものすごく嫌な予感がして横を向くと。 「おはよう、ご主人サマ」 夢の中で拾ったはずのぬいぐるみが顔に飛びついてきた。カーテンを開けていないのに眩しい光が目に入り。 次に目を開けたらオガタがいた。

2018-11-03 23:50:42
🐧❄️🐧❄️🐧❄️ @penemi_fgo

「夢じゃなかったのかよ・・」 「夢じゃねぇよ。それよりご主人サマ、腹減った」 「何も残ってねぇよ!帰れ!」 「帰れと言われても、俺のご主人サマはアンタ・・あ」 またオガタの腹が鳴り、一気に脱力した。 朝ごはんを用意しながら、昨夜はあいつのことを思い出さなくて済んだことに気づいた。

2018-11-04 00:04:01