【ドルフロ】うちの支部

Twitterでだらだら書いている二次創作小話のまとめです。
3
前へ 1 ・・ 13 14 次へ

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

ところがどっこい、生きている。それは単に幸運だったからだろうか?

2019-11-30 22:38:34

戦場へ

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「現状、無理だと言うしかないわね」 「そうですか」 ペルシカ博士の断定する口調に、僅かに落胆の色を滲ませながら肩を落とす。 夜戦部隊が持って来た情報を伝え、グリフィン純正と鉄血製の戦術人形を見分けられないかと打診したが、サンプルがない事にはどうしようもないと。当たり前の事だが。

2020-01-07 21:09:07
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

どうにかするには、まず鉄血で生み出されたグリフィン人形を回収する必要がある。無論、まだどこの支部にも所属していない野良の戦術人形だ。 「そこを疑うと、全支部の戦術人形を検査しないといけないからね。どうしても大掛かりになるし、その間に逃げられたり、二の舞が起きたら目も当てられない」

2020-01-07 21:12:55
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

傘ウイルス事件で、どこの支部も疑心暗鬼に陥っている。そこに波風を立てるのは得策ではない。傘ウイルスへの警戒の一環として呼びかけられるのは幸いだが。 「そうなると、誰を捕まえて来るか、って話になるけど」 「手っ取り早いのは、話に上がったPPKじゃないかしら」 「ですよね」

2020-01-07 21:32:55
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

今のところ、私達が把握している鉄血製グリフィン人形は彼女のみだ。お誂え向きに、彼女はつい最近、所属していた支部を壊滅させている。つまり野良である可能性が高い。 となれば、先日潜入した鉄血のプラントにもう一度潜入するしかないだろう。今度は破壊するつもりで。

2020-01-07 21:38:05
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「しかし、いっそ面白いぐらい厄介事を抱え込むね、貴方の支部は」 「笑い事ではないんですけど一周回って笑いしか出ませんね……。RO、まだ暫くこっちで借りる事になりそうです」 「良いわよ、そのつもりで寄越した子だから。遠慮なく使ってやって」 「ありがとうございます」

2020-01-07 21:51:24
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

通信が切れる。次の報告では朗報を持って来れれば良いが、それは私達の働き次第だ。 さて、これから忙しくなるぞ。

2020-01-07 21:56:56
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

ーーーーーーーーーー 砂塵に吹かれ、外套が舞い広がる。砂埃と硝煙に包まれた身体は汚れてこそいるが、損傷もなく稼働に障りない。 曇りない目で見つめる先には、ひとつの支部。 「ここが、S05地区支部」 呟く声には、どこか希望が込められていた。

2020-01-07 22:07:53

アンドロイドは人間の肉体の夢を見るか

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「貴方が」 「はい」 色の薄い髪が、モニターの光を反射して青く煌めいている。儚げな見た目と相まって、その姿は妖精の様にも思えた。 「貴方の所有する部隊に情報を提供した、スオミ KP-31です」 少女は自分の名前を、そして床に下ろされたサブマシンガンの型番を、澱みなく答えたのだった。

2020-08-08 03:56:29
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

―――――――――― 「指揮官! スオミが来たって本当!?」 UMP9とM14が指揮官室へなだれ込んで来た。後ろにはPPK・416・SVDの姿も見える。夜戦部隊揃い踏みだ、話が早い。 「あ、3日振りです。皆さん」 彼女らを振り返ったスオミが、華やかな微笑みを浮かべる。

2020-08-08 03:57:19
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

見目の整った美少女が揃う戦術人形の中でも、スオミは特に美麗に作られている――と思うのは贔屓目だろうか。 ともあれ、彼女が件の戦術人形なのは本当だったらしい。 「無事だったんだ!」 「はい、無事です。交戦は皆さんに任せて、戦場を離脱したので」

2020-08-08 03:57:37
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「協力はしないと言っていた筈だけれど、何をしに来たの?」 「ええ、協力はしません。ただ、取引をしに来ました」 416の怪訝そうな顔もスオミは一切意に介さない。PPKとも(前支部の因縁をさておいても)折り合いが良くなさそうだったので、腹の底が読めないタイプは苦手なのだろうか。

2020-08-08 03:57:53
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「取引?」 「はい。こちらから情報を提供する代わりに、こちらの頼み事を聞いて貰う。シンプルな「取引」ですよ」 「で、今からその頼み事とやらの話をするところだったんだ」 夜戦部隊が来たのなら丁度良い、そのまま話を続けて貰おう。私は手でスオミを促した。

2020-08-08 03:58:13
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「実のところ、私があそこに居た目的は、まだ達成されていません」 「そもそも貴方の目的は何なの? この前は教えてくれなかったけれど」 「申し訳ありません。繰り返しになりますが、皆さんには内容を閲覧する権限がありません」 「つまり、それ自体は自分で達成すると言う事?」 「はい」

2020-08-08 03:58:37
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「けど、それを達成するにはまた別の問題がありまして。――端的に言えば、プラントを破壊されると困るのです」 416の視線が輪をかけて刺々しくなる。地下にあったと言う、心臓を模した推定プラントらしき臓器に嫌悪感を抱いていたらしいので仕方ないが。

2020-08-08 03:59:14
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「でもそれって、鉄血が生まれるのを止めたくないって事ですか?」 「いいえ。先日も言いましたが、私は誓って鉄血側の人形ではありません。鉄血が生まれるプラントを破壊しない理由はない」 「つまり、それはそのプラントに別の利用価値があると言う事かしら」 「明言は避けさせてください」

2020-08-08 03:59:26
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

終始肯定はしなかったけれど、それはもう肯定しているのと同義だ。どうやらセキュリティクリアランスなるものはスオミにとっても不本意なものらしく、その会話にも試行錯誤が窺える。 ただ、スオミ以外が推測と言う形で口にする分には問題ない様だ。一歩前に出て、発言を代わる。

2020-08-08 03:59:41
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「以上のスオミの発言から、私はプラントに鉄血兵を生み出す以外の利用価値があると推測しました。けど、スオミだけでは哨戒の鉄血兵を退けるのは難しい……って事だよね?」 「その通りです。皆さんには、私が目的を達成するまでの時間稼ぎをお願いしたいのです」

2020-08-08 03:59:49
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

これこそが取引。私達は鉄血のプラントについての情報を得る。スオミは目的達成の為の戦力を味方につけられる。確かに、取引内容としては不足はない。 「で、受けるの? その取引」 「受けるよ」

2020-08-08 04:00:22
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「プラントをどうにかしようと思っていたのはこちらも同じだし、他に利用価値があるのだったら、持って行って貰うのが良い」 「正気? 何に使うかも解らないのに」 「悪い様にはしないでしょう」 どの道、プラントの無力化はしなければならない事だったのだ。その手段が破壊か停止かの違いだけ。

2020-08-08 04:00:34
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

「スオミは誓って鉄血側の勢力ではないと言った。その言葉を私は信じます」 逆に言えば、鉄血ではない敵である可能性は否定されていないのだが、流石にここで裏切るのは回りくどいにも程がある。最終的には敵対するにしろ、この「取引」に関しては信じても良さそうだ。

2020-08-08 04:00:44
さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

スオミはトントン拍子で話が進んで呆気に取られた様な顔をしつつ、ありがとうございます、と一礼した。 「では、プラントに関しての情報をお教えします」

2020-08-08 04:00:53
前へ 1 ・・ 13 14 次へ