『森の中で翼を広げ、杖のように自分の体を支えるオオワシがいた』猛禽類医学研究所の獣医師さんが見たじっと死を待つオオワシの姿と鉛弾による急性鉛中毒の話

放置された狩猟残滓から重金属中毒に。鉛弾の使用についての話。
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猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

忘れられない光景がある。 『一週間以上、同じ場所に立っているワシがいる』との連絡を受けて駆けつけると、森の中で翼を広げ、杖のように自分の身体を支えるオオワシがいた。目前には狩猟後に放置されたシカの死体があった。急性鉛中毒。。死が訪れるのをじっと待つオオワシの姿に恐怖すら覚えた。 pic.twitter.com/vaau6n24Ha

2018-11-14 10:46:25
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猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

猛禽類医学研究所は北海道釧路市を拠点に希少猛禽類の保全活動を行っている野生動物専門の動物病院です。Xは代表の齊藤慶輔が管理しています。 TV出演: プロフェッショナル仕事の流儀、Switchインタビュー、情熱大陸、ダーウィンが来た!など サーモスCM:youtu.be/vBMcQau_H1k

irbj.net

オオワシはその後助かったのか?

せりな@甘傘の中の人 @hakoniwaa_xxx

@raptor_biomed オオワシさんはその後助かったのでしょうか( ;;)

2018-11-14 15:00:57
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@hakoniwaa_xxx 解毒剤を注射と点滴、経口で投与し治療を試みました。約一ヶ月かけて治療に成功し、野生復帰を果たしています。

2018-11-14 18:03:14
無夕奈没 @Nha_Vohozzh

@raptor_biomed @TOPAZ_Y @hakoniwaa_xxx 横から失礼します。 治療はやはりキレート剤を用いられたのでしょうか?

2018-11-15 01:02:48
無夕奈没 @Nha_Vohozzh

@raptor_biomed @TOPAZ_Y @hakoniwaa_xxx やはり鳥類でもキレート剤なんですね... そしてそれでも1ヶ月ですか...恐ろしい...

2018-11-15 12:48:44

急性鉛中毒について

yu @kuilurin2dog

@raptor_biomed 急性鉛中毒というものは狩猟後の獲物(動物)を食べたら動けなくなってしまうんですか?

2018-11-14 11:11:50
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@kuilurin2dog 餌の少ない冬期、被弾した獲物を頻繁に食べるワシがいます。食後すぐに動けなくなる訳ではありませんが、餌があるうちは狩猟残滓の近くに留まる個体も多く、肉と共に多量の鉛片を食べた場合そのまま体調不良に陥る事もあります。重金属中毒ですのでその影響は全身に及びます。irbj.net/activity/cause…

2018-11-14 11:27:13
テルキ(釣り @osakanaigaimosu

@raptor_biomed 鉛弾で撃たれた鹿は人が食べても鉛の混入はありえますか?人は食べ物を噛むので気付くのですか?それとも鉛弾はかなり小さな破片も飛び散るのですか?解体の際に銃創付近を全て除去するのだとしても鉛弾という製品そのものに構造的欠陥を感じます。お忙しいところ長文失礼しました。

2018-11-14 11:52:23
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@osakanaigaimosu 一発の鉛ライフル弾で撃たれたエゾシカのレントゲン写真です。被弾部(左側)には砕け散った鉛弾の破片が砂粒のように肉に入り込んでいます。当たった場所などによっても状況は異なりますが、発見して取り出すのも難しいです。鉛を多く含む部分を食べると当然人間も健康被害を起こす可能性があります。 pic.twitter.com/dO0zBPh0RL

2018-11-14 17:09:19
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M.J.Walker Stop🇺🇦Invasion Stop🇵🇸Genocide NOW!! @masaradon

@raptor_biomed ハンターは撃った獲物は食用にするんですよね?毒性の高い鉛の弾を使ったら、食べた人間にも影響があると思うんですが。

2018-11-14 21:51:14
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@masaradon その通りです。もちろん、食べた量などにもよりますが、健康被害はあると思います。ジビエとして利用するのであれば、食の安全の観点からも鉛弾の使用を全面的に禁止すべきであると思います。写真は、一発の鉛ライフル弾に被弾したエゾシカのX線写真です。左側の白い粒は肉内に飛散した鉛の破片です。 pic.twitter.com/0w5A22qMhp

2018-11-15 11:27:44
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狩猟にまつわる質問と回答

狩猟残滓や鉛弾の使用について

松尾佳香 @Keika_m0203

@raptor_biomed はじめまして。以前から齋藤さんの活動を応援しています。質問があったのでリプさせていただきました。猟師は鹿を撃った後、その遺体を持ち帰る事をしないのでしょうか?なぜ撃ち抜いた後そのままにしているのでしょう?部分的にしか持ち帰らないという事なのでしょうか…

2018-11-14 11:02:13
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@Keika_m0203 狩猟残滓の放置は禁止されていますが、獲物全体を持ち帰らずに食用となる部分だけを切り取り、手間を理由に残りを放置するハンターがおります。肉に臭いが移るとの理由で、内臓を猟場で取り除きそのまま置いて行くハンターもいますが、内臓の中にも飛び散った鉛ライフル弾の破片が数多く残っていました

2018-11-14 11:13:54
松尾佳香 @Keika_m0203

@raptor_biomed 手間と臭いを理由に残りを放置…そこから鉛弾の破片が多く残っている為に彼らが食してしまい中毒を起こす、という事だったのですね。何故狩猟して遺体を放置しているのかずっと疑問でした。放置をしなければ彼らが中毒を起こす確率がグンと減るじゃないかと思っていたので…御返事有難うございました!

2018-11-14 11:46:49
みんなのつじさん @our_tsuji_san

@raptor_biomed はじめまして。 猟獣が半矢で猟師が逃し発見出来ないことより、止めを刺した上で棄てて行く場合の方が多いのでしょうか?

2018-11-14 23:19:44
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@our_tsuji_san その通りです。肉などの食用に適した部分のみを部分的に持ち帰り、被弾部や内蔵などを含む多くの部分が解体した山野や川辺に放置されていることが多いです。

2018-11-15 11:19:57
魔神鋼平@ミント団長王子 @magamikouhei

@raptor_biomed @paddle_sp いらない部位だからと放置するのはもっての他ですが、地面に埋めるなどの処理もこれだと土壌汚染になったりするでしょうか?

2018-11-14 12:18:27
猛禽類医学研究所 齊藤慶輔 @raptor_biomed

@magamikouhei @paddle_sp 行政は埋却も容認しているようですが、その多くは動物によって掘り起こされています。ましてや雪中埋却では春先に冷蔵保存された狩猟残滓が次々と現れることになります。半矢で死亡した獲物も含め、全てを撤去することは難しいでしょう。最善の策は狩猟から鉛弾を撤廃し、銅弾などに移行することです。

2018-11-14 17:17:22
魔神鋼平@ミント団長王子 @magamikouhei

@raptor_biomed @paddle_sp 丁寧な回答ありがとうございます。 当然と言えば当然の帰結ですね。 いつか狩猟免許取ろうかなと朧気に考えていましたので参考にさせていただきます。 自然と良い関係を築けなければ 、最後には人間に直接帰ってくることになりますからよく考えねばなりませんね。

2018-11-14 20:27:50

鉛弾の使用について