フリージング・フジサン #9

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを振り抜いた!「イヤーッ!」左半身!「イヤーッ!」右半身!「イヤーッ!イヤーッ!」左! 右! ヌンチャク・ワークは黒い炎の軌跡を伴う。邪悪な生命力を注ぎ込まれたヌンチャクには「忍」「殺」の文字が浮かび上がった!◆

2018-11-14 21:39:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

たちまちニンジャスレイヤーの全身に黒炎が駆け巡った。(モータルの怒りを注ぎ込むのだ……!)超自然の無形の意志がニューロンに溶けてゆくと、ヌンチャクに注いだ己の力は溢れかえり、何倍にも増して再び身体を駆け巡るようだった。「例の玩具か!よかろう」シンウインターは嘲笑った。 1

2018-11-14 21:46:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは小脇にヌンチャクを押さえ、締め上げながら、シンウインターを睨んだ。彼は既に覚悟を決めていた。ナラクの炎を引き出し、一気に決着をつけることを。サツバツナイトから投げ渡されたヌンチャクは思いがけぬ助けだ。カラテが高速で血中を駆け巡り、力を呼び起こす。 2

2018-11-14 21:50:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジミ・ストリートでのシンウインターとの交戦時はクローザーの邪魔が入った。シルバーキーとディテクティヴが介入し、あわやナラクのニンジャソウルが奪取される最悪の事態は回避するも、ヌンチャクとの共振は断たれた。今この場にクローザーは居ない。居たとしても、あれを繰り返させはしない。 3

2018-11-14 21:55:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

鋭敏化されたニンジャスレイヤーの意識は氷のホール全体を俯瞰するがごとく張り巡らされ、今まさに全力のカラテをぶつけ合うサツバツナイトとザルニーツァ、ヒダリのカラテミサイル妨害を封じて向かってゆくスーサイドの存在を、直接触れているかのように感じとった。邪魔者は居ない!「イヤーッ!」4

2018-11-14 21:59:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シンウインターが迎え撃つ!襲い来た多色の拳をヌンチャクが弾き逸らし、脇腹に蹴りを見舞う!オーロラは接触部からニンジャスレイヤーを侵食にかかるが、黒炎がそれを撥ねつけた。ニンジャスレイヤーは跳躍し、逆の脚でシンウインターの延髄を狙った。「イヤーッ!」 5

2018-11-14 22:03:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シンウインターは手の甲で蹴りを受けた。ニンジャスレイヤーはその反動で上に跳ね、ヌンチャクを斜め下のシンウインターへ真っすぐに投げた!KRAASH!クロスガードに弾かれたヌンチャクを落下しながら掴み取り、叩きつける!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「ヌウーッ!」 6

2018-11-14 22:04:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」打つ!打つ!打つ!グルグルと炎の風車めいて回転するヌンチャクがシンウインターを押す!シンウインターは無尽蔵に溢れるオーロラでこれを受ける。その目は怒りに見開かれている。リアルニンジャの高みに立った己の踵を掴んで引きずり落とそうとする、思いがけず厄介な虫への怒り! 7

2018-11-14 22:08:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シンウインターは円を描くように腕を動かし、黒炎を打ち払った。「ヌウッ……!」ニンジャスレイヤーは顔をしかめた。シンウインターは己が作り出した渦に二倍の力を込めた。「イイイイイヤアアーッ!」ナムサン!巻き起こる多色の竜巻!WHIRRRRRRRL!ニンジャスレイヤーは横に跳ぶ! 8

2018-11-14 22:11:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

横向きの竜巻は氷を抉り、空気を喰らい、歪んだ軌跡を描いて壁を削り、壁に埋め込まれたユミル・ニンジャの死骸を損壊し、天井付近に亀裂を穿った。ニンジャスレイヤーは起き上がった。削り取られた脇腹の装束が血と炎を滴らせ、修復していった。彼はヌンチャク・ワークを再開した。 9

2018-11-14 22:13:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンンンン……!」シンウインターはカラテを込め、新たなオーロラを充填した。たちまち身を鎧う多色!だがニンジャスレイヤーは怯まず、再び向かってゆく!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」シンウインターは受け、いなし、殴り返す!「イヤーッ!」「イヤーッ!」KRAASH! 10

2018-11-14 22:16:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

多色の拳はニンジャスレイヤーのメンポを捉えた。メキメキ、バキバキと音を立て、「忍」「殺」のメンポは牙めいた亀裂を生じかけた。殴られながら、ニンジャスレイヤーは殴り返した。「イヤーッ!」クロスカウンターである!「ヌウーッ!」KRAAASH!両者タタミ8枚押し戻され、間の氷が砕ける! 11

2018-11-14 22:19:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「AAAARGH……!」シンウインターは間欠泉じみて噴き上がった水柱越しにニンジャスレイヤーを睨み、オーロラを過剰充填させる。再度のヒサツ・ワザの構えだ!一方のニンジャスレイヤーは床に顎がつかんばかりの前傾姿勢を取り、前に置いた右手と後ろに伸ばした左手でヌンチャクの鎖をピンと張った。12

2018-11-14 22:25:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

張られた鎖にはたちまち黒い炎が満ち、凍った空気を、彼自身の身体を焼き焦がし始めた。「……イイイイイヤアアアーッ!」シンウインターから放たれる多色の渦!ニンジャスレイヤーは張りつめさせた力を解き放った!「イヤーッ!」黒い炎が弧を描き、横向きの竜巻の軌道を下から上へ押し上げた! 13

2018-11-14 22:29:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAAAASH!二次関数めいた軌道を描いた渦は氷のホールの天井に大穴を開けた!シンウインターは苛立ちに眉根を寄せる。既にしてニンジャスレイヤーは彼のワン・インチ距離!ヌンチャクは後ろへ置き去りに、素手のカラテ!「イヤーッ!」腹に一撃!突き刺さる!「グワーッ!?」入った!一打! 14

2018-11-14 22:31:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」さらに一打!「グワーッ!」入った!シンウインターはよろめいた。そして再び問うた。リアルニンジャの己にこうも不躾に挑んでくるこの敵は何者か?モータルどころかニンジャであってもサンシタならば心停止するであろう凝視を、ニンジャスレイヤーは真っ向睨み返した。15

2018-11-14 22:33:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そしてこの瞬間、シンウインターは……リアルニンジャ=シトカ・ニンジャは、この敵のメンポに刻まれた「忍」「殺」の威圧的レリーフの意味を、真に理解した。「イヤーッ!」第三打!襲い来る!「グワーッ!」シンウインターは仰け反った。「イヤーッ!」第四打!オーロラが、止める! 16

2018-11-14 22:36:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」第五打!オーロラが弾く!そして殴り返す!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは弾き飛ばされ、氷を焼きながら転がり、起き上がった。その手にヌンチャクが戻っていた。彼は再びヌンチャク・ワークを開始した。シンウインターは激昂した。「ニンジャ……スレイヤー……!」 17

2018-11-14 22:38:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様のカラテはだいたいわかった」ヌンチャク・ワークを継続しながら、ニンジャスレイヤーは言った。一方の目は点めいてすぼまり、一方の目にはただこの敵を滅ぼすという絶対の決意が溢れていた。ヌンチャクが加速し、カラテが高まってゆく!「せいぜいオーロラを継ぎ足せ。次は間に合わせんぞ」 18

2018-11-14 22:42:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンッンッンッンッ……」シンウインターは笑い出した。「ンッハハハハハハ!貴様は何もわかりはせん!家長たるこの俺のカラテの重み!その意味!強さの責務を!」オーロラが溢れ、全身を循環する!ニンジャスレイヤーは氷を蹴り、踏み込む!シンウインターは真正面から迎え撃つ!「「イヤーッ!」」19

2018-11-14 22:47:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KRAAASH!KRAAAASH!KRAAAASH!放射状に熱とカラテが飛び散り、大ホールが繰り返し震動するなか、サツバツナイトとザルニーツァは互いの顔面に同時に拳を叩きつけた。スーサイドは繰り出されたヒダリのイアイを掌で受け止めた。KRAAASH!またも放射状に黒い炎とオーロラの波が散った。 20

2018-11-14 22:51:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああそうだ、そりゃベターな選択だよな」スーサイドは口の端を歪めて笑い、刃越しに、ヒダリの驚愕を見た。「だが遅すぎたな。さっきまで随分景気よく撃ってくれてたじゃねえか。おかげでカタナも止められるぜ。今ならよ……」「……!」ヒダリは刃を引こうとした。スーサイドは掴み、止めた! 21

2018-11-14 22:53:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前、ニンジャだったのか?まあ、どうでもいいぜ。お前、あの時、居たんだったか?エエ?」「離せ……!」スーサイドは言われた通り、手を離した。掴んだ部分で飴めいて溶けたカタナがだらりと折れて下がった。ヒダリは畏れた……その瞬間、既にスーサイドの拳は顔面を捉えていた。 22

2018-11-14 23:00:03